【完結】ざまぁは待ってちゃ始まらない!

紫蘇

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【おまけ】第27騎士団、集合!

引退後の生活

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「はぁ~、暇だなぁ」

騎士学校の生徒たちを見ながら、ユッカは独り言ちた。

魔物を狩る必要はもうない。

騎士団はビゼーに任せて来たし、あのとき拾った子どもたちも団員たちに引き取られた。

あれから第27騎士団は各地で魔物を何千匹も倒し、怪我をした人々を治癒し、時々喧嘩を売って来る魔法持ちを返り討ちにして闇へ葬った…

いや、ビゼーが「ギゼルを奪い合った結果の同士討ちです」と実家に手紙を書いただけだが。

闇へ葬ってくれたのは、ビゼーの父親たちであろう。
元第1騎士団長で、前王の信頼の厚かった父。
そして、今でも部下に慕われる元諜報部長。
彼らに消せない事実は無い。

今の王と第二王子の悪い噂以外は。

魔物討伐専門の騎士団を統括していたリブリー殿下の評判はうなぎ上り。
増えていく孤児や焼け出された民の為に「新しい武器や鎧をした」騎士団たちの評判も右肩上がり。

その中でも第27騎士団は全員が…

「英雄、か…」

今や「山賊くずれ」などと揶揄する者は一人としていない。
だが面白く無いのは貴族たちだ。
特に魔法持ち…魔術師貴族は彼らを害そうと、必死で悪い噂を流している。
とはいえ所詮貴族の間だけの噂で、その他の国民は誰一人信じちゃいなかったが。

「そろそろ帰ってくる頃か」

現在第27騎士団は、通常任務である国境の森への魔物討伐に出ている。
さんざ殺した後だから、それほど増えてもいないだろうが…

「サンドーラ校長~!王都からお手紙~!」
「何、王都から?」
「すぐ読みます?じゃ、お渡ししますねぇ~」
「おう、すまんな」

ユッカは器用にぴりぴりと封ろうを開けた。
いつの間にか「怪力」の能力は自由自在に調整可能になっていた。
何人もの子どもを抱っこしてきたからかもしれない。

「…お、労いの宴…?服装は…急な呼び出しに備え、軽装備…騎士でない者は長袖長ズボン」

手紙の中身は、魔物討伐専門騎士団を労う宴への招待状だった。
彼らとは面識もあるし、どこの団も第27騎士団と良く似た雰囲気だったし、お堅い宴にはならないだろう。
主催者は、リブリー第一王子殿下。
自分の上司でもあり、ビゼーの弟子でもある。
一度会ってみたい人物だ。

「ふむ…久々にあいつらの顔でも見るか」

なんせ暇だし、タダ酒タダ飯だ。
それに…王都に一人残されたギゼルの事も気になる。

「あいつも呼ばれてると良いんだが…
 体が酒飲める歳なのか分からんのがなぁ」

ギゼルの本当の年齢は…確か50何歳で死んだ魂が入ってるから、とか何とか…で、中身は俺どころか魔術塔の頑固親父と同い年だ。
体の方は多分…16?15?まあ、そんな感じ…ちっちゃいけど。

「成長期が無かったんだよな…」

魔力が多すぎるからか、それともバランスのいい飯を食わせてやれなかったからか…
ギゼルは今やどの子よりも小さい。

「…子ども時代を、やり直させてはやれないが…心配する大人が一人ぐらいいたって、良いだろ」

ユッカは招待状を大事に胸のポケットへ入れ、無くさないように家へ持って帰った。


***


えー、
宴だと思ったら謀反だった。

いや、第一王子の謀反…ギゼルの言葉でいえばクーデターというものらしい…に利用された俺たちだったが、それに怒っているやつは一人もいない。
タダ酒が飲めたのでどうでも良いのだ。
飯も美味かったし。

…それに、この国が良い方向へ向かう為に必要とされたってんなら、気分も良いしな!

ギゼルを汚いやり方で追い詰めていた連中は全員いなくなったし、
特に酷かったのはこの世からいなくなる予定だし、
これでようやく安心でき…

「何?キャンディッシュ家で世話になってる!?」
「ああ、何かそんな話になったみたいで…
 トリル…あの長男の弟が教えてくれて」
「安心だけど安心じゃねーわ!!」

いや、ギゼルを守るために諜報部でもトップクラスのを3人送り込むって話はビゼーから聞いた。
だから身の安全は確かだが…

問題は、貞操だ。

「あの餓鬼…ギゼルに手を出していたら、殺す」
「うわぁ物騒」
「お前ら、今日から交代で毎日ギゼルのとこへ顔を出せ。そんで何かあったら俺に報告しろ」
「…うっす」
「返事が小せえ!!!」
「「はっ!!」」

第27騎士団は暫く王都の治安維持に当たっている。
そして、何人かは親の領地を継ぐ為に故郷へ…

もう、魔法持ちが領主になる事は出来ないからだ。

新しい王がそう決めた。
その上で、悪政を敷いていた連中は死刑になった。
何人かはすでにギゼルによって返り討ちにされていたから、これでつり合いが取れた。

中央の政治からも、騎士を労う宴会を襲撃しようとした罪で大半の魔法持ちが追い出された。
悪質なのは南東の農村にぶち込んで、それ以外のは二度と魔法が使えないように喉を焼いたそうだ。
ギゼルによれば、喉の内側に魔法封じの「さあきっと」を焼き付けたとか何とか…

うん、とにかく魔法が二度と使えなくなったことだけ分かっていれば問題無い。
ギゼルの言葉は正直謎だらけだ。
魂がどっか別の国から来たせいだろう。

「…どうして、あんなのに捕まったんだか」

よりによって、あんな軽そうな男に…。
仕方ない、今から早速圧をかけに行くか。

「俺の息子…みたいなもんだからな」

ギゼルは、幸せにならなきゃいけないんだ。
それは第27騎士団全員の総意。

「……さてと」




ユッカは久々に、手にメリケンサックを嵌めた。
あの餓鬼メルバがちょぴっとでもギゼルを泣かせていたら即、撲殺するつもりで…。

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