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旅路 〜グランヌス・王宮〜
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「何じゃっ!」
「どこへ連れて行くんだ!」
「王宮は行かんぞ!」
「怖いよ~!怖いよ~!」
次々と現れるドワーフは、後宮の庭に蹲り、身を寄せ合いブルブルと震えていた。
その様子を晴れやかなナギと、呆れた様なヒューゴが見下ろす。
「見ろ。
怯えてるじゃないか。」
どうやら、同行を嫌がったドワーフ達をナギが追いかけまわし、とっ捕まえて強制的に瞬間移動してきたらしい。
イオリは苦笑しながらナギの額を小突くと、ドワーフ達に声を掛けた。
「皆さん、もう安全ですよ。」
イオリの声に恐る恐る顔を上げたドワーフ達は一斉に抗議の声を上げた。
「イオリ!酷いぞ!」
「エルフの小僧めっ!」
「怖かったぁぁ。」
「ここ、何処だ?ここ、どーこーだー!?」
騒ぐドワーフに微笑むとイオリは優しく説明した。
「ここは王宮にある後宮。
王妃様がいらっしゃる場所ですよ。
あちらが王妃様です。」
ギョッとした4人のドワーフはソウビ王妃に気付き、再び体を丸め蹲った。
「「「「ハハァァァ!!」」」」
過剰なほどの挨拶にソウビ王妃を目を丸くした後に「フフフっ」と笑い出した。
「固くなるではない。
ドワーフ達には苦労を掛けている。
申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
こうして、会えて嬉しく思う。
来てもらったのは、他でもない。
お前達に会って欲しい方がいたのだ。
気を楽にしておくれ。」
ソウビ王妃の言葉に勇気を貰い、ドワーフ達は顔を上げた。
今だに緊張の解けない4人のドワーフは王妃が言う人物が誰なのかキョロキョロとした。
「・・・ドワーフ。」
ラーヴァが少しづつ近づくと、ドワーフ達は真っ赤な髪をクシャクシャとした大男にドキッとした。
「皆さん、こちらはラーヴァです。
火龍様が人型になったお姿ですよ。」
イオリの紹介を聞いたドワーフ達は目をこれでもかと大きく開いた。
「・・・火龍様?」
「・・・本当か?」
「・・・本当じゃっ!瞳が黄色に輝いておられる。」
「爺ちゃんが言った通りだぁぁぁ。
火龍様~!!」
雪崩れこむ様に抱きついてきたドワーフ達をラーヴァは愛おしそうに受け止めた。
「よく戻ってくれたね。
良い子。良い子。」
ラーヴァの存在を疑う事もなく、子供のように咽び泣くドワーフ達を抱きしめたラーヴァが安堵したように顔を綻ばせた。
グランヌスの王族であるソウビとムネタカは、いかに火龍にとってドワーフが大切な存在なのかを思い知らされたのだった。
グランヌスはいわば、火龍とドワーフの交流によって発展した国であった。
それを忘れ、強さこそが全てと公言してきた自分達に恥いる思いだった。
「彼らも取り戻さなければならん・・・。」
「はい。
母上。
この国の全てを取り返しましょう。」
ムネタカの熱い眼差しに見つめられたイオリは、雲に覆われた空を見上げるのだった。
「どこへ連れて行くんだ!」
「王宮は行かんぞ!」
「怖いよ~!怖いよ~!」
次々と現れるドワーフは、後宮の庭に蹲り、身を寄せ合いブルブルと震えていた。
その様子を晴れやかなナギと、呆れた様なヒューゴが見下ろす。
「見ろ。
怯えてるじゃないか。」
どうやら、同行を嫌がったドワーフ達をナギが追いかけまわし、とっ捕まえて強制的に瞬間移動してきたらしい。
イオリは苦笑しながらナギの額を小突くと、ドワーフ達に声を掛けた。
「皆さん、もう安全ですよ。」
イオリの声に恐る恐る顔を上げたドワーフ達は一斉に抗議の声を上げた。
「イオリ!酷いぞ!」
「エルフの小僧めっ!」
「怖かったぁぁ。」
「ここ、何処だ?ここ、どーこーだー!?」
騒ぐドワーフに微笑むとイオリは優しく説明した。
「ここは王宮にある後宮。
王妃様がいらっしゃる場所ですよ。
あちらが王妃様です。」
ギョッとした4人のドワーフはソウビ王妃に気付き、再び体を丸め蹲った。
「「「「ハハァァァ!!」」」」
過剰なほどの挨拶にソウビ王妃を目を丸くした後に「フフフっ」と笑い出した。
「固くなるではない。
ドワーフ達には苦労を掛けている。
申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
こうして、会えて嬉しく思う。
来てもらったのは、他でもない。
お前達に会って欲しい方がいたのだ。
気を楽にしておくれ。」
ソウビ王妃の言葉に勇気を貰い、ドワーフ達は顔を上げた。
今だに緊張の解けない4人のドワーフは王妃が言う人物が誰なのかキョロキョロとした。
「・・・ドワーフ。」
ラーヴァが少しづつ近づくと、ドワーフ達は真っ赤な髪をクシャクシャとした大男にドキッとした。
「皆さん、こちらはラーヴァです。
火龍様が人型になったお姿ですよ。」
イオリの紹介を聞いたドワーフ達は目をこれでもかと大きく開いた。
「・・・火龍様?」
「・・・本当か?」
「・・・本当じゃっ!瞳が黄色に輝いておられる。」
「爺ちゃんが言った通りだぁぁぁ。
火龍様~!!」
雪崩れこむ様に抱きついてきたドワーフ達をラーヴァは愛おしそうに受け止めた。
「よく戻ってくれたね。
良い子。良い子。」
ラーヴァの存在を疑う事もなく、子供のように咽び泣くドワーフ達を抱きしめたラーヴァが安堵したように顔を綻ばせた。
グランヌスの王族であるソウビとムネタカは、いかに火龍にとってドワーフが大切な存在なのかを思い知らされたのだった。
グランヌスはいわば、火龍とドワーフの交流によって発展した国であった。
それを忘れ、強さこそが全てと公言してきた自分達に恥いる思いだった。
「彼らも取り戻さなければならん・・・。」
「はい。
母上。
この国の全てを取り返しましょう。」
ムネタカの熱い眼差しに見つめられたイオリは、雲に覆われた空を見上げるのだった。
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