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【過去ばなし】チート魔術師とチャラ男令息
出産、そして再会
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「ギゼル、頑張って!」
「う、ぎ、ぎ…」
…出産はリアルに出産だった。
本気でケツの穴から赤ん坊が出てくるとは…
出てくるサイズが前世の半分程度だからまだしも、
「ふーっ…、ふーっ…!」
「腰、腰さすったらいい!?」
「うーっ…ふぅー…!」
とにかく痛い。
腰が割れるんじゃないかってぐらい痛い。
そりゃ出産が命がけなのも分かる…
「とーさまの、痛い痛い、とんでけー!」
「は、おい!な、ん、で、ろんばーどが、」
「ちゆする!ろん、ちゆするの!」
「ば、か、まだまほう、っつ、あぁ!」
誰だよ、二人目は楽だとか言ったのは!
痛えわ!めちゃくちゃいてえわ!
「とーさまの、痛い痛い、とんでけー!」
3年前に必死こいて産んだ我が子は魔法に興味津々で、いつもこうやって俺の真似事、
ああああいってえええ
「ギゼル、頑張れ!」
「ギゼル様、もう少しですよ!」
「うぎぎぎ…っ!」
「とうさま、がんばれー!」
「ぐぁぁ!」
ずぽ、という全く感動的でない音。
そして同時に、ぱちんと羊膜が破れる音。
直後に元気な泣き声…
「ふぎゃあ、ふぎゃあ」
「ギゼル様、元気な男の子ですよ!」
「あ、ああ…よかっ、た…」
産声を上げながら、赤ん坊は通常の大きさまで膨らみ、羊膜を破る…
神秘的な生命の、不思、議…
「ふわぁあ…!かわいい…っ!!!」
「ん…?」
「しゅごい……っ!」
「え、あ…おい、」
どこからともなく、四つ葉のクローバーが降ってきた。
「おとうと!おとうと!」
「…は?あ、え、おい、まさか」
「っ、ロンバード!やめなさい!?」
「とーさましゅごい!やったやった~!!」
「おい、ロンバード、止まりなさい!?」
ロンバードがくるくると回るたび、ほわほわとクローバーが降ってくる…
「まさかこれ、植物魔法!?」
「おにーさま!ぼくおにーさまなの!」
「ちょっ!?これ、魔力暴走…!?」
「お、おい、止まれロン、くそっ…!」
出産直後に、なんてこった…!
「強制睡眠…!」
***
魔力暴走を押さえるために俺が使った魔法が強すぎたのか、ロンバードはすぐに目を覚まさなかった。
ロンバードを止められなかった使用人たちは死にそうな顔でクローバーを片付け、すぐに連れ出さなかったメルバは死ぬほど落ち込み…俺も産まれたての我が子を抱いたまま、ロンバードのそばに付いた。
いつ目が覚めるともしれない、そんな現実に向きあえないまま、ただ茫然と…
したのは、たった一晩。
ロンバードはあっさり目を覚まし、がばりと起き上がってから衝撃の一言を放った。
「……はっ!おやじっ、じゅけんっ!?」
「えっ」
「えっ?…、……えっ!?」
ロンバードは慌てて起き上がり、自分の身体が小さい事に驚いた。
だけど俺はもっと驚いていた。
ロンバードから「受験」の言葉が出た事。
「何これ!?え、誰!?」
「誰って、お前…お前の、父さんだけど」
「と、とうさん…?」
「そう、父さん…父さんだよ。
……有翔」
それは、もしかしたら、ずっと探し続けていた…自分の、息子…。
一縷の望みを賭け、前世の息子の名前を呼ぶ。
するとロンバードは普通に…とても自然に、言葉を、返した。
「ええ~!?まじ?まじかぁ…あれ、んじゃこれ、もしかしていせかいてんせーなん?」
まだ三歳ながら、どうやら自分の置かれた現状を即時に把握したらしいロンバード。
聡明な子だ…前世でも、今生でも。
「…有翔、お前、ゆうと…ゆうと、なのか」
「そう、って、おやじ…またおれのおやじなん?
ってかおやじであってるよね?」
「あ、ああ、合ってる…合ってるよ、有翔っ!」
俺は思いっきりロンバードを抱きしめた。
「ごめんな、痛かったな、俺が、お前の人生、あんな、あんな形で」
「んん、別に…おやじのせいじゃ、ないし」
後ろからの衝撃の後は記憶が無いんだ、とロンバードは語り、俺を抱きしめ返し…
暫くそうしてから、俺をそっと押し戻し、
「ちょっとまって、そう…あっ、ちがう、くそ…
…ちょっとまって、こんらんしてきた。
なあおやじ、ロンバードって今のおれの名前?
んでさっき弟が生まれた?」
「そうだ」
「おやじがおれを産んだんだよね?弟みたいに」
「そうだよ」
「あの、男同士で子どもできちゃう世界?」
「うん」
「うおおまじかぁ…おやじ色々たいへんだったんじゃないの、かちかんとか」
「いや、俺はこっちで10年くらい普通に生きてて覚醒したから、そこまででも無かったけどな」
「すげぇ、おやじはやっぱじゅーなんだなぁ~」
そしてロンバードは鏡の前へ歩いた。
背が届かなかったのか、椅子を…魔法で、動かし、そして…そこへ登った。
「あ~なるほど、これがこの世界での俺かぁ…。
あっ、ぶんべん室、かってに入ってごめん。
おやじの声を聞いてさ、ぼくが助けるんだ!ってしめーかんにかられちゃったんだ…」
そして、椅子の上でぺこりと頭を下げ、椅子から飛んでふわりと着地すると、椅子をまた…魔法で、スイっと動かし…元に、戻し…
「…有翔、お前、今、魔法…使っ…?」
「えっ、まほう?おれまほうつかえるの!?」
今生で魘される程に見た、屈託のない笑顔で、
「やったやった~てんせーチートだ~!」
と、はしゃぐロンバードの姿に…
俺は「親子二代でチート野郎になってしまった」とこっそり苦笑したのだった。
「う、ぎ、ぎ…」
…出産はリアルに出産だった。
本気でケツの穴から赤ん坊が出てくるとは…
出てくるサイズが前世の半分程度だからまだしも、
「ふーっ…、ふーっ…!」
「腰、腰さすったらいい!?」
「うーっ…ふぅー…!」
とにかく痛い。
腰が割れるんじゃないかってぐらい痛い。
そりゃ出産が命がけなのも分かる…
「とーさまの、痛い痛い、とんでけー!」
「は、おい!な、ん、で、ろんばーどが、」
「ちゆする!ろん、ちゆするの!」
「ば、か、まだまほう、っつ、あぁ!」
誰だよ、二人目は楽だとか言ったのは!
痛えわ!めちゃくちゃいてえわ!
「とーさまの、痛い痛い、とんでけー!」
3年前に必死こいて産んだ我が子は魔法に興味津々で、いつもこうやって俺の真似事、
ああああいってえええ
「ギゼル、頑張れ!」
「ギゼル様、もう少しですよ!」
「うぎぎぎ…っ!」
「とうさま、がんばれー!」
「ぐぁぁ!」
ずぽ、という全く感動的でない音。
そして同時に、ぱちんと羊膜が破れる音。
直後に元気な泣き声…
「ふぎゃあ、ふぎゃあ」
「ギゼル様、元気な男の子ですよ!」
「あ、ああ…よかっ、た…」
産声を上げながら、赤ん坊は通常の大きさまで膨らみ、羊膜を破る…
神秘的な生命の、不思、議…
「ふわぁあ…!かわいい…っ!!!」
「ん…?」
「しゅごい……っ!」
「え、あ…おい、」
どこからともなく、四つ葉のクローバーが降ってきた。
「おとうと!おとうと!」
「…は?あ、え、おい、まさか」
「っ、ロンバード!やめなさい!?」
「とーさましゅごい!やったやった~!!」
「おい、ロンバード、止まりなさい!?」
ロンバードがくるくると回るたび、ほわほわとクローバーが降ってくる…
「まさかこれ、植物魔法!?」
「おにーさま!ぼくおにーさまなの!」
「ちょっ!?これ、魔力暴走…!?」
「お、おい、止まれロン、くそっ…!」
出産直後に、なんてこった…!
「強制睡眠…!」
***
魔力暴走を押さえるために俺が使った魔法が強すぎたのか、ロンバードはすぐに目を覚まさなかった。
ロンバードを止められなかった使用人たちは死にそうな顔でクローバーを片付け、すぐに連れ出さなかったメルバは死ぬほど落ち込み…俺も産まれたての我が子を抱いたまま、ロンバードのそばに付いた。
いつ目が覚めるともしれない、そんな現実に向きあえないまま、ただ茫然と…
したのは、たった一晩。
ロンバードはあっさり目を覚まし、がばりと起き上がってから衝撃の一言を放った。
「……はっ!おやじっ、じゅけんっ!?」
「えっ」
「えっ?…、……えっ!?」
ロンバードは慌てて起き上がり、自分の身体が小さい事に驚いた。
だけど俺はもっと驚いていた。
ロンバードから「受験」の言葉が出た事。
「何これ!?え、誰!?」
「誰って、お前…お前の、父さんだけど」
「と、とうさん…?」
「そう、父さん…父さんだよ。
……有翔」
それは、もしかしたら、ずっと探し続けていた…自分の、息子…。
一縷の望みを賭け、前世の息子の名前を呼ぶ。
するとロンバードは普通に…とても自然に、言葉を、返した。
「ええ~!?まじ?まじかぁ…あれ、んじゃこれ、もしかしていせかいてんせーなん?」
まだ三歳ながら、どうやら自分の置かれた現状を即時に把握したらしいロンバード。
聡明な子だ…前世でも、今生でも。
「…有翔、お前、ゆうと…ゆうと、なのか」
「そう、って、おやじ…またおれのおやじなん?
ってかおやじであってるよね?」
「あ、ああ、合ってる…合ってるよ、有翔っ!」
俺は思いっきりロンバードを抱きしめた。
「ごめんな、痛かったな、俺が、お前の人生、あんな、あんな形で」
「んん、別に…おやじのせいじゃ、ないし」
後ろからの衝撃の後は記憶が無いんだ、とロンバードは語り、俺を抱きしめ返し…
暫くそうしてから、俺をそっと押し戻し、
「ちょっとまって、そう…あっ、ちがう、くそ…
…ちょっとまって、こんらんしてきた。
なあおやじ、ロンバードって今のおれの名前?
んでさっき弟が生まれた?」
「そうだ」
「おやじがおれを産んだんだよね?弟みたいに」
「そうだよ」
「あの、男同士で子どもできちゃう世界?」
「うん」
「うおおまじかぁ…おやじ色々たいへんだったんじゃないの、かちかんとか」
「いや、俺はこっちで10年くらい普通に生きてて覚醒したから、そこまででも無かったけどな」
「すげぇ、おやじはやっぱじゅーなんだなぁ~」
そしてロンバードは鏡の前へ歩いた。
背が届かなかったのか、椅子を…魔法で、動かし、そして…そこへ登った。
「あ~なるほど、これがこの世界での俺かぁ…。
あっ、ぶんべん室、かってに入ってごめん。
おやじの声を聞いてさ、ぼくが助けるんだ!ってしめーかんにかられちゃったんだ…」
そして、椅子の上でぺこりと頭を下げ、椅子から飛んでふわりと着地すると、椅子をまた…魔法で、スイっと動かし…元に、戻し…
「…有翔、お前、今、魔法…使っ…?」
「えっ、まほう?おれまほうつかえるの!?」
今生で魘される程に見た、屈託のない笑顔で、
「やったやった~てんせーチートだ~!」
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