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旅路〜王都〜
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語り終えたドッゾの表情は満足気に微笑んでいた。
例え、愛した女の為でも狂っている。
誰の目から見ても、目の前の男の異常性は分かった。
「コンタン様。
ここ迄の様で御座います。
父として名乗れなくとも、貴方にお使え出来て光栄で御座いました。」
長年、使えた側近を信じられない者を見る目で見たコンタンは震えながら過呼吸にも叫んだ。
「ふざけるな!
私は認めない!私はフォダン・オンリールの息子だ!
真の伯爵は私の筈だ!!
母上が私を裏切るはずがない!
全て、お前の所為で・・・お前が・・・
アァァァァ!!!」
絶望の声が響き渡るとイオリは国王アルフレッドに静かに頭を下げ、後ろに下がった。
アルフレッドは厳しい目で頷くと、2人の男を見下ろした。
「詳しい事は追って、調査する。
2人を牢に連れて行け。」
納得したように立ち上がったドッゾと腰砕けになったコンタンが引きずられて様は、あまりにも対局だった。
気遣う気などサラサラ無いオーブリーがドッゾを部屋から蹴り出すという荒業を目撃する事になり、部屋に残った男達は溜息を吐いた。
「・・・哀れな男達だ。
それぞれの見ていたものは違うが、どちらも1人の女に翻弄されておる。」
アルフレッドは疲れたように首を振った。
「しかし、許されるものではありません。
1番、哀れなのはオンリール家の人間達です。
幼き子供達まで犠牲になっているのです。
老体に辛い事を伝える事になります。」
ギルバートはソファに横たわるアマンド・オンリール伯爵に憐れみを向けた。
「やるべき事は多いです。
オンリール領の運営を滞らせる訳にはいきません。
即刻、代官を送ります。
現在、冒険者・商人の両ギルドがオンリール領に監査に入っています。
こちらから報告をすれば、問答無用で改革をする事でしょう。
伯爵の進退については国王陛下の采配をお待ちいたします。」
宰相グレンは自分の成すべき事を分かっているとばかりにアルフレッドに頷いた。
「分かっている。
まずは、アマンドが目覚めるのを待つとしよう。
イオリ、ご苦労だった。
お前に見せなくてもいいものを見せてしまったな。
言わせなくてもいい事もあった・・・」
「いいえ。自分で決めた事です。」
謝罪の言葉が出る事を悟ったイオリは遮り、ニッコリと微笑んだ。
国王とは簡単に頭を下げてはいけない。
それくらいは常識知らずのイオリですら分かっている。
側にいた宰相がホッとした様な顔で変わりに頭を下げていた。
《盗み食いは許さないけどね。》
鼻を膨らませているのをヒューゴに気付かれ苦笑しながら睨みつけているのをイオリは誤魔化すように笑った。
最悪の事態を脱したオンリール領であったが、これからの復興は大変である。
他領に対し信用を取り戻すのも時間が掛かる。
それでも、前を向くしかないのだ。
1つの領の悪夢は王城の一室で決着したのだった。
例え、愛した女の為でも狂っている。
誰の目から見ても、目の前の男の異常性は分かった。
「コンタン様。
ここ迄の様で御座います。
父として名乗れなくとも、貴方にお使え出来て光栄で御座いました。」
長年、使えた側近を信じられない者を見る目で見たコンタンは震えながら過呼吸にも叫んだ。
「ふざけるな!
私は認めない!私はフォダン・オンリールの息子だ!
真の伯爵は私の筈だ!!
母上が私を裏切るはずがない!
全て、お前の所為で・・・お前が・・・
アァァァァ!!!」
絶望の声が響き渡るとイオリは国王アルフレッドに静かに頭を下げ、後ろに下がった。
アルフレッドは厳しい目で頷くと、2人の男を見下ろした。
「詳しい事は追って、調査する。
2人を牢に連れて行け。」
納得したように立ち上がったドッゾと腰砕けになったコンタンが引きずられて様は、あまりにも対局だった。
気遣う気などサラサラ無いオーブリーがドッゾを部屋から蹴り出すという荒業を目撃する事になり、部屋に残った男達は溜息を吐いた。
「・・・哀れな男達だ。
それぞれの見ていたものは違うが、どちらも1人の女に翻弄されておる。」
アルフレッドは疲れたように首を振った。
「しかし、許されるものではありません。
1番、哀れなのはオンリール家の人間達です。
幼き子供達まで犠牲になっているのです。
老体に辛い事を伝える事になります。」
ギルバートはソファに横たわるアマンド・オンリール伯爵に憐れみを向けた。
「やるべき事は多いです。
オンリール領の運営を滞らせる訳にはいきません。
即刻、代官を送ります。
現在、冒険者・商人の両ギルドがオンリール領に監査に入っています。
こちらから報告をすれば、問答無用で改革をする事でしょう。
伯爵の進退については国王陛下の采配をお待ちいたします。」
宰相グレンは自分の成すべき事を分かっているとばかりにアルフレッドに頷いた。
「分かっている。
まずは、アマンドが目覚めるのを待つとしよう。
イオリ、ご苦労だった。
お前に見せなくてもいいものを見せてしまったな。
言わせなくてもいい事もあった・・・」
「いいえ。自分で決めた事です。」
謝罪の言葉が出る事を悟ったイオリは遮り、ニッコリと微笑んだ。
国王とは簡単に頭を下げてはいけない。
それくらいは常識知らずのイオリですら分かっている。
側にいた宰相がホッとした様な顔で変わりに頭を下げていた。
《盗み食いは許さないけどね。》
鼻を膨らませているのをヒューゴに気付かれ苦笑しながら睨みつけているのをイオリは誤魔化すように笑った。
最悪の事態を脱したオンリール領であったが、これからの復興は大変である。
他領に対し信用を取り戻すのも時間が掛かる。
それでも、前を向くしかないのだ。
1つの領の悪夢は王城の一室で決着したのだった。
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