嵐は突然やってくる

白うさぎ

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第五章 ハタチ

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「じゃあ、もう一か所だけ寄って帰るよ。」
「あれ?もう帰るんじゃなかったの?」
「知恩院ってところに寄って帰るよ。」
「なぁに?それ。」
「紅葉がきれいだし廉くんも落ち着くかなぁって。ちょっと疲れちゃうけど、すぐ近くだから。」
「へぇ。どんなとこか楽しみ!」
百々は絶対知恩院が何なのかも知らなさそう。俺もわかんないけど。
駐車場も近くにあるので車で移動するとのことで車を止めてるところまで戻る。
だんだんと人がいるのに慣れてきてヘッドホンを肩に落とした。
「・・・・直人さん・・・つかれた・・・。」
「偉い!言えたね!!もうちょっとで駐車場だから翔がおんぶしてもいいかな?」
しゃがみ込んだ俺に合わせてかがんで直人さんが訪ねてきたので恥ずかしいけどお願いした。
「はい、おんぶ。」
翔さんの背中に乗ると、すぐに駐車場までスタスタ歩いてくれた。
幸い、疲れたといった場所は最初の人があまりいない道に入った時でそこまで抵抗なくおんぶされた。
「よく歩いたね!退院してから初めてこんなに歩いたらそりゃ疲れちゃうよね。」
「正直廉ちゃん、行きの時点でおんぶかと思ってたのよ。」
母親も俺がここまで歩ききったことに歓心していた。
「ママ、百々もおんぶ!!」
「百々ちゃんは昨日よりまだ歩数少ないわね!」
そう言われて背中を押されていた。
車について、席に座ると携帯のフットマッサージャーをセットしてくれた。
「あ、これ持ってきてたんだ。」
「百々ちゃんや百合さんがいるかなって思ってね。でも、一番必要なのは廉くんだったね。それで少しは足のつかれが改善したらいいんだけどね。」
「うん・・・。」
「廉ちゃんぐったりだね。」
「知恩院いく前に1時間休憩しようね。」
「あ、百々そこのカフェでカフェラテ買ってくる!」
「翔、一緒に行ってあげて。」
「うん。」
「廉くん、今夜疲れ熱出ちゃうかもしれないね。」
「大丈夫よ。楽しかったってことよ。ね?廉ちゃん」
「・・・うん」
「そっか。廉くん足すこしは楽?」
「うん」
このマッサージャー本当に楽になるんだなぁ・・・。
「廉ちゃん、これはママに言ってくれたら貸すから買わないのよ?」
・・・。バレタ・・・。一瞬買うか迷ったのばれた・・・。こわ、母親って。
リラックスしていると、百々たちが戻ってきた。
手に人数分のコーヒーを持っている。
「廉ちゃんとママはカフェラテ、直人さんはコーヒー。」
「ありがとう」
「ありがとね、百々ちゃん。」
「・・・ぁりがと」
「廉ちゃん、それ飲んで知恩院までがんばるんだぞ!」
「うん・・・。」
知恩院の階段があんなに大変だなんて思ってもなかったんだよ、この時は・・・。
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