異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり

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第二章 人? との交流

第17話 自動化の種と、一筋縄でいかない仙樹の実

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 おもしろがって、アルトゥルに教えていく。
 アルトゥルは、ドワーフのおっさんだ。

 知っている機械機構を、順に書いていく。
 カム機構やジェネバ機構、リンク機構。

 いやあ盛り上がったが、飲んでいる酒がキツい。
 材料が何か知らないが、寝かせていないようでうまみやまろやかさがない。
 単なる、蒸留酒。
「寝かせる? 作れば飲む。放っといたら、酒精が薄くなるじゃねえか」
 そう言う事らしい。

 色々が、過渡期なのだろう。
 多少、知識チートが出来そうだ。
 まだ、ベアリングもないようだし。
 情報は与えたし、これからきっと、アルトゥルの工房から、魔改造された製品が製作され始めるだろう。

 蝶番の説明をして、目的の折りたたみ式燻製器を三台作製。くれるというので貰って帰る。

 それから、特に用意も必要ないので、町を後にして先日来た道を戻っていく。

 先日不幸な出来事があった焼け野原で、人が集まりわいわいしていたが、気にせず通り抜ける。
 ところが、一羽の角ウサギと目が合った。
 目が合った瞬間、失礼にも一目散に逃げていった。
 どうやら、彼か彼女か知らないが、深い悲しみを抱えているようだ。原因は…… 思い当たるが、あれは事故なんだ。姿のなくなった方向を、なんとなく眺めて心の中で謝る。

 俺は、悪い人間じゃないんだよ。多分。

 気を取り直して、歩き始める。
 村の近くでは、チャチャの両親が出てこないかと、足早に駆け抜ける。

 早めに川へ出て、魚を捕りながら遡上をしていく。
 途中で、蔓草の繊維でスカリを作り、生かしたまま川に沈めていく。
 スカリは、魚を入れておくネットだ。

 そうして、幾日ぶりに拠点へ帰ってきた。
 なんだろう。妙な郷愁を感じる。
 河原に、折りたたみ式燻製器を三台取り出し、塩焼きと燻製を作り始める。

 都合が良いことに、俺の創った亜空間はこちらと時間の差異があるらしく時間の進みが違う事に気がついた。そのため日持ちがする。

 そうそう、妙に銀貨が主で使われると思ったら、銀がこの地方の主とした生産物で、銀貨一枚が三千円程度で使われているようだ。金貨は、一枚十万円見当だろうか?
 基本は、重量と純度で貨幣レートが決まるようで、金が多く取れるところは銀よりも金が安い事もあるようだ。
 それと、以外と塩が高級品だった。運んでくる途中で溶けるのだそうだ。
 吸湿や、雨に降られたり色々あるのだろう。

 二日ほど掛けて、商売の種が作れた俺は、崖の上に飛び上がる。
 いつかの場所へ向かう。

 いやそこからが、大変だった。
 最初、木の実にも襲われるといやなので、長い棒を作りたたき落としたり色々したが、採った瞬間に変色して、明らかに傷む。
 落としたせいかと思い、身体能力を生かして、走り幅跳びの要領で木の実を採ってみたが、採った瞬間に腐る。
「なんじゃこりゃぁ」
 思わず、うめく。

 さすがに手がない。
 凍らせてもみたが関係ないようだし、魔力を与えても駄目。
 さすがに、途方に暮れる。
「安請け合いをして、ドツボにはまる最悪の状況だな。樹のことは桜に聞くか」
 かなりくじけて、桜の元へ話をしに行く。此処ですでに二日費やしていた。

〈おや。主様どうされました?〉
 桜の木に、魔力を与えると桜が出てくる。

「少し聞きたいことがあって」
 すると凄く嬉しそうに、聞いてくる。

〈なんでしょうか?〉
「あーうん。大したことではないのだが、木の実が欲しくてね」
〈木の実でございますか? どうぞ〉
 そう言って、大きな葉っぱに乗せた、サクランボが目の前に出される。

「ああ。ありがとう」
 礼を言って受け取る。
 桜は、凄く嬉しそうだが、今イチ美味くないんだよな。
 むろん表情にも出さないが、こいつは心が読めた。

 にこやかだった顔が、急激に曇り、凄く悲しそうな顔になる。
「あっいや。シロップ漬けにすると美味しいから。ありがたく頂くよ」
〈お役に立てず、申し訳ありません。それと、オオカムズミについても、主様を主として登録いたしました。必要なだけお持ちください〉
 少ししょんぼりした状態で、説明してくれた。

「あれって、採ると腐るのだが、どうしてなんだ?」
〈あれは、元々この世界の物ではありません。今は封じられている邪神がどこからか持ってきたもの。人の心に訴え、あれを盗ろうとしたものを引き寄せるもの。邪神が封じられその後、私たちが少し改良し悪しき成分をなくし、良いところのみを残しました。元は、一度でも口にするとずっとソレのみを欲して、怠惰な行動をする良くないものでした。まあその後も、噂を聞いて人は来ましたが、樹の栄養になるばかり。正しき者には権利を与え、幾人かには与えましたが、その話が残っているようですわね〉

 とりあえず、魔力を与えながら頭をなでる。
 途端に、表情が変わりふへへとだらしなくなる。
 手を離し、聞いてみる。
「あーうん。とりあえず。これで襲われなくなったのかな」
〈あっ。もっと。あっいえ。そうでございます〉
 とりあえず、もう一度頭をなでる。

 また、でへへな顔になる。
 一応満足するまで、なでたが頭が禿げるんじゃないだろうか?
 てっぺんの光り輝く超美人。
 なんだか残念になるな。

 まあ礼を言って、こわごわ採取に行ったが、今度は腐らず入手できた。
 今度からは、まず桜を頼ろう。

 その後桜は、実を甘くして道照を待ったが、彼が来たのは数年の歳月が経った後だった。
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