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ロンサンティエ帝国の明暗
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ロンサンティエ帝国
龍の恩恵を得て成長した土地は人が集まり国になり時代を経て帝国となった。
周辺諸国は龍の使者を輩出した帝国に敬意を持ち、近年は争い事もない。
初代王フランコ・トワ・ロンサンティエが造った小国は今や、聳え立つ王宮を中心に壮大な街が広がっていた。
“龍王島”より出発した船が港に停泊すると、今だ怯える船長と船員達に見送られ一同が下船した。
「・・・迎えがない。」
コメカミに青筋を立てて王宮を睨みつけたクレイが船上から顔を出す船長を睨み上げた。
「俺達は言われた通り、出発直後に連絡鳥を飛ばしました!!」
船長が慌ててアピールしているのは、静かに何も言わずに冷たい視線を向けるアリスの存在が怖いからだろう。
「貴方、本当に大公様?
嫌われてるわねぇ。」
呆れるよりも、寧ろ感心したようなリリィに揶揄わられるとディミトリオ・ハクヤは苦笑した。
「全くもって恥ずかしい限りだ。」
「私も大概、舐められてるわね。」
「いや、龍の姫巫女の存在を信じていないのさ。
大方、私が偽物でも連れてきたとでも思っているのではないか?」
「本当に、面倒ね。
これから四則演算できるかどうかも怪しい愚か者を相手にするのね。
・・・疲れるわ。」
「クククッ。
そうだろう。
共に頑張ってくれよ。」
異彩放つ、ディミトリオ・ハクヤとリリィの存在に港に出入りする人足達がジロジロと視線を送る。
そこに、いつの間にか姿を消していたコテツが豪勢な馬車を引っ張って戻ってきた。
「持ってきた。」
まるで花束を差し出す様に手綱を見せるコテツにクレイは嗜める様に顔を顰めた。
「何処から持ってきたのです?
持ち主が困ってるでしょうから、元の場所に置いて来なさい。」
するとコテツは困った様に頬を掻いた。
「その持ち主が困ってるなら、どうぞって譲ってくれたんだ。」
「何ですって?
何処のどなたです?」
「もう行っちゃった。
誰だか・・・分からない。」
「もう!
コテツ。
礼も言えなかったじゃないですか。
人間は龍と違うのですよ。
人を利用してくる輩もいるのですから、気をつけないと!」
クレイの小言にコテツは気まずそうに頷いた。
「・・・分かった。」
「ふう。
これ絶対に貴族ですよ。
後々、面倒な事にならないと良いのですが。」
クレイが訝しがるのも無理からぬ事だった。
その馬車はバリューシュと呼ばれるオープンなボディが特徴の2人掛けの馬車だった。
御者席がついた変わった形ではあるが貴族が街中を移動する時に使う優雅な乗り物だ。
「何処の家の物だ。」
ディミトリオ・ハクヤが問い掛ければ、後方に回り込んだクレイが驚いた様な顔で戻ってきた。
「ブランチ辺境伯家の紋章がありました。
まさか・・・あの偏屈な辺境伯が王都にいらしているのでしょうか?」
「・・・さぁな。
今はリリィと共に王宮に戻るのが優先だ。
辺境伯には後程お礼をしよう。
直ぐに出発する。
リリィ。
おいで。」
ディミトリオ・ハクヤはリリィを手を引くと馬車に乗せた。
御者席に座ったのは従者のクレイで馬車の両脇に護衛のスサとセキエイが立ち、コテツとアリスは後方に配置についた。
「リリィ。
馬車は船よりも安全だよ。」
安心させるように微笑むディミトリオ・ハクヤにリリィはジトっと睨みつけた。
リリィが徐に建物の方に顔を向け微笑んだ事に気づかずにディミトリオ・ハクヤはクレイに声を掛けた。
「出発だ。」
騒がしい街へと馬車はゆっくりと進むのだった。
龍の恩恵を得て成長した土地は人が集まり国になり時代を経て帝国となった。
周辺諸国は龍の使者を輩出した帝国に敬意を持ち、近年は争い事もない。
初代王フランコ・トワ・ロンサンティエが造った小国は今や、聳え立つ王宮を中心に壮大な街が広がっていた。
“龍王島”より出発した船が港に停泊すると、今だ怯える船長と船員達に見送られ一同が下船した。
「・・・迎えがない。」
コメカミに青筋を立てて王宮を睨みつけたクレイが船上から顔を出す船長を睨み上げた。
「俺達は言われた通り、出発直後に連絡鳥を飛ばしました!!」
船長が慌ててアピールしているのは、静かに何も言わずに冷たい視線を向けるアリスの存在が怖いからだろう。
「貴方、本当に大公様?
嫌われてるわねぇ。」
呆れるよりも、寧ろ感心したようなリリィに揶揄わられるとディミトリオ・ハクヤは苦笑した。
「全くもって恥ずかしい限りだ。」
「私も大概、舐められてるわね。」
「いや、龍の姫巫女の存在を信じていないのさ。
大方、私が偽物でも連れてきたとでも思っているのではないか?」
「本当に、面倒ね。
これから四則演算できるかどうかも怪しい愚か者を相手にするのね。
・・・疲れるわ。」
「クククッ。
そうだろう。
共に頑張ってくれよ。」
異彩放つ、ディミトリオ・ハクヤとリリィの存在に港に出入りする人足達がジロジロと視線を送る。
そこに、いつの間にか姿を消していたコテツが豪勢な馬車を引っ張って戻ってきた。
「持ってきた。」
まるで花束を差し出す様に手綱を見せるコテツにクレイは嗜める様に顔を顰めた。
「何処から持ってきたのです?
持ち主が困ってるでしょうから、元の場所に置いて来なさい。」
するとコテツは困った様に頬を掻いた。
「その持ち主が困ってるなら、どうぞって譲ってくれたんだ。」
「何ですって?
何処のどなたです?」
「もう行っちゃった。
誰だか・・・分からない。」
「もう!
コテツ。
礼も言えなかったじゃないですか。
人間は龍と違うのですよ。
人を利用してくる輩もいるのですから、気をつけないと!」
クレイの小言にコテツは気まずそうに頷いた。
「・・・分かった。」
「ふう。
これ絶対に貴族ですよ。
後々、面倒な事にならないと良いのですが。」
クレイが訝しがるのも無理からぬ事だった。
その馬車はバリューシュと呼ばれるオープンなボディが特徴の2人掛けの馬車だった。
御者席がついた変わった形ではあるが貴族が街中を移動する時に使う優雅な乗り物だ。
「何処の家の物だ。」
ディミトリオ・ハクヤが問い掛ければ、後方に回り込んだクレイが驚いた様な顔で戻ってきた。
「ブランチ辺境伯家の紋章がありました。
まさか・・・あの偏屈な辺境伯が王都にいらしているのでしょうか?」
「・・・さぁな。
今はリリィと共に王宮に戻るのが優先だ。
辺境伯には後程お礼をしよう。
直ぐに出発する。
リリィ。
おいで。」
ディミトリオ・ハクヤはリリィを手を引くと馬車に乗せた。
御者席に座ったのは従者のクレイで馬車の両脇に護衛のスサとセキエイが立ち、コテツとアリスは後方に配置についた。
「リリィ。
馬車は船よりも安全だよ。」
安心させるように微笑むディミトリオ・ハクヤにリリィはジトっと睨みつけた。
リリィが徐に建物の方に顔を向け微笑んだ事に気づかずにディミトリオ・ハクヤはクレイに声を掛けた。
「出発だ。」
騒がしい街へと馬車はゆっくりと進むのだった。
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