「お前のような奴と結婚できない」と婚約破棄された聖女は新しい幸せを探します

13

数日後、私はカイトと一緒に買い物に出かけていた。二人で手を繋いで歩いていると、不意に声をかけられた。


「やあ、お二人さん！ デートかい？」


声をかけてきたのは商人のバーンズさんだ。私たちは笑顔で答えることにした。


「はい！ そうなんです！」


すると、バーンズさんは嬉しそうに笑いながら言った。


「いいねぇ～！ 若いってのは羨ましいよ！ お幸せにな！」


彼はそう言うと立ち去っていった。私たちは顔を見合わせて微笑むと再び歩き始めた。


「今日は何を買おうか？」


カイトに尋ねられて私は少し考えた。


（うーん……どうしようかな？）


特にこれといった目的はないのだが、せっかくなので何か買いたい気分だった。しばらく悩んだ結果、私はある物を買うことにした。


「ねえ、カイト！ ちょっと寄り道していいかな？」


私が尋ねると、彼は微笑みながら頷いてくれた。私たちは大通りから脇道に入ると小さなお店に入った。その店は可愛らしい小物が売っている雑貨屋さんだった。店内にはアクセサリーや小物などが並べられており、見ているだけでも楽しい気分になる。


「何か欲しいものがあるのかい？」


カイトが優しく尋ねてきたので私は笑顔で答えた。


「うん！ お守りが欲しいの！」


私が答えると、カイトは少し驚いたような表情を見せた。そして、納得したように頷くと言った。


「なるほど……君のためならどんな願いでも叶うだろうね」


「もう！ そんなんじゃないよ！」


私は照れ隠しをするように言った。しかし、彼は微笑み続けている。どうやら私の考えなどお見通しらしい。


（うぅ……敵わないな……）


心の中でそう思いながらも私は棚に並ぶ商品を見て回った。どれも可愛らしいデザインで目移りしてしまうほどである。そんな中、ある商品が目に留まった。それは小さなブローチだった。小さな宝石が散りばめられており、光を浴びて輝いているように見える。


（すごく綺麗だな……）


思わず見惚れてしまうほどの美しさだ。しばらく悩んだ後、私はそれを購入することにした。


「そのブローチを買うのかい？」


カイトに尋ねられて私は答えた。


「うん！ これがいい！」


私が言うと、彼は微笑みながらお金を渡してくれた。それを受け取りお会計を済ませると私たちは店を後にした。そのまま大通りに戻ると再び手を繋いで歩き出す。すると、不意にカイトが言った。


「そろそろ昼時だね」


時計を見ると時刻は正午を過ぎていた。どうやらもうそんな時間らしい。私はお腹を押さえながらカイトに尋ねることにした。


「そういえばお昼ご飯ってどうする？」


「そうだね……どこかで食べようか」


カイトの提案を聞いて私は考えた。この辺りで美味しいお店を探せばいいかもしれない。


「あっ！ それならあそこに行ってみたいな！」


私はある店を指差しながら言った。それは大通りから少し離れた場所にあるカフェだ。落ち着いた雰囲気の外観が印象的なお店である。私たちはそこへ向かうことにした。カランカラン……扉を開けると心地良いベルの音が響いた。店内に入ると、そこには優しい音楽が流れており心地よい雰囲気が漂っている。


（すごくオシャレなところだなぁ……）


私は内心ワクワクしながらメニュー表を見た。すると、カイトは私に尋ねてきた。


「何か食べたいものはあるかい？」


私は少し考えた後、答えた。


「うーん……サンドイッチがいいな！」


私が答えるとカイトは店員さんを呼んで注文をしてくれた。数分後に頼んだものが運ばれてくる。それは美味しそうなサンドイッチだった。


「うわぁ！ 美味しそう！」


私は思わず声を上げた。白いパンに挟まれているのはトマトやレタスといった野菜とハムが入っているようだ。早速一口食べると、サクッとした食感と共に甘みのある味わいが口の中に広がる。とても美味しいサンドイッチだ。あまりの美味しさにあっという間に食べ終えてしまった。お腹も満たされた私たちは満足してカフェを後にしたのだった。