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【おまけ】第27騎士団、集合!
小さな魔術師
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「魔物の被害が増えている」
自分たちの報告が丸無視されてから1年。
魔法持ち領主の一人が「自分の力だけでは持たない」と訴えに来た事で、ようやく第27騎士団にも新しい任務が下された。
魔法持ち領主の治める土地から魔物を追い出す仕事だ。
散々自分たちを馬鹿にしてきた連中を助けてやるようで腹立たしいが、そこの領民の事を考えれば領主の事など言っていられない。
そうして、ある日あの街へ行き、徹底的に魔物を潰し、3日遅れでそこから馬車で1日程の村へ討伐範囲を広げ…
その道の途中で、子どもだけの一団と出会った。
彼らが固まって眠っているのに、魔物は彼らに手が出せないようだった。
何故だろうと近づいてみると、恐ろしく強固な結界が彼らを包んでいた。
それが、その子どもたちの中の一人がやった事だと分かった時は驚愕した…
そして、その子どもの言う事もまた、普通では無かった。
「…ビゼー、お前いくつだっけ」
「はぁ、今年で29歳になりますが」
「んじゃあいつは30歳だ。
30歳の男が、みなしごたちを連れて村を捨てて逃げたのを拾った。
それで行く」
「「「……はっ」」」
彼らは、親によって人買いに売られた。
だが、人買いに子どもを売るなんて酷い親だと言う相手もいなかった。
彼らが生まれた村の人間は、全員が。
村の中心にあった、大きな木で、首を吊っていた。
売られなかった子どもも、一緒に…
その上その死体に魔物が群がり、殆どの死体は下半身が…無かった。
「こんな惨い話が、あるかよ…!」
つまり、一家心中を選ぶか、子どもだけでも逃がすか、二択。
子どもだけでも生きて欲しいと願った親が、一縷の望みを賭けて…人買いに、子どもを…
「一緒に天国へ行こうね、と、少しでも長く生きてね、の、どっちが正しい親心かって…
そんなの、一緒に何とかして生きていこうって、それが選べないって…!!」
全員が怒り、悲しみ、それだけでは収まらない悲劇に、へし折れるほど歯を食いしばって涙を堪えた。
子どもたちが泣いていないのに、自分たちが泣く訳に行かない。
自称30歳の、その子も言った。
「…この程度の事で泣いてたら、この先やっていけませんよ。
子どもを買う先はいくらでもあると人買いは言っていましたから…
だから1万でも出しすぎだ、ってね」
「いちまん!?」
「ええ、税金も払えませんよ。
年に50万ですから、子どもを50人売ってようやくです」
「…くそどもが…!!」
騎士団の全員が、そこの領主をぶち殺したくなった。
その心に何とか蓋をして、その村の隣の村、またその隣…とどんどん魔物を狩った。
行程は今までよりずっと早く進んだ。
「…氷弾百撃」
自称30歳の彼が一言唱えるだけで、大魔法が展開し、魔物はバタバタと死んでいく。
狩り残しを殴ったり切ったり刺したりすれば、討伐が終わってしまうのだ。
「どんな騎士も、あの子には勝てませんな」
「ああ、魔法の詠唱が短いからな」
彼は、今までの常識であった「魔法が発動する前に殴れば勝てる」を覆す速さで魔法を使う。
ビゼーの速度でも無理なら、誰でも無理だろう…
騎士団の全員が、彼を一人前以上に扱う事に異論を唱えなかった。
「ギゼル!あいつの額に一撃入れられるか」
「ああ、そこが弱点なんだ?」
「いや、昏倒させてから首を落とした方が肉が柔らかいんだよ」
「ふ~ん…『雷撃一閃!!』」
そうして獲った魔物は捌いて飯に変えた。
そうして、やせ衰えた村人でも食えるものを糧食から提供し、自分たちは魔物肉を食って…
「みんな!今日もお肉だって!」
「「わ~!やったぁ!!」」
そして、連れて行くと決めた子どもたちの誰一人、たまには他の物が食べたいなどと文句を言わなかった。
我儘を言わず、しかも子どもらしく振舞う事で捨てられまいと必死だった。
「…やはり、領主に一言言ってやらねば気が済みません」
「そんなん全員だよ。
…どっちにしろ、こいつらの年齢を調べに領主の住んでる街に行かなきゃならねぇ。
そん時だな」
「…分かりました」
ビゼーはしぶしぶ頷き、他の団員にもそれを伝えた。
そして最後の村での討伐が終わった時に全員が『これで領主をぶっ殺せる』と喜んだのは、言うまでもない。
***
かの領地での魔物討伐が終了し、まずは戸籍の確認がてら役場へ行く。
ところが…
「…まさか全員戸籍が無いとは」
「知ったからには、登録しないとだわナァ」
「でもギゼルの年齢が分かんないまんまじゃん…どうすんのよ」
「いや…もう、良いんじゃないか?
他の子も自己申告の年齢で登録するんだし、30歳で…」
ユッカたちは役場で大量の手続きをするはめになった。時間がかかりそうなので、子どもたちは数人の団員たちと先に詰所へ帰らせる事にした。
「あの~団長、この親の名前んとこですけど…」
「……全員俺の名前にしておけ」
というわけで、この日ユッカにはいきなり21人の子どもが出来た。
ただ30歳で申告したギゼルだけは、親の登録が必要無かったので誰の子どもでも無かったが。
「さて、それじゃ領主様に討伐終了の報告に行くとするかね」
「…ええ」
だが、その必要は無かった。
自分たちが役場で書類を書いている間に、子どもたちを引き取ってやると詰所に領主がやってきて、ギゼルに喧嘩を売った結果…
領主も、その取り巻きも、その後ろにいた人買い達も…全員。
「…この豚が魔法を撃ってきた。
だから仕方なく結界を張った。
そうしたら魔法が跳ね返って死んだ」
「………そうか」
ギゼルを殺そうとして、返り討ちに合っていた。
「ごめん…な、ヨーク…怖かった…な」
「うん…にーちゃんは、だいじょぶ?」
「あ、たり前だろ、俺は、強いんだぞ…っ」
逃げ遅れた一人の子どもを抱きしめて、震えていたギゼルに…
掛ける言葉は、無かった。
自分たちの報告が丸無視されてから1年。
魔法持ち領主の一人が「自分の力だけでは持たない」と訴えに来た事で、ようやく第27騎士団にも新しい任務が下された。
魔法持ち領主の治める土地から魔物を追い出す仕事だ。
散々自分たちを馬鹿にしてきた連中を助けてやるようで腹立たしいが、そこの領民の事を考えれば領主の事など言っていられない。
そうして、ある日あの街へ行き、徹底的に魔物を潰し、3日遅れでそこから馬車で1日程の村へ討伐範囲を広げ…
その道の途中で、子どもだけの一団と出会った。
彼らが固まって眠っているのに、魔物は彼らに手が出せないようだった。
何故だろうと近づいてみると、恐ろしく強固な結界が彼らを包んでいた。
それが、その子どもたちの中の一人がやった事だと分かった時は驚愕した…
そして、その子どもの言う事もまた、普通では無かった。
「…ビゼー、お前いくつだっけ」
「はぁ、今年で29歳になりますが」
「んじゃあいつは30歳だ。
30歳の男が、みなしごたちを連れて村を捨てて逃げたのを拾った。
それで行く」
「「「……はっ」」」
彼らは、親によって人買いに売られた。
だが、人買いに子どもを売るなんて酷い親だと言う相手もいなかった。
彼らが生まれた村の人間は、全員が。
村の中心にあった、大きな木で、首を吊っていた。
売られなかった子どもも、一緒に…
その上その死体に魔物が群がり、殆どの死体は下半身が…無かった。
「こんな惨い話が、あるかよ…!」
つまり、一家心中を選ぶか、子どもだけでも逃がすか、二択。
子どもだけでも生きて欲しいと願った親が、一縷の望みを賭けて…人買いに、子どもを…
「一緒に天国へ行こうね、と、少しでも長く生きてね、の、どっちが正しい親心かって…
そんなの、一緒に何とかして生きていこうって、それが選べないって…!!」
全員が怒り、悲しみ、それだけでは収まらない悲劇に、へし折れるほど歯を食いしばって涙を堪えた。
子どもたちが泣いていないのに、自分たちが泣く訳に行かない。
自称30歳の、その子も言った。
「…この程度の事で泣いてたら、この先やっていけませんよ。
子どもを買う先はいくらでもあると人買いは言っていましたから…
だから1万でも出しすぎだ、ってね」
「いちまん!?」
「ええ、税金も払えませんよ。
年に50万ですから、子どもを50人売ってようやくです」
「…くそどもが…!!」
騎士団の全員が、そこの領主をぶち殺したくなった。
その心に何とか蓋をして、その村の隣の村、またその隣…とどんどん魔物を狩った。
行程は今までよりずっと早く進んだ。
「…氷弾百撃」
自称30歳の彼が一言唱えるだけで、大魔法が展開し、魔物はバタバタと死んでいく。
狩り残しを殴ったり切ったり刺したりすれば、討伐が終わってしまうのだ。
「どんな騎士も、あの子には勝てませんな」
「ああ、魔法の詠唱が短いからな」
彼は、今までの常識であった「魔法が発動する前に殴れば勝てる」を覆す速さで魔法を使う。
ビゼーの速度でも無理なら、誰でも無理だろう…
騎士団の全員が、彼を一人前以上に扱う事に異論を唱えなかった。
「ギゼル!あいつの額に一撃入れられるか」
「ああ、そこが弱点なんだ?」
「いや、昏倒させてから首を落とした方が肉が柔らかいんだよ」
「ふ~ん…『雷撃一閃!!』」
そうして獲った魔物は捌いて飯に変えた。
そうして、やせ衰えた村人でも食えるものを糧食から提供し、自分たちは魔物肉を食って…
「みんな!今日もお肉だって!」
「「わ~!やったぁ!!」」
そして、連れて行くと決めた子どもたちの誰一人、たまには他の物が食べたいなどと文句を言わなかった。
我儘を言わず、しかも子どもらしく振舞う事で捨てられまいと必死だった。
「…やはり、領主に一言言ってやらねば気が済みません」
「そんなん全員だよ。
…どっちにしろ、こいつらの年齢を調べに領主の住んでる街に行かなきゃならねぇ。
そん時だな」
「…分かりました」
ビゼーはしぶしぶ頷き、他の団員にもそれを伝えた。
そして最後の村での討伐が終わった時に全員が『これで領主をぶっ殺せる』と喜んだのは、言うまでもない。
***
かの領地での魔物討伐が終了し、まずは戸籍の確認がてら役場へ行く。
ところが…
「…まさか全員戸籍が無いとは」
「知ったからには、登録しないとだわナァ」
「でもギゼルの年齢が分かんないまんまじゃん…どうすんのよ」
「いや…もう、良いんじゃないか?
他の子も自己申告の年齢で登録するんだし、30歳で…」
ユッカたちは役場で大量の手続きをするはめになった。時間がかかりそうなので、子どもたちは数人の団員たちと先に詰所へ帰らせる事にした。
「あの~団長、この親の名前んとこですけど…」
「……全員俺の名前にしておけ」
というわけで、この日ユッカにはいきなり21人の子どもが出来た。
ただ30歳で申告したギゼルだけは、親の登録が必要無かったので誰の子どもでも無かったが。
「さて、それじゃ領主様に討伐終了の報告に行くとするかね」
「…ええ」
だが、その必要は無かった。
自分たちが役場で書類を書いている間に、子どもたちを引き取ってやると詰所に領主がやってきて、ギゼルに喧嘩を売った結果…
領主も、その取り巻きも、その後ろにいた人買い達も…全員。
「…この豚が魔法を撃ってきた。
だから仕方なく結界を張った。
そうしたら魔法が跳ね返って死んだ」
「………そうか」
ギゼルを殺そうとして、返り討ちに合っていた。
「ごめん…な、ヨーク…怖かった…な」
「うん…にーちゃんは、だいじょぶ?」
「あ、たり前だろ、俺は、強いんだぞ…っ」
逃げ遅れた一人の子どもを抱きしめて、震えていたギゼルに…
掛ける言葉は、無かった。
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