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本気のざまぁを見せてやる!

王子様は、心置きなく結婚したい 3

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最初の「髪の毛紐」が売れてから、10日。

「…王都を出て、近隣の街を回遊…か」
「お兄様からの報告書ですか?」
「いや、護衛からの報告だ。
 ロンバードは俺に便りは出さない、と言った。
 忘れてしまうのならそれでいい…と」

自分は王妃に相応しい人間じゃないから、と…。

確かにお母様を見ていると、外交、社交、王宮の管理や使用人の選定、物品等購入先の選定、福祉関連、宗教関連、茶会・夜会の主催…。

だがそれは、お母様に「魔法の道具で人々の生活を豊かにする」仕事が無いからだ。

ロンバードには魔法の道具開発を続けてもらわねばならん。
彼のお陰で、オーセンは一躍魔法先進国になったのだから……。

「別に、王妃は役職名ではない。
 王の伴侶が王妃であって、仕事はまた別の話…
 だと思わんか?セジュール」
「はい、確かにそうです」

周りに随分と吹き込まれているのは知っていた。
だから何度も、奴らの言う事は聞かなくて良いと言ってきたつもりだった。だが…。

「無視しろ、ではなく、奴らに二度とそういう事を言わせないようにするのが、俺のすべき事だったのに…逆に追い詰めてしまった」

そうだ、俺は確かに王妃教育の話をした。

外交は避けて通れない道だ。
だから学んで欲しい、と…

こればかりは、地位が物を言う事だから。

「王妃の仕事は分担して誰かにやらせれば良い。
 お前とミリエッタで何か1つの部署にして…いい名前が無いか検討しておいてくれ」
「かしこまりました」

俺は報告書を読み続ける。

ロンバードは次々に功績を残している。

・王都のあらゆる医療施設を訪問し尽くし、多くの病人を治癒した事。
・家に病気の者がいるのだと聞けば、そこへも出かけて治癒を施している事。
・現場では医者に病気の事を学び、宿ではミリエッタにやった首飾りと同じ物を作り続けている事。
・魔力欠乏症の子どもに、大地から魔力を取り込める「オマモリ」を作ってやった事。

「随分活躍しているな…」
「あの、大地から魔力…って、もしかしたらとんでもないものでは無いでしょうか」
「……多分な」

魔力欠乏症は先天性の病気で、患者は子どもばかりだ。
大人になれずに死んでいく病として有名で…
病院から出られないまま死んでいく子どももいる。

本人の苦しみも、親の苦しみもいかばかりか。

そんな悲劇の病がその「オマモリ」で良くなるとすれば画期的だ。
まだ試験段階とはいえ、病院からの報告では「一定の効果がみとめられる」となっていたし、一時帰宅出来るようになった子もいると言っていた。

流石ロンバード、としか言いようがあるまい。


だが、報告は不穏な物も多数ある。

何度か不審者がやってきて、ロンバードを連れ去ろうとした事。

「…刺客は全員、捕縛し衛兵に引き渡した…か」
「その場で処分出来ないんですか?」
「死んだら情報が引き出せんだろう」
「ああそうでした、ついうっかり」


ロンバードに直接飴をくれと交渉しに来る者が相当数あるが、怪我や病気なら自分が治しに行くから待っていてくれと突っぱねていること…

「お兄様、断れるようになったんですね」
「そのようだ…無理をしていなければ良いが」


それから、ギゼルと何度か会っている事。

「…どうやって居場所を探しているんだ?」
「空から探してるんじゃないですか?」
「そうだった、ギゼル殿も空を飛ぶんだった」


さて、報告はざっとこんなもので、見過ごせない部分については目の前の男と協議せねばなるまい。

「まずはギゼルお父様がお兄様と密会している件について」
「ふむ…直接ギゼル殿に聞いてみるしかないな」

魔法の種の事かもしれんし、
首飾りの件かもしれんし、
ブレスレットの件かもしれんし、
転移魔法の件かもしれん。

「だが、少なくとも魔法に関係する事だろう」
「本当にそうでしょうか…」
「どういう事だ?」

するとセジュールは俺の目をしっかりと見てから言った。

「やましくないのであれば、ギゼルお父様と会っている事をどうして僕への手紙に書かないんでしょう」
「……」

どうやら表情を見るに、手紙が届くことを俺に自慢したかっただけらしい。

…むかつく。

「…お前には手紙が届くのか?」
「ええ、離れていても家族なので」
「……その手紙を見せろと言ったら?」
「全力で拒否します」
「いいから黙って見せろ」
「いやですー」

畜生…このクソガキ…!

羨 ま し す ぎ る!!
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