嵐は突然やってくる

白うさぎ

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第8章 彼女と空

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「あれ?廉くんと百々ちゃんまた不思議な距離感だね」
お風呂から上がってきた直人さんが突っ込んでくれたんだけど、百々は離れてくれない。
それどころか腕にしがみついてきて、俺は直人さんに空君が夢で伝えてくれたぬいぐるみあったよ!って伝えたいのに伝えられなくてもどかしい。
「廉ちゃん。直人さんにお話ししたいことがあるんでしょ?」
「うん!」
「あれ?珍しいね!元気な声だ。」
そんなにいつもと違うのかな?
「これ!!」
「あれ・・・?それ、昔翔が空からもらってなくしてたぬいぐるみ・・・。」
「あら翔君なくしてたの?」
「うん、空が小学校の時の修学旅行でお揃いで買ってきたみたいで。空の分は空がなくなった後に翔が部屋に持っていったのは知ってるけど、何年か前になくしたって言ってたんだよね。あんまり物なくすことない翔が珍しいとは思ってたんだけど・・・。それにしても廉くんの部屋ってリフォームしたのにそんなことあるんだね。」
確かに・・・。俺と百々の部屋は俺たちが引っ越してくる前に確かにリフォームされてた。
ってことは、この人形は空君が移動させたのかな?
「不思議だね・・・。」
百々が俺の握っている人形をじっと見つめる。
心なしか気まずそうに見える人形。
「廉ちゃんぬいぐるみがいっぱいね。」
そう言って何も疑わない母親。
「そうだ!空君の代わりならお洋服とかあったほうがいいよね!たくさん買う!」
「百々は勉強があるでしょ。」
「それくらい息抜き中にできるもん・・・。」
「百々ちゃん、文が作れるからどんなのがいいか案だけくれる?」
2階から降りてきた翔さんが途中から聞いていたのか百々がはぶてないようにしてくれた。
「わかった。」
「で、なんのお洋服なの?」
あ、そこは聞こえてなかったんだ。
「廉くんが夢で空が言っていたぬいぐるみを見つけたらしいんだ。」
「まじで!?どこにあったの?」
「クローゼットの中の隅っこ。」
「あれ?でもリフォームしたよね。それにそのぬいぐるみ。」
「だろ?だからきっと空が本当に廉くんに渡したかったんだろうね。そのぬいぐるみ。」
「俺が廉くんたちが引っ越す前に掃除した時はなかったのに・・・。」
「翔さん・・・これ俺がもらっちゃダメ?」
「ううん、いいよ。これは空が廉くんにあげたかったんだろうからね。お洋服、文に作ってもらうように頼んでおくね。」
「うん。」
「廉くんよかったね。」
「うん!!」
「さ、おせち食べましょ。」
「百々頑張ったよ!」
「伊達巻たまご初めて作ったのよね。」
百々は伊達巻たまごと紅白かまぼこを切ったりしたらしい。
あとはお雑煮。
「百々、ありがとう。」
「ママ・・・。やっぱり今日の廉ちゃん変・・・。」
「百々ちゃん、変って廉ちゃんが可愛そうよ。」

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