嵐は突然やってくる

白うさぎ

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第五章 ハタチ

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「よし、忘れ物はないかい?」
「ないわね!」
「さっき部屋中見たけどゴミ一つ落ちてなかったよ。」
「じゃぁ行こうか。」
百々がささっとメモ紙に「お世話になりました!この旅館最高でした!!」と書いて机に置いていた。
この旅館1泊いくらしたんだろう・・・。
そう思いつつ旅館を後にして、車に乗り込む。
11時に出発でさすがに直人さんのお酒は抜けているようで、念のために自分で持っているらしいアルコール検査の機械でも見事0が出たので車で移動となった。
最悪直人さんまだアルコール抜けてなかったらタクシーで清水までタクシーで移動する気だったらしい。
「近くのパーキングに停めるからね。」
「廉ちゃん寒いからカイロ。」
久々に外出しっかりするなと思いながらカイロを袋から出してシャカシャカ振る。
人は怖いけど実はちょっと楽しみ。
久々に高揚する気持ちを感じた。
すぐに清水近くのパーキングが見つかり停める。
「運がよかったね。こんな近く。」
「確かに。」
「さぁ降りて、坂道のぼるよ。」
キャップを深めにかぶりヘッドホンをする。
「廉ちゃん、真ん中ね。」
翔さんと百々が前を歩き後ろを直人さんと母親が歩く。
百々が道案内をしながら、人のいない道を選んで上っていく。
「寒くない?」
直人さんが途中でカイロをもう一つ渡してくれた。
団子屋さんがチラッと目に入った。
「廉ちゃん、お団子食べてみる?」
見逃さなかった母親がそう言って店に入る。
お団子を誰もいなかったので壁側の席に座った。
「・・・ぉぃしぃ・・・。」
小さい声で言うと、百々が大きい声で「おいしいね!」といって場が和んだ。
お団子と一緒に写真を撮ったりしてまた清水を目指し上っていく。
「廉くん、足がちょっともつれてきてるけど・・・。」
坂道をずっと上るって退院してからなかったし、平坦な道なら30分は歩けるように体力戻ったんだけど、坂道となると足が追いつかない。
「ゆっくり登ろう。時間はあるからね。」
「おんぶしようか?」
急いで首を振る。
おんぶなんて余計に注目されてしまう。
後少しなんだけど、後少しで急になるんだよねこの坂・・・。
「少し休憩しながら歩こうね。」
そう言って端によって休憩する。
「本当に無理ならおんぶするからね?」
直人さんにそう言われて、少しマッサージをする。
足が小鹿みたいにプルプルする・・・。
「廉ちゃん屈伸屈伸!!」
母親に言われて少し屈伸する。
ヘッドホンに多少顔面をやられながら屈伸したら少しだけ足の震えが弱くなった気がした。
こけたらおんぶの約束をさせられて、また上り始めた。
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