嵐は突然やってくる

白うさぎ

文字の大きさ
上 下
141 / 243
第五章 ハタチ

しおりを挟む
マッサージのおかげか、足がだいぶん楽になり今度は眠たくなってきた。
百々にもらったカフェラテを飲みながら目を瞑る。
「廉ちゃん、寝ちゃうならカフェラテ百々ちゃんに預けて?こぼしちゃう」
「もらうね~」
百々が持ってくれて、本格的に眠りの世界へ。
起きたら知恩院のすぐ近くの駐車場にいた。
「起きたかい?」
内臓のあたりからだるい感じがする。
体が内側から疲れたと訴えかけているが、どうせ今晩すでに疲れ熱が出るだろうと言われてるなら知恩院も見て帰りたい。せっかく連れてきてもらったんだから。と自分に言い聞かせて頷いた。
「廉ちゃん、あとここだけ見たらもう帰るから少しがんばろう。」
「百々ちゃんは足痛くない?」
「うん!廉ちゃん寝てる間にフットマッサージャーしたからね」
「ママも帰りにやろうかな」
「やったらめっちゃ足楽だよ!」
「さ、行こうか。」
先ほどの清水寺に比べたら人は全然いなくて、ヘッドホンは完全に外した。
外から見ても立派な門だなって思ったけど・・・その先にこんな階段あるなんて聞いてない・・。
「廉ちゃん、グリコでもする?」
「・・・いい。」
こうなったら黙々と上るしかない。
元気な時なら百々と二人で駆け上がってたかもしれないけど、一歩一歩踏みしめる様に上る。
「廉くん、おぶろうか?」
翔さんに聞かれたが首を振って少し呼吸が荒くなりながらも上る。
10分かけて他の参拝客にたくさん抜かれながら自分の足で上り切った。
正直横の紅葉なんて見る余裕はなかったが、上り切った先にもきれいな紅葉が広がっていた。
「そこで飲み物かって少し休もう。」
自販機でジュースを買ってもらい、量が多いので百々と半分こで飲む。
「廉ちゃん、もう眠たそうだね。」
百々に言われた通り、もう寝ていいよって言われたらすぐに寝る自信がある。
「そこで手を合わせたら帰ろうね。」
また長い線香を立てて煙を浴びる。
「けほっ・・・・」
思いっきり煙を吸ってしまって空気の乾燥もあり少し咳が出た。
「大丈夫?」
直人さんが心配してくる。
「・・・うん。」
手を合わせて、少しだけ周囲を散策する。
「さて、降りようか。」
上ったら下りる・・・。そりゃそうだよね。見下ろしても急だな・・・。
でも景色はいいなと、少し景色を楽しんで階段を下った。
途中で転びそうになって、一段一段細心の注意を払った。
「よし!到着。じゃあ、帰ろうか。」
「うん!楽しかった!!」
「廉くんより百々ちゃんが楽しんだかな」
そう言って翔さんが笑ってる。
母親も疲れているようで、いつもよりおとなしい。
元気なのは直人さん、翔さん、百々だけだ。
車につくと直人さんが足置きを出してくれて座席を少しリクライニングさせてくれて休みやすくしてくれた。
「寝ていいからね。スポーツドリンクさっき買ったから飲んでね。」
20歳になっても直人さんは俺に甘々だな・・・。
「ありがと」
「いいんだよ。」
翔さんと直人さんは運転席と助手席につき、百々は俺の横に、母親は一番後ろの席に座った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

「今日でやめます」

悠里
ライト文芸
ウエブデザイン会社勤務。二十七才。 ある日突然届いた、祖母からのメッセージは。 「もうすぐ死ぬみたい」 ――――幼い頃に過ごした田舎に、戻ることを決めた。

『 ゆりかご 』 

設樂理沙
ライト文芸
" 揺り篭 " 不倫の後で 2016.02.26 連載開始 の加筆修正有版になります。 2022.7.30 再掲載          ・・・・・・・・・・・  夫の不倫で、信頼もプライドも根こそぎ奪われてしまった・・  その後で私に残されたものは・・。            ・・・・・・・・・・ 💛イラストはAI生成画像自作  

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。

しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。 私たち夫婦には娘が1人。 愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。 だけど娘が選んだのは夫の方だった。 失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。 事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。 再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。

夜食屋ふくろう

森園ことり
ライト文芸
森のはずれで喫茶店『梟(ふくろう)』を営む双子の紅と祭。祖父のお店を受け継いだものの、立地が悪くて潰れかけている。そこで二人は、深夜にお客の家に赴いて夜食を作る『夜食屋ふくろう』をはじめることにした。眠れずに夜食を注文したお客たちの身の上話に耳を傾けながら、おいしい夜食を作る双子たち。また、紅は一年前に姿を消した幼なじみの昴流の身を案じていた……。 (※この作品はエブリスタにも投稿しています)

処理中です...