【完結】ざまぁは待ってちゃ始まらない!

紫蘇

文字の大きさ
124 / 218
本気のざまぁを見せてやる!

魔術師は結婚を断りたい 13

しおりを挟む
電磁石の作り方をブレックさんに伝授したり、ギルさんに今までの作品を説明したり…。

道中も仕事の話をしながら、馬車は進む。
村から村、村から町、町から村…。
グヴェン様も合流して、魔法治療が必要な人たちを治癒しつつ旅は進む。

「魔力欠乏症の人たちにあげたお守りが、ちゃんと機能してれば良いんだけどな…」
「その『オマモリ』なんですが、各国から欲しいという話が来ています」
「えっもう!?」

ブレックさんと一緒にいて分かった事は、この人もすぐに話が大きくなるって事だ。
レドモンド君よりはましだけどね。

「ブレックさんがあの5人から色々託されてるのは知ってますけど、ブレックさんはオーセンの人なんですよね?」
「ええ、オーセンの学園を卒業しまして、その後外交官として色々な国へ勤めました」
「えっ、じゃあ警護は畑違いなんじゃ…」
「そうでもありません、大使を警護するのも外交官の仕事ですから」

ブレックさんによると、外交員になるには筆記試験の他に剣術と体術の試験もあるらしい。

「今は『パン爺』なんて呼ばれているポム卿ですが、それはもう恐ろしいお方でしたよ」
「ええ…想像つかないなぁ」

パン爺の昔って、一体どんなんだったんだろ…。
年齢から考えると、前王様の時からだよな。

「昔と言えば、大増殖ってたった二十年ちょっと前の事なんですよね」
「ええ、その頃は本当に大変でした。
 うちの父親は国の直轄地で小さな村を担当していたんですがね、魔物が出たら村人共々地下に逃げる事しか出来なくて…。
 入口を守る領軍は消耗するばかりで、いっそ王都へ逃げようと全員で腹をくくったところへ、第27騎士団がやってきて魔物を一掃して下さって…。
 後片付けは頼む、って言って、お礼をする間もなく次へ旅立って行かれました」
「やるなぁ親父」

すると、ゼルさんが話に入ってきた。

「そうなんですよ、ギゼル様はとにかく凄くて!
 魔物を次々に火や氷や雷の矢で打ち倒して、大けがで戦えなくなった兵士を治して…
 もちろん騎士の方々もめちゃくちゃ強くて!
 全部魔物に飲み込まれちまうんだって気持ちが一気に明るくなって、俺もギゼル様みたいになりたいって思って…」
「そっか…やっぱ親父はすごいなぁ」
「すごいなんてもんじゃありません、神様です!」

どうやらゼルさんは親父の大ファンらしい。

「俺もギゼル様に会って話してみたいって、それで魔術塔に…」
「あっ、ギルドじゃなくて魔術塔の方だったんですね、俺、知らなくて…すみません」
「あっ…いえ、その、いいんです!俺は開発じゃなくて戦闘のほうだから!」

するとブレックさんがゼルさんに尋ねた。

「ああ、それで『初めまして』だったのか」
「えっ…ええまあ、そういうことです、はは!」
「…ふーん」

うん?
どうしたんだろう、ブレックさん…。
何か、一瞬怖かったような?

***

目的地の町に着いたのは夕方だった。
ダメ元で病院に行ってみると、意外にも歓迎ムード…相当病状の重い人がいるのかもしれない。

「ようこそいらっしゃいました、ロンバード様!」
「いえ、こんな遅くにすいません。
 重病の患者さんですか?それとも重症の?」
「病人です、こちらへ」

俺は足ばやに歩く院長先生についていく。
同行してくれた護衛隊長のスミスさんと魔術師のゼルさんは俺の後ろを付いてくる。

いつもゼルさんは到着したらすぐに魔術塔へ報告に行くんけど、王都で用があるからってグヴェン様が代わってくれたんだ。
きっと俺の事気遣ってくれたんだと思う。
グヴェン様とダリル様はよく似ているから、つい思い出して辛くなるの、分かってて…。

「…俺、ダメダメだな」

恋愛と国、どっちが大事かなんて分かってるのに。
両立できないなら、恋愛の方を捨てるべきだって分かってるのに。
どうして今、ダリル様の事思い出すんだろう。
忘れてって言ったからには、忘れなきゃいけないのに。

今は目の前にいる人を救う事に集中しなきゃいけないのも、分かってるのに…
気持ち、切り替えていかなきゃ。
深呼吸…

と、その時、院長の足が止まった。
俺は無意識に俯いていた顔を上げた。
院長が言った。

「こちらの部屋で御座います」
「はい…失礼します」

院長が扉を開ける。
そこには一人のお医者さんと…

「っ!!」
「逃がさんぞ、ゼル!」
「くそっ、どけ!」
「残念でした、『強制睡眠』」
「グヴェン様っ!?」

俺は何が起きたのか分からなかった。
ただバタバタと何かが起きて、ゼルさんが捕まった…という、事しか。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました

西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて… ほのほのです。 ※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

すべてを奪われた英雄は、

さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。 隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。 それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。 すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

処理中です...