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旅路〜デザリア・ガレー〜
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「うわぁぁ・・・。」
「キレイ・・・。」
双子が声を上げるのも無理はなかった。
高い塀に守られていたのは清らかに流れる川と宝石のように輝く畑、そしてフサフサの木に囲まれた家々だった。
言われなかったら、砂漠のど真ん中とは誰も思わないだろう。
「フフフ。
そうだろう。
デザリアの街づくりは代々の領主達の大きな課題の1つだ。
食の糧を崩す事なく、人々が共存していかなければいけないからな。
今では当たり前だが、岩1つ動かすのも領主の許可が必要とあって、かつては領民と随分と揉めた当主もいたそうだ。
しかし、この風景を見れば苦労も報われるだろうて。」
ゆっくりと進む馬車からシモン・ヤティムは汗掻きながら働く領民を見て微笑んだ。
「見て、トマトと豆が隣に植えられててジャガイモは離れた向こう側に植えられてる。
しっかりと植え合わせ方も考えられてるんだね。」
師匠であるポーレット公爵家庭師ボーの教えが叩き込まれているナギは植物大好き能力を嬉々として発揮していた。
「長年の経験なんじゃないかな。
よく見ると、土地に植えられているのは食べられる野菜達しかないけど、各家の庭先には愛でる為の花が植えられてるよ。
これも領主さんの考えなんだろうね。」
イオリが指を刺すとシモン・ヤティムが感心したように頷いた。
「確か、そうだったと聞く。
ガレーの畑はガレーの地だけじゃなくデザリア全土の食糧を賄う役目をになっているからな。
ある土地は全て食に徹して栽培されている。
個人宅の庭は住んでる者に采配が任されているが、家の敷地から飛び出る物は伐採対象のはずだ。
ガレーの重要なルールだ。
凄いな。
見ただけで分かるのか?」
「田舎育ちなもんで。」
誤魔化すように微笑むイオリに御者席にいたヒューゴもクスッと笑った。
「キャハハ!」
「まって~。」
「早く、早く!」
楽しげな声に視線を奪われた。
イオリ達の馬車と川を挟んだ道をガレーの子供達が笑いながら走っている。
1人1人が体に見合わない大きな籠を抱えていた。
「あっ。」
何気なく眺めていたイオリであったが、1人の少年が転んだのが見え、思わず声を上げた。
子供達の中でも1番小さい男の子の籠から派手にイチゴが飛び出ると、小さな男の子は泣き出してしまった。
「うわぁぁん!」
元気よく走っていた他の子達は急いで戻ると慌ててイチゴを籠に戻してやった。
「大丈夫か?
怪我は大した事ないな。」
年長者の少年が声をかけると、泣いていた顔を拭い男の子は立ち上がった。
「うん。」
「ケシャにはちょっと重かったなか?
よしっ!
私が少し持つよ。」
「ありがとう。アシィール。」
泣いていたのも忘れたかのように小さな男の子はニカッと笑う。
「それじゃ、アシィールが重いだろう。
みんなで少しづつ分けようぜ。
早くダリア様のところに持っていかなきゃ。」
もう1人少年が声をかけると、みんなが頷き手分けし始めて籠を持ち上げた。
「ケシャ、重くないか?」
アシィールと呼ばれた少年に声をかけられると小さなケシャ少年は頷いだ。
「うん!
大丈夫。
みんな、ありがとう。」
ケシャ少年が微笑むと他の子供達も笑い、再び走り始めた。
微笑ましい光景にイオリがほっこりしている後で、シモン・ヤティムは驚いたように呟いた。
「・・・今のは。」
穏やかな街にイオリは懐かしい故郷を思い出し、ノスタルジーに浸るのだった。
「キレイ・・・。」
双子が声を上げるのも無理はなかった。
高い塀に守られていたのは清らかに流れる川と宝石のように輝く畑、そしてフサフサの木に囲まれた家々だった。
言われなかったら、砂漠のど真ん中とは誰も思わないだろう。
「フフフ。
そうだろう。
デザリアの街づくりは代々の領主達の大きな課題の1つだ。
食の糧を崩す事なく、人々が共存していかなければいけないからな。
今では当たり前だが、岩1つ動かすのも領主の許可が必要とあって、かつては領民と随分と揉めた当主もいたそうだ。
しかし、この風景を見れば苦労も報われるだろうて。」
ゆっくりと進む馬車からシモン・ヤティムは汗掻きながら働く領民を見て微笑んだ。
「見て、トマトと豆が隣に植えられててジャガイモは離れた向こう側に植えられてる。
しっかりと植え合わせ方も考えられてるんだね。」
師匠であるポーレット公爵家庭師ボーの教えが叩き込まれているナギは植物大好き能力を嬉々として発揮していた。
「長年の経験なんじゃないかな。
よく見ると、土地に植えられているのは食べられる野菜達しかないけど、各家の庭先には愛でる為の花が植えられてるよ。
これも領主さんの考えなんだろうね。」
イオリが指を刺すとシモン・ヤティムが感心したように頷いた。
「確か、そうだったと聞く。
ガレーの畑はガレーの地だけじゃなくデザリア全土の食糧を賄う役目をになっているからな。
ある土地は全て食に徹して栽培されている。
個人宅の庭は住んでる者に采配が任されているが、家の敷地から飛び出る物は伐採対象のはずだ。
ガレーの重要なルールだ。
凄いな。
見ただけで分かるのか?」
「田舎育ちなもんで。」
誤魔化すように微笑むイオリに御者席にいたヒューゴもクスッと笑った。
「キャハハ!」
「まって~。」
「早く、早く!」
楽しげな声に視線を奪われた。
イオリ達の馬車と川を挟んだ道をガレーの子供達が笑いながら走っている。
1人1人が体に見合わない大きな籠を抱えていた。
「あっ。」
何気なく眺めていたイオリであったが、1人の少年が転んだのが見え、思わず声を上げた。
子供達の中でも1番小さい男の子の籠から派手にイチゴが飛び出ると、小さな男の子は泣き出してしまった。
「うわぁぁん!」
元気よく走っていた他の子達は急いで戻ると慌ててイチゴを籠に戻してやった。
「大丈夫か?
怪我は大した事ないな。」
年長者の少年が声をかけると、泣いていた顔を拭い男の子は立ち上がった。
「うん。」
「ケシャにはちょっと重かったなか?
よしっ!
私が少し持つよ。」
「ありがとう。アシィール。」
泣いていたのも忘れたかのように小さな男の子はニカッと笑う。
「それじゃ、アシィールが重いだろう。
みんなで少しづつ分けようぜ。
早くダリア様のところに持っていかなきゃ。」
もう1人少年が声をかけると、みんなが頷き手分けし始めて籠を持ち上げた。
「ケシャ、重くないか?」
アシィールと呼ばれた少年に声をかけられると小さなケシャ少年は頷いだ。
「うん!
大丈夫。
みんな、ありがとう。」
ケシャ少年が微笑むと他の子供達も笑い、再び走り始めた。
微笑ましい光景にイオリがほっこりしている後で、シモン・ヤティムは驚いたように呟いた。
「・・・今のは。」
穏やかな街にイオリは懐かしい故郷を思い出し、ノスタルジーに浸るのだった。
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