続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路〜デザリア・ダンジョン〜

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 自然の世界において追われるモノが被食者で追うモノが捕食者だとしたら彼等“エルフの里の戦士”は捕食者だった。

 他のモノを相手にする時、彼等は常に優位に立っていた。

 背後から何かが追いかけてきていたとしても、自分達が相手にする必要はないし気にかける事もない。
 自分達がしたい事が1番でそれ以外は無に等しいのだ。

「・・・・。」

 そんな中、後を気にする相方に苛立ちを見せるエルフの男がいた。

「何だよ。一体、何だってんだよ!」

「・・・いや。」

 魔法のエルフは時折感じる背後の感覚に気持ち悪さを感じていた。

「どうせ、魔獣だろう?
 それか、脆弱な人間か?」

 剣のエルフは狩ったブラックパンサーの肉を剥ぎ取ると苛立ち紛れに頬張った。
 魔法のエルフは、その光景を嫌そうに見つめると自分は自生していた草からエネルギーを抽出させると液体にして飲んだ。
 
「ハッ!
 そんなんで体力が持つのかね。」

「お前のような脳筋には私の体に流れる魔力の事など理解できぬのだろう。
 それに私は生の肉は好まない。」

「知るかよ。
 テメーが勝手に死ぬのは構わんが、足を引っ張るなよ。」

「どの口が言う。
 ここまで、私の方がルミエール様の為に働いているさ。」

「何だと!?」

 いつの間にか喧嘩が始まりそうな雰囲気の中、魔法のエルフが激しく後を振り返った。

 今度は気のせいじゃない。
 何か大きな力が近づいてくる。

 慌てて杖を構えるが姿が見えない。

「どうした?
 また、何か変な予感か?」

「黙れっ!
 何か、大きな力が近づいてくる。
 先程よりも動きが速い。」

 魔法のエルフの真剣な顔に、流石の剣のエルフも血で汚れた口を拭うと目を凝らした。

「・・・確かに、何かがな。」

 方角は把握している。
 魔法のエルフは杖から火の玉を作り出し、投げ始めた。

「何者か分からぬが、邪魔をするなら早いうちに排除するべきだ。」

「どうでも良いが、その火遊びは当たるのか?」

 馬鹿にするような剣のエルフを睨みつけていたが、魔法のエルフは突如にゾッとするような視線を感じた。

「クソッ!!」

 瞬時に杖で膜を張り、自分達の姿を消すと剣のエルフに合図を送った。
 2人は、早くこの場を離れようと走り出す。

「気に入らねーな。
 逃げ出すのか?」

「そうじゃない。
 相手が分からぬのに殺気だけが飛んでくる。
 あのまま、見晴らしの良い草原に棒立ちしていると、どうやら相手の思う壺だ!
 私のステルス魔法が効いているうちに走れ!」

 魔法のエルフの尋常ではない警戒が正しいと判断されるのもすぐの事だった。
 2人の背後に爆風が飛んでくると一帯が煙に覆われていった。

 匂いの攻撃かと口を塞げば、目に辛子を捩じ込まれたような痛さが襲った。

「何だこれは!!」

「クソが!」

 魔法のエルフは激痛で開けられない目を洗おうと水魔法を繰り出すが、効果などない。
 隣で剣のエルフがのたうち回っているのが気配で分かる。

 辛うじて持っていたポーションに手を伸ばすと目だけは開ける事ができた。
 それでも痛みは無くならない。
 暴れている剣のエルフにも、仕方なしにかけてやると真っ赤に充血した目に怒りが灯っていた。

「・・・クソ野郎が、許さねえ。」

ドドドドドドドドっ!!!

 確実に耳に届く、何ものかが近づく音に2人のエルフは睨みつけた。

「「追いついた♪」」

 楽しそうな子供の声が聞こえたのが聞き間違いかと思った。

 徐に声がした足元に顔を向けると刃が襲ってきた。

 2人のエルフが仰反ると不満そうな声が漏れ聞こえた。

「避けられたぁ~!!」

「パティが急ぎすぎたんだよ。」

 唖然としていた2人のエルフの前で獣人の子供が悔しそうに顔を歪めていたのだった。
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