BLゲームのモブ(俺)は誰にも見つからないはずだった

はちのす

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帰り道

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(今日は災難だ…)


めちゃくちゃ噛みつかれるし、キキキキキキスされるし…

前までなら『キタァァ!!エピソード回収!!』とか思ってたけど…今は色んな人達からの好意としてしっかり受け止める様になった。

だからこそ、疲弊するんだ。


「俺はジャーキーかよ…」


というか、なんで皆あんなに首を噛みたがるんだ?
またあの香水のせいか?


「田中、帰ろうぜ。」


「うぃ~~…」


「なんか元気ないな。何があったのか?」


「なんもなぁい」


ふぅん、と納得していないような顔つきで主人は俺の横に並んだ。


「昼は災難だったな。」


「いやほんとそ…ぇ、もしかして、アレ見た?」


黒木はじゃれる俺たちを見たと言っていた。
もしかして、主人も見た上で聞いてきてるのか?

と思ったが、問い掛けを受けた主人の顔は、ポカンとしていた。


「アレ?なんのことだ」


この顔、本気で分からない時の顔だ。


(ッアーッッ!!!墓穴掘った~!!!!)


俺はこの瞬間、IQを400くらいまで活性化させて言い訳を考える。

…この間0.5秒。


「なんか黒木が俺と先輩見てたらしくてさ…"覗き魔か!"って感じだよなぁ~」


そして何も思い付かず、結局無理矢理に話題を逸らした。

だが…


「へぇ…その変にきっちり着た制服と関係あるのか?」


「…あ、アハハ…」


言い逃れ不可ッッッ!!!

俺は自分から退路を塞ぎつつ主人の猜疑心を煽ってしまった。


ど、どうしよう…と周りを見渡して初めて現在地を知った。

俺たちがいるのは、以前先生と遭遇した公園の側だった。

詰められている間にこんなに歩いてたのか!

主人は辺りを眺めると、
何かを閃いた様に此方へ向き直る。


「…なぁ、田中。喉乾いた。」


「え?どしたの急に。

そこの木の影にに自動販売機あるよ。」


主人は俺を連れ立って自動販売機に近寄った。
その時、


「ごめん」


「ひぇっ?!」


主人は突然俺の手を引き、自動販売機の裏に引き摺り込んだ。

2台ほど並んだ自動販売機で、完全に影になっている場所に誘い込まれた俺は、軽くパニックだ。


「え、しゅ、主人…なに?!」


「…田中、その首見せて」


ボタンをプチプチと外す音が近くで聞こえらる。


「やっ…だめっ!!」


「ごめん。少し我慢して、確認だから…ッ!」


主人は程なくして噛み跡を見つけた様で、
息を詰まらせた。

あーあ…主人にもバレちゃったよ…


「これ、この前の上級生に旧校舎で付けられたんだよな?黒木は知ってたのか?」


「あ~なんか見えてたらしい。」


「チッ、何やってんだよアイツ…」


心の声出ちゃってますよ!!主人さん!!


「あのぉ~、主人さん…?もう良いですか~?」


主人は俺の抗議を聞くと『良いわけないだろ』と凄んできた。


(ヒッ!!)


「田中は危なっかしいから、こちらも遠慮しないことにするよ。」


「なんか成り立ってなくないですかッ!!その論理!!」


その瞬間、俺は突然ひっくり返され、
よろける身体を抑えるために両手を自動販売機についた。

あれ…この態勢…?

主人はタイミングを見計らったかの様に、後ろから被さってくると身体を密着させる。

その勢いのまま、耳の後ろで囁いた。


「このまま悪いこと、しちゃおうか?」


…コラァ!!商売道具でもある色気をこんな事に使うなァァァアア!!! 
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