73 / 171
第一章
70話
しおりを挟む
アール君はヌヌから飛び降り、私のグローブを回収した。私はいま落下ちゅう、サタ様が『エルバ、ホウキに乗る時のように浮くか、飛ぶイメージしろ!』と、私を追っかけながら叫んだ。
浮くか飛ぶ……私はホウキに乗るときと同じイメージしたが、ヌヌに飛ばされた鼓動と落下する恐怖で、頭の中のイメージがまとまらない。
「ごめんサタ様、できない……無理、無理、こんな状況で落ち着いてイメージできない」
「チッ、ヌヌ、もっと早く飛べ!」
「わかってるけど……おれっち、これ以上は力が入らないよう……」
檻の中で十分な食事が与えられず、魔力不足なのか飛ぶのがやっとなヌヌ。サタ様もヌヌから降り、元の姿に戻ると、私に向けて手を伸ばした。
「エルバ、つかまれ!」
「……サタ様!」
ふと頭によぎった、ガードレールから飛びでて落ちる前世の私。あの時もこんな感じだった様な気がする、でも違うのは、必死に私を助けようとしてくれる――みんながいる。
サタ様に向けて手を伸ばしたけど、闘技場の学生達が体制を立て直し、教師の命令でヌヌに向けて魔法を飛ばし、体に命中させた。
「「ギャッ!!」」
「ヌヌ?」
「サタナス様、おれっちは平気だよぉ~。早く、タクスの子を助けてあげてぇ~」
何発もの、魔法をくらいながらも笑うヌヌ。
「サタ様、ヌヌは僕が守ります。エルバ様を助けてください」
「あい、わかった!」
そのやりとりを見ながら……走馬灯を垣間見た。
だけど、私がガードレールを飛び出して、カバンを掴んだ所までの記憶しかない。
後の記憶がない……もしかして、神様かお弟子さんが配慮して、記憶を消してくれたのかも。
「「エルバ!」」
サタ様が伸ばした手が、あと寸前のところで届かない。
「と、届かぬ」
「大丈夫、サタ様! ママの魔法『防御魔法』がかかったローブを着ているから……多分、落ちても平気だよ」
「だまれ!」
と、言ったけどサタ様の姿がポフッとモコ鳥に戻る。
その後ろではアール君が必死に防御壁で、ヌヌを魔法攻撃から守っていた。頭に思い浮かぶのは魔力切れ……私達は王都に来てからも結構、魔力を消耗している。
自分の姿が戻っても助けようとしてくれるサタ様に『無理しないで』『私は大丈夫』だと笑いかけて、バッグを胸に抱いて目を瞑った。
「「エルバァァァ――!」」
地面に落ちる寸前……[大丈夫よ]と声が聞こえた。
目を開くと、私の体の周りに黄色い花びら舞い、ふわりと体が浮き、キラキラ光る綺麗な人の胸元に羽のようにフンワリ落ちた。
[あなた、大丈夫?]
「…………!」
覗き込む、サラサラな緑のロングヘアとやさしげな瞳、この世の人とは思えない美貌の人が細腕で、健康体な私の体をガッシリ抱きかかえていた。
(誰?)
[……どうしたの、大丈夫?]
「は、はいぃ……た、た、たすかりました、ありがとうございます!」
[フフ、元気そう、よかったわ]
美人さんに下ろしてもらったのだけど、足はガクガクで尻餅をつく。
……イ、イテテ。
[大丈夫?]だと心配してくれる、美人さんの手を借りてどうに立ち上がり、深呼吸して空を見回した。
すぐ側にさっきまでいた闘技場が見え、私が無事に着地したことを確認したサタ様と、アール君は空で飛んでくる魔法に応戦している。
「サタ様、アール君、ヌヌ君」
[心配? でも彼らは強いから平気よ]
「はい……みんなは強いですが、ケガをしていないか心配です」
[フフ、優しいのね。チャイムという物が鳴って授業が終われば、すぐに攻撃もやむわ。その後、すぐに騎士団が来るだろうけど」
「騎士団?」
[良い実験材料になりそうな、魔犬が逃げてしまったのですもの、もう一度捕まえなくてはね]
滅多に見ることができない、希少種の魔犬を捕まえた。
騎士団は、勇者パーティーの末裔などがいるクラスが魔犬ヌヌを倒した後に回収して、何らかの実験に使うつもりだったのだろう。だけど番狂わせが起こった。
ヌヌはサタ様の力も借りたけど……勇者パーティーの末裔より強過ぎたのだ。
(あ、こんな場面が小説にもあった様な気がする。戦闘訓練の授業でヒーローと新魔王、前魔王様が突如暴れだした魔物からヒロインを守るんだ)
その時、魔物がなぜ暴れたのか説明していたけど……いくら思い出そうとしても、思い出せなかった。
❀
学生達の魔法での攻撃からヌヌを守るサタ様とアール君。授業終了のチャイムが鳴り、授業が終わったのか闘技場から魔法は飛んでこなくなった。
攻撃が終わったとサタ様、アール君、ヌヌは直ぐにこちらには降り来ると思ったけど、闘技場を見て何か話しているようだ。
[騎士団の捜査が始まるみたいね……魔術師達が集まり、捜査魔法、サーチ魔法をしようとしているのかしら? ……でも、上手の彼らは見つからないわね]
フフと美人さんは笑う。
みんなは何か対策でもしているのかなと、私が落ちた先を見渡すと緑が生い茂る小さな庭だった。その庭の中央には大きな木が育ち、見覚えがある黄色い花を咲かせていた。
「黄色い桜?」
[桜? コレはこの国の国花キバナという花なのよ]
「……キバナ?」
《名前をキバナといい、観賞用の葉が広く平たい広葉樹です》
博士、効能は?
《???です》
ライト草とツーン草の時と同じで、キバナの効能はわからなかった。博士にタネをもらって植えたけど……初めての広葉樹はエルバの畑半分をうめた。
(お、大きい)
エルバの畑は1ページに30種のタネが植えれる、広葉樹は15マス埋めるのか。キバナは黄色の花だけど、どこか故郷の桜に似ていてなつかしく感じた。
「エルバ、怪我はないか?」
「エルバ様」
「ごめんね~」
みんなは話し合いが終わったのか、私がいる庭に降りてくきた。サタ様は定位置となった私の頭に乗り、小さな羽を胸にかかげ紳士の挨拶をすると、遅れてアール君、ヌヌも頭を下げた。
「精霊よ――エルバを助けてくれてありがとう」
「ありがとうございます」
「よかった~ありがとう」
[私の名前はキバナの精霊キキ。フフ、こんなに可愛い子が空から降ってくるのですもの、神様からのプレゼントかと思ってしまったわ]
と、美人さん――キキは可憐に笑った。
浮くか飛ぶ……私はホウキに乗るときと同じイメージしたが、ヌヌに飛ばされた鼓動と落下する恐怖で、頭の中のイメージがまとまらない。
「ごめんサタ様、できない……無理、無理、こんな状況で落ち着いてイメージできない」
「チッ、ヌヌ、もっと早く飛べ!」
「わかってるけど……おれっち、これ以上は力が入らないよう……」
檻の中で十分な食事が与えられず、魔力不足なのか飛ぶのがやっとなヌヌ。サタ様もヌヌから降り、元の姿に戻ると、私に向けて手を伸ばした。
「エルバ、つかまれ!」
「……サタ様!」
ふと頭によぎった、ガードレールから飛びでて落ちる前世の私。あの時もこんな感じだった様な気がする、でも違うのは、必死に私を助けようとしてくれる――みんながいる。
サタ様に向けて手を伸ばしたけど、闘技場の学生達が体制を立て直し、教師の命令でヌヌに向けて魔法を飛ばし、体に命中させた。
「「ギャッ!!」」
「ヌヌ?」
「サタナス様、おれっちは平気だよぉ~。早く、タクスの子を助けてあげてぇ~」
何発もの、魔法をくらいながらも笑うヌヌ。
「サタ様、ヌヌは僕が守ります。エルバ様を助けてください」
「あい、わかった!」
そのやりとりを見ながら……走馬灯を垣間見た。
だけど、私がガードレールを飛び出して、カバンを掴んだ所までの記憶しかない。
後の記憶がない……もしかして、神様かお弟子さんが配慮して、記憶を消してくれたのかも。
「「エルバ!」」
サタ様が伸ばした手が、あと寸前のところで届かない。
「と、届かぬ」
「大丈夫、サタ様! ママの魔法『防御魔法』がかかったローブを着ているから……多分、落ちても平気だよ」
「だまれ!」
と、言ったけどサタ様の姿がポフッとモコ鳥に戻る。
その後ろではアール君が必死に防御壁で、ヌヌを魔法攻撃から守っていた。頭に思い浮かぶのは魔力切れ……私達は王都に来てからも結構、魔力を消耗している。
自分の姿が戻っても助けようとしてくれるサタ様に『無理しないで』『私は大丈夫』だと笑いかけて、バッグを胸に抱いて目を瞑った。
「「エルバァァァ――!」」
地面に落ちる寸前……[大丈夫よ]と声が聞こえた。
目を開くと、私の体の周りに黄色い花びら舞い、ふわりと体が浮き、キラキラ光る綺麗な人の胸元に羽のようにフンワリ落ちた。
[あなた、大丈夫?]
「…………!」
覗き込む、サラサラな緑のロングヘアとやさしげな瞳、この世の人とは思えない美貌の人が細腕で、健康体な私の体をガッシリ抱きかかえていた。
(誰?)
[……どうしたの、大丈夫?]
「は、はいぃ……た、た、たすかりました、ありがとうございます!」
[フフ、元気そう、よかったわ]
美人さんに下ろしてもらったのだけど、足はガクガクで尻餅をつく。
……イ、イテテ。
[大丈夫?]だと心配してくれる、美人さんの手を借りてどうに立ち上がり、深呼吸して空を見回した。
すぐ側にさっきまでいた闘技場が見え、私が無事に着地したことを確認したサタ様と、アール君は空で飛んでくる魔法に応戦している。
「サタ様、アール君、ヌヌ君」
[心配? でも彼らは強いから平気よ]
「はい……みんなは強いですが、ケガをしていないか心配です」
[フフ、優しいのね。チャイムという物が鳴って授業が終われば、すぐに攻撃もやむわ。その後、すぐに騎士団が来るだろうけど」
「騎士団?」
[良い実験材料になりそうな、魔犬が逃げてしまったのですもの、もう一度捕まえなくてはね]
滅多に見ることができない、希少種の魔犬を捕まえた。
騎士団は、勇者パーティーの末裔などがいるクラスが魔犬ヌヌを倒した後に回収して、何らかの実験に使うつもりだったのだろう。だけど番狂わせが起こった。
ヌヌはサタ様の力も借りたけど……勇者パーティーの末裔より強過ぎたのだ。
(あ、こんな場面が小説にもあった様な気がする。戦闘訓練の授業でヒーローと新魔王、前魔王様が突如暴れだした魔物からヒロインを守るんだ)
その時、魔物がなぜ暴れたのか説明していたけど……いくら思い出そうとしても、思い出せなかった。
❀
学生達の魔法での攻撃からヌヌを守るサタ様とアール君。授業終了のチャイムが鳴り、授業が終わったのか闘技場から魔法は飛んでこなくなった。
攻撃が終わったとサタ様、アール君、ヌヌは直ぐにこちらには降り来ると思ったけど、闘技場を見て何か話しているようだ。
[騎士団の捜査が始まるみたいね……魔術師達が集まり、捜査魔法、サーチ魔法をしようとしているのかしら? ……でも、上手の彼らは見つからないわね]
フフと美人さんは笑う。
みんなは何か対策でもしているのかなと、私が落ちた先を見渡すと緑が生い茂る小さな庭だった。その庭の中央には大きな木が育ち、見覚えがある黄色い花を咲かせていた。
「黄色い桜?」
[桜? コレはこの国の国花キバナという花なのよ]
「……キバナ?」
《名前をキバナといい、観賞用の葉が広く平たい広葉樹です》
博士、効能は?
《???です》
ライト草とツーン草の時と同じで、キバナの効能はわからなかった。博士にタネをもらって植えたけど……初めての広葉樹はエルバの畑半分をうめた。
(お、大きい)
エルバの畑は1ページに30種のタネが植えれる、広葉樹は15マス埋めるのか。キバナは黄色の花だけど、どこか故郷の桜に似ていてなつかしく感じた。
「エルバ、怪我はないか?」
「エルバ様」
「ごめんね~」
みんなは話し合いが終わったのか、私がいる庭に降りてくきた。サタ様は定位置となった私の頭に乗り、小さな羽を胸にかかげ紳士の挨拶をすると、遅れてアール君、ヌヌも頭を下げた。
「精霊よ――エルバを助けてくれてありがとう」
「ありがとうございます」
「よかった~ありがとう」
[私の名前はキバナの精霊キキ。フフ、こんなに可愛い子が空から降ってくるのですもの、神様からのプレゼントかと思ってしまったわ]
と、美人さん――キキは可憐に笑った。
106
あなたにおすすめの小説
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
1つだけ何でも望んで良いと言われたので、即答で答えました
竹桜
ファンタジー
誰にでもある憧れを抱いていた男は最後にただ見捨てられないというだけで人助けをした。
その結果、男は神らしき存在に何でも1つだけ望んでから異世界に転生することになったのだ。
男は即答で答え、異世界で竜騎兵となる。
自らの憧れを叶える為に。
才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!
にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。
そう、ノエールは転生者だったのだ。
そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。
ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。
千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。
気付いたら、異世界に転生していた。
なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!?
物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です!
※この話は小説家になろう様へも掲載しています
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ
翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL
十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。
高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。
そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。
要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。
曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。
その額なんと、50億円。
あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。
だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。
だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる