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第二章 人? との交流
第18話 報連相をしましょう
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桜に会ってからは、何も問題は無く、無事帰ってこられた。
ギルドへ報告に行く。
「少し、お待ちください」
そう言って、奥にある個室へ通される。
調度品が飾られた、立派そうな部屋。
百八十センチメートルはありそうな、イヌ族かな? 盾を構え、右手には鞭。
ただ鞭の先には、尖った剣が付いている。
「それが、気になりますか?」
先に、部屋にいた男に、声をかけられた。
「ええ。神乃ともうします。失礼ですが。あなたはどなたですか?」
だが相手は、問いかけを完全に無視。
「昔、邪神が暴れた時。各種族の中で力あるものが選ばれ、それに打ち勝つ為、勇者を選択して挑んだ。その一人。獣人族の伝説。ウンギョウと呼ばれています。元はもう一人獅子族のアギョウと共に、獣人族の守護神としてたたえられた人物です」
「ウンギョウとアギョウ? 聞き覚えがあるな。なんだったか?」
そう言って話す男の人は、何故か悲しそうな表情なのも気になる。
「ところで、あなたは?」
再度聞いてみる。この人も、犬か狼か?
「この出張所のマスター。バルバラ・セナンクールと申します。種族はグレイウルフです。よろしくお願いしますね。元は、商業ギルド。経営は得意なので、まかされています」
「そりゃどうも。私は、神乃道照。ここでは、どっちが家名だい?」
「後ろですね。私なら、セナンクールが家名となります」
「じゃあ、道照神乃だな」
「そうですか。よろしくお願いしますね。神乃さん」
そう言いながら、何か興味を引いたようだ。
すっとぼけた感じだが、眼光は鋭いな。
「邪神は、その勇者達が封じたのか?」
「いえいえ。とんでもない。後の情報では、元々邪神も神と呼ばれる方々と同じ種族で、ただ己の快楽のために力をふるい。この世を混乱に陥れた。それも、茹だるような暑さ。すべてが凍る寒さ。大雨に大地の噴火、そして疫病。いわゆる厄災。そんなもの、人に何かが出来るようなものではありません。精霊様と、エンシェントドラゴン様。世を司るマガツヒ様が、鎮め封じてくださったと残っております」
「そうですか」
そんな話を聞いて、ふと思い出す。
「商業ギルドと言いましたよね」
「ええ、そうです。それが何か?」
「これ、売れますか?」
魚の燻製を出してみる。大半は、ヤマメだったりするが、ニジマスぽいのも居る。
出した瞬間に、セナンクールの目が光る。
「これは、干物でしょうか? いや、この鼻腔をくすぐる甘い芳香。そして干物と異なりしっとり感。そしてこのうま味。これは、噛めば噛むほど、ううむ。はっ、無くなってしまう。至高の瞬間が、この後味。そうか、この絶妙の塩加減。なんというものを食べさせるのだ、あなたは」
そう言いながら、顔は天を仰ぎ、よだれと涙でとんでもない事になっている。
その表情を見て、問いかける。
「売れそうですね」
「はっ。売る? これを? 買います」
あーやばそうだ。作り方を教えて、上前をはねようか?
「この近くに、川はありますか?」
そう聞くと、驚いた感じで答えてくれた。
「はっ。川? ありますとも」
「じゃあ、ギルドで魚を捕って作りますか? 作り方を教えますし、燻製は魚だけではなく肉とかでも出来ますので」
「良いのですか? 商業ギルドで専売をします」
食い気味で、そう言い切ると、走って行ってしまった。
かと思うと、すぐに戻ってきて一言。
「ギルドカードを、お願いいたします」
そう言われて差し出すと、ひったくる勢いで、持って行ってしまった。
そして、誰もいなくなった。
部屋に取り残されて、そして待つこと、小一時間。
「お待たせいたしました。馬車で、ハウンド侯爵様がお待ちです。こちらへどうぞ」
そう案内をされたが、質問して見る。
「行くのは良いが、マスター。セナンクールさんが、俺のギルドカードを持って行ったままなんだが」
そう言うと、またかという感じで、頭を抱える猫の獣人さん。
「こちらで何とかいたしますので。ハウンド侯爵様を先にお願いいたします」
そして、出張所の正面に行くと、馬車の前で家宰モルガン・セバスティヌが待ち構えていた。案内されるまま馬車に乗る。
中にはむろん、ハウンド侯爵が待機しており、早速という感じで質問が来る。
「ご苦労様だね。無事、採取は行えましたでしょうか?」
「何とかね。伝手があってよかったよ」
「伝手? 伝手とは?」
「木の精霊だ。許可を取らずに採取をすると、採った瞬間に実が腐ってね」
それを聞いた、ハウンド侯爵の顔が、なんと言うことでしょうという顔になった。
瞳孔が開いたが、大丈夫か?
復活したのか、聞いてくる。
「それでは、どちらも採取できたのでしょうか?」
「ああ。できたよ」
そう言いながら、収納庫から取り出して見せる。
手を伸ばそうとしてきたので牽制する。
「あっ、触ると腐るかもしれない。触れないで」
そう言うと、手が止まり、元に戻っていく。
「そうでした。しかし、精霊の許可ですか。重要情報です。記しておかなければ」
そう言って、思案顔だが。
「精霊の許可もですが、あの樹は安易に近付くと食われますよ」
「食われる?」
「ええ地面から、根っこでしょうか? 触手が出てきて、文字通り体を食い荒らす感じでした」
そう説明すると、また変顔になって驚くハウンド侯爵。
のんびりそんな話をしていた俺は、領主の館に行くものだと思っていた。
だが、俺たちを乗せた馬車は、静にオピドムの町から、外へ出て行く。
そしてその頃、応接室に戻ってきたセナンクールは、俺がいないことに愕然としていた。
「まだ、レシピを習っていないのに」
そして、側に控える猫獣人の子がぼそっとぼやく。
「一見、仕事のできそうなポンコツ。使えねぇ」
そう彼は、少し残念な人だった。
情報に関して、纏めるのが不得意。
そして、暇そうだからと、道照の相手をさせていたのに、相手を放り出してどこかへ行ってしまった残念な奴。
出張所内部で、彼の評価は下がってしまった。
だが、道照が帰ってくれば評価は、変わっていただろう。
ええ、帰ってくれば。
そして、領主の館でも、一人がお姫様扱いで歓待されながら、道照の帰りを待っていた。
そう、チャチャである。
はたして、道照は無事に帰ってこられるのか?
ギルドへ報告に行く。
「少し、お待ちください」
そう言って、奥にある個室へ通される。
調度品が飾られた、立派そうな部屋。
百八十センチメートルはありそうな、イヌ族かな? 盾を構え、右手には鞭。
ただ鞭の先には、尖った剣が付いている。
「それが、気になりますか?」
先に、部屋にいた男に、声をかけられた。
「ええ。神乃ともうします。失礼ですが。あなたはどなたですか?」
だが相手は、問いかけを完全に無視。
「昔、邪神が暴れた時。各種族の中で力あるものが選ばれ、それに打ち勝つ為、勇者を選択して挑んだ。その一人。獣人族の伝説。ウンギョウと呼ばれています。元はもう一人獅子族のアギョウと共に、獣人族の守護神としてたたえられた人物です」
「ウンギョウとアギョウ? 聞き覚えがあるな。なんだったか?」
そう言って話す男の人は、何故か悲しそうな表情なのも気になる。
「ところで、あなたは?」
再度聞いてみる。この人も、犬か狼か?
「この出張所のマスター。バルバラ・セナンクールと申します。種族はグレイウルフです。よろしくお願いしますね。元は、商業ギルド。経営は得意なので、まかされています」
「そりゃどうも。私は、神乃道照。ここでは、どっちが家名だい?」
「後ろですね。私なら、セナンクールが家名となります」
「じゃあ、道照神乃だな」
「そうですか。よろしくお願いしますね。神乃さん」
そう言いながら、何か興味を引いたようだ。
すっとぼけた感じだが、眼光は鋭いな。
「邪神は、その勇者達が封じたのか?」
「いえいえ。とんでもない。後の情報では、元々邪神も神と呼ばれる方々と同じ種族で、ただ己の快楽のために力をふるい。この世を混乱に陥れた。それも、茹だるような暑さ。すべてが凍る寒さ。大雨に大地の噴火、そして疫病。いわゆる厄災。そんなもの、人に何かが出来るようなものではありません。精霊様と、エンシェントドラゴン様。世を司るマガツヒ様が、鎮め封じてくださったと残っております」
「そうですか」
そんな話を聞いて、ふと思い出す。
「商業ギルドと言いましたよね」
「ええ、そうです。それが何か?」
「これ、売れますか?」
魚の燻製を出してみる。大半は、ヤマメだったりするが、ニジマスぽいのも居る。
出した瞬間に、セナンクールの目が光る。
「これは、干物でしょうか? いや、この鼻腔をくすぐる甘い芳香。そして干物と異なりしっとり感。そしてこのうま味。これは、噛めば噛むほど、ううむ。はっ、無くなってしまう。至高の瞬間が、この後味。そうか、この絶妙の塩加減。なんというものを食べさせるのだ、あなたは」
そう言いながら、顔は天を仰ぎ、よだれと涙でとんでもない事になっている。
その表情を見て、問いかける。
「売れそうですね」
「はっ。売る? これを? 買います」
あーやばそうだ。作り方を教えて、上前をはねようか?
「この近くに、川はありますか?」
そう聞くと、驚いた感じで答えてくれた。
「はっ。川? ありますとも」
「じゃあ、ギルドで魚を捕って作りますか? 作り方を教えますし、燻製は魚だけではなく肉とかでも出来ますので」
「良いのですか? 商業ギルドで専売をします」
食い気味で、そう言い切ると、走って行ってしまった。
かと思うと、すぐに戻ってきて一言。
「ギルドカードを、お願いいたします」
そう言われて差し出すと、ひったくる勢いで、持って行ってしまった。
そして、誰もいなくなった。
部屋に取り残されて、そして待つこと、小一時間。
「お待たせいたしました。馬車で、ハウンド侯爵様がお待ちです。こちらへどうぞ」
そう案内をされたが、質問して見る。
「行くのは良いが、マスター。セナンクールさんが、俺のギルドカードを持って行ったままなんだが」
そう言うと、またかという感じで、頭を抱える猫の獣人さん。
「こちらで何とかいたしますので。ハウンド侯爵様を先にお願いいたします」
そして、出張所の正面に行くと、馬車の前で家宰モルガン・セバスティヌが待ち構えていた。案内されるまま馬車に乗る。
中にはむろん、ハウンド侯爵が待機しており、早速という感じで質問が来る。
「ご苦労様だね。無事、採取は行えましたでしょうか?」
「何とかね。伝手があってよかったよ」
「伝手? 伝手とは?」
「木の精霊だ。許可を取らずに採取をすると、採った瞬間に実が腐ってね」
それを聞いた、ハウンド侯爵の顔が、なんと言うことでしょうという顔になった。
瞳孔が開いたが、大丈夫か?
復活したのか、聞いてくる。
「それでは、どちらも採取できたのでしょうか?」
「ああ。できたよ」
そう言いながら、収納庫から取り出して見せる。
手を伸ばそうとしてきたので牽制する。
「あっ、触ると腐るかもしれない。触れないで」
そう言うと、手が止まり、元に戻っていく。
「そうでした。しかし、精霊の許可ですか。重要情報です。記しておかなければ」
そう言って、思案顔だが。
「精霊の許可もですが、あの樹は安易に近付くと食われますよ」
「食われる?」
「ええ地面から、根っこでしょうか? 触手が出てきて、文字通り体を食い荒らす感じでした」
そう説明すると、また変顔になって驚くハウンド侯爵。
のんびりそんな話をしていた俺は、領主の館に行くものだと思っていた。
だが、俺たちを乗せた馬車は、静にオピドムの町から、外へ出て行く。
そしてその頃、応接室に戻ってきたセナンクールは、俺がいないことに愕然としていた。
「まだ、レシピを習っていないのに」
そして、側に控える猫獣人の子がぼそっとぼやく。
「一見、仕事のできそうなポンコツ。使えねぇ」
そう彼は、少し残念な人だった。
情報に関して、纏めるのが不得意。
そして、暇そうだからと、道照の相手をさせていたのに、相手を放り出してどこかへ行ってしまった残念な奴。
出張所内部で、彼の評価は下がってしまった。
だが、道照が帰ってくれば評価は、変わっていただろう。
ええ、帰ってくれば。
そして、領主の館でも、一人がお姫様扱いで歓待されながら、道照の帰りを待っていた。
そう、チャチャである。
はたして、道照は無事に帰ってこられるのか?
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