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旅路〜デザリア・ガレー〜
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神鳥と呼ばれるトルトルとポルポルの影響力は、この地にも及んでいるらしい。
まるで季節の旬などないように、様々な野菜や果物が実っている。
此処はデザリアの食を支える領地、ガレー。
何処か親近感が湧く街並みをイオリ達の馬車は進んでいく。
「彼処がガレー公爵家の屋敷だ。」
シモン・ヤティムが指差したのは、緑の木々が一際生い茂った大きな屋敷だった。
屋敷の前にかけられた橋の手前でリルラ達の馬車が停車した。
「長旅、お疲れ様でした。
私達は此方までです。
街で宿をとり、商業ギルドに顔を出してきます。
件の老夫婦についても調べます。
御用の際はお声かけ下さい。
いつでも参ります。」
馬車を降りてきたリルラが言うと、後続の馬車から降りてきたタージと護衛のネイルが合流した。
一緒に行かないのかと不満そうな子供達に笑いかけるとタージは肩をすくめた。
「私達は平民だからね。
貴族様に簡単に会えないのさ。
大きな商売には準備も大切だからね。
商談に入る前に時間が必要なんだ。
その時間を君達に作って欲しいのさ。」
そう言うとタージ・ラバンは小さなニナの頭を撫でると微笑んだ。
「我々は馴染みの宿に参ります。
ラバン様はお店へ行かれますか?」
何故、他国の人間のリルラにデザリアで馴染みの宿があるのだ?
という疑問に目を瞑り、タージは頷いた。
「それでは、行ってらっしゃいませ。」
主人を送り出すリルラとゴヴァンに並びタージとネイルが微笑んで手を振るのを背にアウラが馬車を引き始めた。
「「「「またね~!」」」」
ーーーー
一生懸命に手を振る子供達には優しい笑顔で送り出す2人の声は届いていない。
「ここからは大人の時間だね。」
「そうですね。」
「リルラさん。
子供達を待たせるのも悪いです。
何処まで情報を得ているか分からないけど、ここは協定といきませんか?」
「イオリ様に迷惑がかからないなら、良いですよ。
そちらもある程度、当たりはついているんでしょう?」
「そりゃーね。フフフ。
そんな横暴な商人がいるのなら、商業ギルドが把握していない方が嘘でしょう。
にも関わらず、対処なされていないとなると・・・。」
「まぁ、商業ギルドに裏切り者がいるって事でしょうね。」
「貴族である領主様が采配を振るわないのは、法を逸脱する事ない民事の揉め事だから。」
「あまりにも領主が首を出しすぎるのも問題ですからね。」
「アホ共が現れ始めたのは、この数ヶ月。
これ以上に根を張らすのも厄介だ。」
「ふふふ。
雑草の根は残らず取り払わないとね。」
「フフフ。」
「ふふふ。」
不穏な会話はイオリ達の馬車が見えなくなるまで続いた。
《リルラが楽しそうです。
これは荒業になりますね。
イオリ様絡みなら致し方なし!》
《うわぁ。
主が悪い顔してる。
逆に相手が気の毒になるな。
まぁ、良いか。
頑張れ、主。
貰ったクッキー、残ってたかなぁ。》
リルラとタージがタッグを組んでいる脇で、ゴヴァンが気合を入れネイルは我関せずとばかりに欠伸をしていた。
まるで季節の旬などないように、様々な野菜や果物が実っている。
此処はデザリアの食を支える領地、ガレー。
何処か親近感が湧く街並みをイオリ達の馬車は進んでいく。
「彼処がガレー公爵家の屋敷だ。」
シモン・ヤティムが指差したのは、緑の木々が一際生い茂った大きな屋敷だった。
屋敷の前にかけられた橋の手前でリルラ達の馬車が停車した。
「長旅、お疲れ様でした。
私達は此方までです。
街で宿をとり、商業ギルドに顔を出してきます。
件の老夫婦についても調べます。
御用の際はお声かけ下さい。
いつでも参ります。」
馬車を降りてきたリルラが言うと、後続の馬車から降りてきたタージと護衛のネイルが合流した。
一緒に行かないのかと不満そうな子供達に笑いかけるとタージは肩をすくめた。
「私達は平民だからね。
貴族様に簡単に会えないのさ。
大きな商売には準備も大切だからね。
商談に入る前に時間が必要なんだ。
その時間を君達に作って欲しいのさ。」
そう言うとタージ・ラバンは小さなニナの頭を撫でると微笑んだ。
「我々は馴染みの宿に参ります。
ラバン様はお店へ行かれますか?」
何故、他国の人間のリルラにデザリアで馴染みの宿があるのだ?
という疑問に目を瞑り、タージは頷いた。
「それでは、行ってらっしゃいませ。」
主人を送り出すリルラとゴヴァンに並びタージとネイルが微笑んで手を振るのを背にアウラが馬車を引き始めた。
「「「「またね~!」」」」
ーーーー
一生懸命に手を振る子供達には優しい笑顔で送り出す2人の声は届いていない。
「ここからは大人の時間だね。」
「そうですね。」
「リルラさん。
子供達を待たせるのも悪いです。
何処まで情報を得ているか分からないけど、ここは協定といきませんか?」
「イオリ様に迷惑がかからないなら、良いですよ。
そちらもある程度、当たりはついているんでしょう?」
「そりゃーね。フフフ。
そんな横暴な商人がいるのなら、商業ギルドが把握していない方が嘘でしょう。
にも関わらず、対処なされていないとなると・・・。」
「まぁ、商業ギルドに裏切り者がいるって事でしょうね。」
「貴族である領主様が采配を振るわないのは、法を逸脱する事ない民事の揉め事だから。」
「あまりにも領主が首を出しすぎるのも問題ですからね。」
「アホ共が現れ始めたのは、この数ヶ月。
これ以上に根を張らすのも厄介だ。」
「ふふふ。
雑草の根は残らず取り払わないとね。」
「フフフ。」
「ふふふ。」
不穏な会話はイオリ達の馬車が見えなくなるまで続いた。
《リルラが楽しそうです。
これは荒業になりますね。
イオリ様絡みなら致し方なし!》
《うわぁ。
主が悪い顔してる。
逆に相手が気の毒になるな。
まぁ、良いか。
頑張れ、主。
貰ったクッキー、残ってたかなぁ。》
リルラとタージがタッグを組んでいる脇で、ゴヴァンが気合を入れネイルは我関せずとばかりに欠伸をしていた。
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