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向かえ!大団円
半径10m
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「…というわけで、見張りをお願いしたいのですが」
「お任せください!」
「では、このロープを持ってもらって…」
俺はまず石碑周辺、半径10mの地面をくまなく調べる事にした。
調査にはかなり時間がかかりそうなので、ヨークさんとレドモンド君には聞き込みに行ってもらった。
ダリル様は一旦宿に戻って仕事をするそうだ。
「ここでいいですか~!」
「はーい!じゃあ次の方、同じ様にこのロープを持ってピンと張るところまで真っ直ぐ歩いてもらって…」
「かしこまりました!」
第9の騎士さんたちを、石碑から11mのところへ石碑を囲むようにぐるりと配置。
これで大体の範囲を絞り込み、捜索開始!
「じゃあ見張り、お願いします!」
「はい!」
「竜の姿がちらりとでも見えたら、即撤退で!」
「はい!」
一番恐ろしいのは東の竜だ。
魔法を使うとしたら知能は高いだろうし、何より相当デカイと聞く…。
勝てないと思ったら遁走せよのキャンディッシュ精神で臨もう。
しかし…
「…皆目見当が付かない、とはこのことだな」
土地に魔力を与える方法がどんなものか分からない。
人間には今まで出来た事がないからだ。
だけど…。
「…もし、この方法が広い土地でも使えるなら、南東の農場周辺でも作物が育つようになるかも」
魔力が少ない土地を改善する方法が分かれば、農業に革命が起きる…かもしれない。
結界の事も大事だけど、この推測がもし本当なら…。
「よーし、探すぞ!」
絶対に何も見逃すもんか!
俺は這いつくばり、地面に顔を近づけ、少しでも違和感が無いかと集中する…
「う~~ん……」
土地の魔力の中から、違和感を感じる魔力が無いかを感じ取る事が出来たら…。
俺はおでこと両方の手のひらを地面に引っ付け、何とか魔力を拾おうと集中する。
「あ、あの、ロンバード様!?」
「う~~ん……」
駄目だ。
違和感のある魔力があるのは分かるけど、出どころがさっぱり分からない。
こうなったら目視で探すしかないか。
石碑に近い所から、しらみつぶしに…。
「あのー、ロンバード様…」
「う~~ん……」
駄目だ、見つからない…。
だけどそもそも、石碑の周りには人が常駐してるわけで、その目をかいくぐって出来る事なんてたかが知れてる。
上空から物を落とすとか、地面の下を掘り進んで地下へ細工をするか。
地下だとすると、空洞っぽい音がするかもしれないな…
「あの、ロンバード様?」
「う~~~ん……」
俺は地面をトントンと叩き、変な音がしないかを同時に探り始めた。
地面の上を探しても、何も見つからないからだ。
「あの…」
「う~~~ん…」
だけど、時間が経って日差しが良く入るようになってきた。
さっきとは違う物が見えるかもしれない。
これで見つからなくても、最初からもう一度探す価値は……
「あの、」
「……ん?」
あっちで、何か光ったような…?
俺は慎重にそちら側へ這う。
「おーい、ロンバード」
「…………これは、何だ?」
キラキラ光る、俺の手のひらより少し大きいサイズの……薄くて、硬い…何だ、これ?
まあ、今は正体が分からなくてもいいから、いいか。
「…まずはこれが回路に影響してるか確認だ」
俺は立ちあがり、これを魔力吸引の範囲外に…
と、突然。
「……ロンバード!」
「はっ、はい!何でしょう!?」
「昼飯の時間だ、一旦休憩しろ」
「あ、ああ…まあ、はい」
「なんだその不服そうな顔は……」
何やら不機嫌なダリル様が、第9騎士団の輪の向こうから呼びかけていた。
***
「額にまで土を付けて…膝も肘も泥だらけじゃないか」
「いやぁ、親父が来る前に何とか目途を付けておかないとと思って」
「ああ…そうだった、一斉に押し寄せて来るんだったな」
拾った謎の板をとりあえずポケットに入れ、一旦みんなで
ダリル様が持って来てくれたランチボックスを開ける。
そこには彩りの良いサンドイッチがぎっしり…。
「うわぁ…美味しそう!」
「ああ、しっかり食え」
「有難う御座います!頂きまーす!」
はむ…もぐもぐもぐ。
うまい!
「…飲み物もあるぞ。
果物の皮から作った茶だそうだ」
「へぇ~…あ、いい香り~」
遠慮なくがっつく俺に、ダリル様は上機嫌で上品にサンドイッチを口に運ぶ。
「ほら、もう一つ食え」
「ありがとうございます!」
どのサンドイッチも美味しくて大満足。
午後からの調査も頑張るぞ!
「お任せください!」
「では、このロープを持ってもらって…」
俺はまず石碑周辺、半径10mの地面をくまなく調べる事にした。
調査にはかなり時間がかかりそうなので、ヨークさんとレドモンド君には聞き込みに行ってもらった。
ダリル様は一旦宿に戻って仕事をするそうだ。
「ここでいいですか~!」
「はーい!じゃあ次の方、同じ様にこのロープを持ってピンと張るところまで真っ直ぐ歩いてもらって…」
「かしこまりました!」
第9の騎士さんたちを、石碑から11mのところへ石碑を囲むようにぐるりと配置。
これで大体の範囲を絞り込み、捜索開始!
「じゃあ見張り、お願いします!」
「はい!」
「竜の姿がちらりとでも見えたら、即撤退で!」
「はい!」
一番恐ろしいのは東の竜だ。
魔法を使うとしたら知能は高いだろうし、何より相当デカイと聞く…。
勝てないと思ったら遁走せよのキャンディッシュ精神で臨もう。
しかし…
「…皆目見当が付かない、とはこのことだな」
土地に魔力を与える方法がどんなものか分からない。
人間には今まで出来た事がないからだ。
だけど…。
「…もし、この方法が広い土地でも使えるなら、南東の農場周辺でも作物が育つようになるかも」
魔力が少ない土地を改善する方法が分かれば、農業に革命が起きる…かもしれない。
結界の事も大事だけど、この推測がもし本当なら…。
「よーし、探すぞ!」
絶対に何も見逃すもんか!
俺は這いつくばり、地面に顔を近づけ、少しでも違和感が無いかと集中する…
「う~~ん……」
土地の魔力の中から、違和感を感じる魔力が無いかを感じ取る事が出来たら…。
俺はおでこと両方の手のひらを地面に引っ付け、何とか魔力を拾おうと集中する。
「あ、あの、ロンバード様!?」
「う~~ん……」
駄目だ。
違和感のある魔力があるのは分かるけど、出どころがさっぱり分からない。
こうなったら目視で探すしかないか。
石碑に近い所から、しらみつぶしに…。
「あのー、ロンバード様…」
「う~~ん……」
駄目だ、見つからない…。
だけどそもそも、石碑の周りには人が常駐してるわけで、その目をかいくぐって出来る事なんてたかが知れてる。
上空から物を落とすとか、地面の下を掘り進んで地下へ細工をするか。
地下だとすると、空洞っぽい音がするかもしれないな…
「あの、ロンバード様?」
「う~~~ん……」
俺は地面をトントンと叩き、変な音がしないかを同時に探り始めた。
地面の上を探しても、何も見つからないからだ。
「あの…」
「う~~~ん…」
だけど、時間が経って日差しが良く入るようになってきた。
さっきとは違う物が見えるかもしれない。
これで見つからなくても、最初からもう一度探す価値は……
「あの、」
「……ん?」
あっちで、何か光ったような…?
俺は慎重にそちら側へ這う。
「おーい、ロンバード」
「…………これは、何だ?」
キラキラ光る、俺の手のひらより少し大きいサイズの……薄くて、硬い…何だ、これ?
まあ、今は正体が分からなくてもいいから、いいか。
「…まずはこれが回路に影響してるか確認だ」
俺は立ちあがり、これを魔力吸引の範囲外に…
と、突然。
「……ロンバード!」
「はっ、はい!何でしょう!?」
「昼飯の時間だ、一旦休憩しろ」
「あ、ああ…まあ、はい」
「なんだその不服そうな顔は……」
何やら不機嫌なダリル様が、第9騎士団の輪の向こうから呼びかけていた。
***
「額にまで土を付けて…膝も肘も泥だらけじゃないか」
「いやぁ、親父が来る前に何とか目途を付けておかないとと思って」
「ああ…そうだった、一斉に押し寄せて来るんだったな」
拾った謎の板をとりあえずポケットに入れ、一旦みんなで
ダリル様が持って来てくれたランチボックスを開ける。
そこには彩りの良いサンドイッチがぎっしり…。
「うわぁ…美味しそう!」
「ああ、しっかり食え」
「有難う御座います!頂きまーす!」
はむ…もぐもぐもぐ。
うまい!
「…飲み物もあるぞ。
果物の皮から作った茶だそうだ」
「へぇ~…あ、いい香り~」
遠慮なくがっつく俺に、ダリル様は上機嫌で上品にサンドイッチを口に運ぶ。
「ほら、もう一つ食え」
「ありがとうございます!」
どのサンドイッチも美味しくて大満足。
午後からの調査も頑張るぞ!
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