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26・芸人の鑑*
しおりを挟むさて、ナリこと成田陽二は兄・悠一の退院に付き添って会社の駐車場まで送り届けて、駅前のビジネスホテルで腰を落ち着けていた。
「鳴ちゃん、アレ持ってきた?」
「なに?」
「ペットシーツ、濡れるやん」
「…持ってる」
「ええ子やな」
「ふん」
荷物を開けて整頓するのは陽二が連れて来た恋人・鳴美で、彼女は成田ブラザーズとは小学校からの幼馴染みでもある。
兄が倒れたと言うから急遽訪問を決めたものの陽二は知名度もまだまだの芸人、上場企業で働く彼女の方が社会的信用があるからと念のため連れて来たのだ。
くりくりとした目、顔が小さくて額から顎先までが短くて、要は童顔…幼なげな顔だちをしている。
そして身長は150センチの寸胴、カジュアルしか着ないのでぱっと見は中学生くらいに見られることもあった。
ちなみにペットシーツを何に使うかはもちろんベッドを濡らさないようにするための配慮であって、陽二は今夜この部屋で彼女とセックスをするつもりでいる。
「皇路はこの前営業で来てんけど…ええとこやな」
「うん、適度に街でね」
「新幹線の駅もあるし住みやすそうやな」
「ん…陽ちゃん、晩ご飯何にする?」
「1階のレストランにしよか」
「わーい」
たまに営業にも帯同することはあるがこうして一緒に居られる時間は少ないので、鳴美は純粋にこの皇路行きを楽しんでいた。
帰りは安上がりな鈍行だと陽二の宣言を受けているので、夕飯がコンビニ飯でないだけでも彼女には朗報なのである。
「俺の奢りな」
「ありがとぉ」
鳴美の勤める会社は急な休みにも融通が利くし有給も取りやすいし何より在宅でもできるし、売れない芸人の陽二よりもだいぶん安定した稼ぎがある。
しかし陽二を立てようとほとんど貯金に回して生活レベルを彼に合わせ、タイムセールでゲットした物品を誇らしげに掲げて躍るといった可愛げが彼には受けている。
・
いかにもな業務用食材を使ったディナーで二人は腹ごしらえして部屋に戻り、諸々の準備をして時計の針が19時を回ったところで部屋のチャイムが鳴った。
「…来たか」
「……」
「はーい」
開けた扉の先に居たのは兄を苦しめていたストーカー女、陽二は部屋に入らせて鍵を閉める。
昼間、陽二は退院した悠一の携帯電話からこの女へと連絡を取り、今夜このホテルで会うことを約束していた。
詳細は告げなかったけれど女は喜び、推しと直接会えることに興奮を隠せない様子で…しかし部屋の奥にアイマスクをした鳴美が座っていたことで顔色が変わる。
「…誰?」
「俺の愛しい彼女♡もう兄ちゃん苦しめたないからやぁ、これっきりやで」
「なに、ナリくん」
「アンタ、兄ちゃんとエッチしてんやろ?ほんなら俺とシたんと同じやんな」
これは悠一から聞いたわけではなくて、長々付き合わされたこの女との通話にて知った情報であった。
「同じじゃない、私はナリくんがいいの、だからあの人に近付いたんだもん」
「はーそう、でも俺はこの彼女でしか勃たへんからね、抱かれへんのよ」
「そんな…じゃあどうしてここにしたのよ」
「ん?そりゃあ…これ以上兄ちゃんに付き纏うん辞めてもらうよう説得しよう思うてね」
「…どうやって?」
陽二はゆらりと歩いて鳴美の肩に手を置き、
「俺のエッチなとこでも見たら気が収まるかなぁと」
と反対の手で自身の股間を扱くジェスチャーをして見せる。
「…なにそれ」
「俺、これから彼女抱くからやぁ、見てて?撮ってもええよ、そん代わり流出させんとってや」
「はぁ…?」
「俺の一番色っぽい顔、見したろう言うてんのよ」
ここまで頓珍漢なことを言われても女が大して動じない理由、それはナリの普段の芸風やSNSの呟きなどで下衆っぷりが知れているからだった。
学生時代からの恋人がいることもノースキンで抱きまくっていることも公言している、このナリにおける『下ネタ』なんてのは彼を構成する要素のひとつとして特にピックアップするほどのことでもない。
「どうする?お宝映像になんでぇ」
随分と魅力的な提案だがその相手に問題がある、女は
「ま、待って…ナリくん、その子…まだ子供じゃないの?」
と淫行への懸念を吐き出した。
まぁオーバーサイズのパーカーにくるぶしまでのプリーツフレアスカート、目元が隠れていれば鳴美は年齢不詳で…しかし顔の小ささや手足の短さで女は「児童だ」と思い込んでしまったらしい。
ナリは「学生時代からの恋人」と公言しているがそれが虚言でも不思議は無い、もしくは著しく歳下の幼女を早いうちから確保していた生粋の変態ということも考えられる。
それはそれで特に問題無い、陽二は
「んー…そう?俺には立派なレディーに見えるけど…鳴ちゃん、ここ寝て」
と手を引いて誘導し、ペットシーツを敷いたベッドへ仰向けに寝かせた。
「ん…」
「喋らんでええ、服もこのままな、下は脱がすよ…ま◯こ見して♡」
「ん、」
本当に小学生の頃から変わらないつるつるの恥丘、彼女は脱毛もしていないがおそらく体質なのだろう、素で生えないのだ。
「舐めんで、ん♡」
「っ…ふ、」
「アンタも、撮るなら近くで撮りや、んふ♡」
女は訝しげな顔をするも推しの誘惑に勝てず、スマートフォンのムービーを起動して近寄り陽二の顔だけを画面へ収める。
「鳴美、塩っぱい」
「や、」
「可愛い」
「ふゥ」
少女に目隠しさせてその股座に這いつくばって虫のように蜜を舐める、こうしているのが推しでなければとても見るに耐えない惨状だったことだろう。
5分、10分と繰り返される愛の交感、それを目の当たりにする女の頬は次第に赤くなっていく。
「は…あ、おっきなった、鳴美、見て…あ、見えへんか♡」
陽二はカメラへ映るように体を回してペニスを誇示し、大人しく待つ鳴美へ突き立てた。
「ん、鳴美、挿れるよ、つるつるま◯こに入んで♡感じてなぁ、お、う、ん♡」
「ふア、あ♡」
「あー、安定の鳴美ちゃんや♡あー、気持ちええ♡んッ、変わらへん、なぁ♡」
「ゔ、ん、」
彼らは小学生時代から交際をしていて、それはまだ可愛い「ごっこ」だったのだが中学生になる頃には勢いに任せて初体験を済ませてしまっている。
以来十数年に渡り彼らはお互いしか知らずまた知りたくもないと、誘惑多い業界にあっても陽二は仕事かバイトが終われば家に真っ直ぐ帰り鳴美を摂取して癒されるのだ。
「鳴美♡あ、目隠しで、コーフンしてんねんな、かぁいい♡」
「っじでへ、んッ」
「嘘つけ、ま◯こキュウて締まった、人前でエッチすんの、恥ずかしいなあ?」
「恥ずい、」
「せやろなぁ♡恥ずかしいなぁ♡鳴美ィ」
陽二においては特別Sっ気が強いとかいうことも無くて、ただ鳴美の体調やメンタルに寄り添うと本日はこうした辱めを受けさせるプレイになったというだけだった。
生理前で荒ぶっていれば下手に出るし、落ち込んでいれば優しくするし、嫌がればクンニと指だけ、仕事でイライラしている日などは激しく抱いてぐちゃぐちゃにして、ストレスを発散させてスッキリ眠らせてやる。
あと、あまり褒められたことではないが生理中でも陽二の愛は止められず、経血に染まったヴァギナに口を付け…まるでヴァンパイアの如く恍惚の表情で唇を舐め回しては鳴美を引かせていた。
「アンタ、電話でも、言うた、やんか、俺は恋人居るて、な、この子しか、考えられへん、鳴美やないと勃たへん、んッ♡」
「ひァ」
「おい、鳴美チャン、大人しいやんか、もっと鳴けやァ♡」
「いや、ぁ♡」
「ちゃんと撮れてる?ナリくんの正常位はこんなやで」
もはや女もこの不思議な空間に呑まれていて、両手でしっかりスマートフォンを支えて鳴美の脚まで画角に入るよう動いている。
ナリのロリコン疑惑は聞いてはいたけど本当に少女に手を出しているなんて…引くほどの嫌悪感と癖を貫くロックな姿勢への賛美、普通できないことをやってのけるのが芸人の鑑だとばかりに女の胸が躍った。
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