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ざまぁしやがれください!

おねだりは申請書とともに

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「これが最後の、おねだり…」

親父が書いた申請書を持って、俺は緊張しながらダリル殿下の部屋を訪ねた。
扉の前で、台詞の確認…

「ダリル様、この土地ちょうだい。
 ダリル様、この土地ちょうだい……」

これが最後だ。
俺はワガママ令息、俺はワガママ令息…
金食い虫の困った婚約者だ!
よし!

俺は拳を握り、緊張しながら扉を叩く。
中から入れと声がする。
俺はノブを握り、息を整えながら回し、扉をゆっくりと引く。
ダリル様は執務机に座ってこっちを見ている。
俺も負けずに見つめ返す。

頑張れ、俺…!!

「だ、だりるさまっ!」
「どうしたロンバード」
「このとち、ちょうだいっ!!」

俺は申請書をダリル様に突き出し、頭を下げた。
これが最後のおねだりだ…

頼む、効いてくれ……!


***

ダリル様は申請書を見て言った。

「…何、転移魔法…だと?」

だから俺は転移魔法のなんたるかと、どうしてその土地が欲しいのかを説明した。

「はい、人の転送をするのにはその土地じゃないと駄目なんです、この地面の下には地脈と呼ばれる魔力の流れがあってそれを利用してワームホールの出入り口を作ってごく短時間のうちに移動できるようにするので!」
「…ちょっと待て、意味が分からん」

「そもそもこの星にはいくつか次元と次元の境目が緩い所があってそこには魔力が溜まりやすくてそれを利用するためには魔力集積回路の設置が必要不可欠になりまして」
「…おちつけロンバード」

「困った事にその土地は泉の側のような土地自体の力が大きな場所にあるので大体が国の管理地なので、王子様ならこの土地をジユーにできるケンリョクがあるとおもうのでください」

俺は必死でダリル様にたたみかけた。
意味が分からないおねだりなら、きっと困るはずだ。
なんてワガママな奴だと思われるに違いない。
付き合いきれないって思うに違いない…!

「…分かった、この件は御前会議にかける。
 前向きに検討する、それで良いか」
「はい!」

ダリル様が「良い」と言わなかった。
これはきっと困っているに違いない。
ここで、もう一つ、駄目押しのおねだり…!!

「それとイイ感じのゲストハウス建てたいので街中の土地も下さい!」
「ああ、売りに出る予定の屋敷がいくつかあるから、そこで良いか」

「は、……あ、え?」

いや、違う違う、そこは「それも前向きに検討する」じゃないの?
即答で「いい」っていうとこじゃなくない?
だって、街中よ?一等地なんじゃないの?

「子どもが学園を卒業すると同時に王都の屋敷を売る貴族は多いから、今なら色々選べるぞ。
 今日の放課後にでも早速下見に行くか」
「あ、は、うん」

どうしよう、予定と違う。
あれもこれもやれるか、って怒るとこじゃないの…?
ワガママが過ぎる!…って…

ちゅっ「…ふわ!?」

いきなりチューされたぁ!?なんでぇ!?

「魔法の腕輪開発の褒美としては妥当だろうし、いいだと思うぞ」
「…いい、おねだり?」
「ああ」
「その、ワガママで手に負えない…んじゃないの?」
「いや、むしろ少ないぐらいだが?
 今までの魔法道具開発に対する褒賞も検討中だし…他に欲しい物は無いのか?」
「え、ええっと…わ、わかんない」
「では湖畔に別荘でも建てるか」
「べっそう!!?」

な、な、なんでええええ!!
そこは金食い虫め、って言うとこでしょおお!?
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