12 / 20
12
しおりを挟む
翌日、私は教会に来ていた。いつものように祈りを捧げた後、中庭に向かうとベンチに座って休憩することにする。ぼんやりと空を見上げながら物思いに耽っていると、不意に声をかけられた。
「あの……こんにちは……」
振り返るとそこには一人のシスターが立っていた。私は驚いて立ち上がると言った。
「こ、こんにちは!」
シスターは優しく微笑むと私に話しかけてきた。
「ふふっ……そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ」
彼女の言葉を受けて少し落ち着くことができた私は、改めて挨拶をすることにした。
「初めまして! 私はクロエと言います!」
私が名乗るとシスターも微笑んで答える。
「はじめまして。私はノエルと言います。ここでシスターをしているの」
ノエルと名乗った彼女は落ち着いた雰囲気を持つ女性だった。年齢は30代前半くらいだろうか? 銀髪の長い髪に青い瞳が特徴的だ。彼女の優しい笑顔を見て心が癒される気がした。
(凄く綺麗な人だ……)
私が見惚れていると、ノエルさんは私に尋ねてきた。
「あなたのような聖女がどうしてこの教会に?」
「あぁ、それはですね……」
私はこれまでの経緯を彼女に説明した。ノエルさんは興味深そうに聞いてくれたので私も楽しく話すことができた。
「まあ! そんなことがあったのね!」
彼女は目を輝かせながら言った。どうやら私の体験談が面白かったようだ。その後も私たちはしばらくの間話をすることになったのだが、次第に打ち解けていきお互いに打ち解けることができたのだった。
(最初は緊張していたけど話してみると優しい人だったな……)
心の中でホッとしていると、ノエルさんがふと思い出したかのように言った。
「そういえばクロエさん。そろそろ礼拝の時間じゃないですか?」
「えっ!? もうそんな時間なんですか?」
驚いて尋ねると、彼女はニッコリと笑いながら頷いた。時計を見ると時刻は午後1時を指していた。どうやら話し込んでいる間に時間が経っていたらしい。
(そろそろ戻らないとダメかな……)
私は少し名残惜しかったがノエルさんと別れることにした。彼女に別れを告げて教会へ戻ると、そこにはカイトの姿があった。彼は私に気づくと微笑みながら声をかけてくる。
「遅かったねクロエ。何かあったのかい?」
「ううん! ちょっと休憩してただけだよ!」
私が元気よく答えると、彼は少し心配そうに見つめてきた。しかし、すぐに笑顔に戻ると私の手を取る。
「行こうか」
「うん!」
私たちは教会の中へと入っていくと礼拝堂へ向かった。そして、祭壇の前に並んで立つと祈りを捧げるのだった。
礼拝を終えた私たちは中庭に向かい、ベンチに座ると一息ついた。すると、ノエルさんがやってきて声をかけてくれた。
「二人ともお疲れ様」
そう言って微笑む彼女に私はお礼を言った。カイトも頭を下げて挨拶をしている。
「ノエルさん! 今日もお疲れ様です!」
「ふふっ……私は大したことはしていないわ。ただここに立っているだけだもの」
彼女はそう言いながらもどこか嬉しそうな様子だった。私はそんな彼女に尋ねてみることにした。
「あの、どうしてシスターになったんですか?」
すると、ノエルさんは少し考える素振りを見せた後ゆっくりと語り始めた。
「そうね……私ね、昔は孤児院で育ったのよ」
彼女の言葉に私たちは驚いた。まさかそんな過去があったとは想像していなかったからだ。しかし、彼女は微笑みながら話を続ける。
「もちろん、辛くなかったと言えば嘘になるわ。でもね、優しいシスターと仲間たちに囲まれて私は救われたの」
ノエルさんの表情はとても穏やかだった。彼女にとってその経験は大きなものだったのだろう。
(凄いな……私にそんな過去は無いから少し羨ましいかも……)
心の中で思っていると、彼女が再び話し始めた。
「それからね、私なりに恩返しをしたいと思ったの」
「恩返しですか?」
私が聞き返すと、彼女は微笑みながら頷いた。そして、言葉を続ける。
「私は今も昔もずっと誰かに助けられてきたから……今度は私が誰かを助けたいって思ったの」
「凄いですね……」
私は感嘆の声を上げずにはいられなかった。誰かのために行動できる彼女がとても輝いて見えたからだ。すると、ノエルさんが私の手を取った。そして、ニッコリと微笑みながら話しかけてくる。
「あなたは強い子よ……これからも頑張ってね」
私は彼女の言葉を受けて胸が熱くなったような気がした。こんなにも私のことを思ってくれている人がいることが嬉しかったのだ。
(私って幸せ者だな)
そんなことを考えているとカイトが声をかけてきた。
「そろそろ戻ろうか。子供たちが待っているよ」
「そうだね! ノエルさん! またお話ししましょうね!」
私はそう言うとノエルさんに手を振って別れた。彼女も微笑みながら手を振り返してくれた。
(あんなに優しい人もこの世界にはいるんだな……)
そんなことを思いながら私たち二人は教会を後にした。
「あの……こんにちは……」
振り返るとそこには一人のシスターが立っていた。私は驚いて立ち上がると言った。
「こ、こんにちは!」
シスターは優しく微笑むと私に話しかけてきた。
「ふふっ……そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ」
彼女の言葉を受けて少し落ち着くことができた私は、改めて挨拶をすることにした。
「初めまして! 私はクロエと言います!」
私が名乗るとシスターも微笑んで答える。
「はじめまして。私はノエルと言います。ここでシスターをしているの」
ノエルと名乗った彼女は落ち着いた雰囲気を持つ女性だった。年齢は30代前半くらいだろうか? 銀髪の長い髪に青い瞳が特徴的だ。彼女の優しい笑顔を見て心が癒される気がした。
(凄く綺麗な人だ……)
私が見惚れていると、ノエルさんは私に尋ねてきた。
「あなたのような聖女がどうしてこの教会に?」
「あぁ、それはですね……」
私はこれまでの経緯を彼女に説明した。ノエルさんは興味深そうに聞いてくれたので私も楽しく話すことができた。
「まあ! そんなことがあったのね!」
彼女は目を輝かせながら言った。どうやら私の体験談が面白かったようだ。その後も私たちはしばらくの間話をすることになったのだが、次第に打ち解けていきお互いに打ち解けることができたのだった。
(最初は緊張していたけど話してみると優しい人だったな……)
心の中でホッとしていると、ノエルさんがふと思い出したかのように言った。
「そういえばクロエさん。そろそろ礼拝の時間じゃないですか?」
「えっ!? もうそんな時間なんですか?」
驚いて尋ねると、彼女はニッコリと笑いながら頷いた。時計を見ると時刻は午後1時を指していた。どうやら話し込んでいる間に時間が経っていたらしい。
(そろそろ戻らないとダメかな……)
私は少し名残惜しかったがノエルさんと別れることにした。彼女に別れを告げて教会へ戻ると、そこにはカイトの姿があった。彼は私に気づくと微笑みながら声をかけてくる。
「遅かったねクロエ。何かあったのかい?」
「ううん! ちょっと休憩してただけだよ!」
私が元気よく答えると、彼は少し心配そうに見つめてきた。しかし、すぐに笑顔に戻ると私の手を取る。
「行こうか」
「うん!」
私たちは教会の中へと入っていくと礼拝堂へ向かった。そして、祭壇の前に並んで立つと祈りを捧げるのだった。
礼拝を終えた私たちは中庭に向かい、ベンチに座ると一息ついた。すると、ノエルさんがやってきて声をかけてくれた。
「二人ともお疲れ様」
そう言って微笑む彼女に私はお礼を言った。カイトも頭を下げて挨拶をしている。
「ノエルさん! 今日もお疲れ様です!」
「ふふっ……私は大したことはしていないわ。ただここに立っているだけだもの」
彼女はそう言いながらもどこか嬉しそうな様子だった。私はそんな彼女に尋ねてみることにした。
「あの、どうしてシスターになったんですか?」
すると、ノエルさんは少し考える素振りを見せた後ゆっくりと語り始めた。
「そうね……私ね、昔は孤児院で育ったのよ」
彼女の言葉に私たちは驚いた。まさかそんな過去があったとは想像していなかったからだ。しかし、彼女は微笑みながら話を続ける。
「もちろん、辛くなかったと言えば嘘になるわ。でもね、優しいシスターと仲間たちに囲まれて私は救われたの」
ノエルさんの表情はとても穏やかだった。彼女にとってその経験は大きなものだったのだろう。
(凄いな……私にそんな過去は無いから少し羨ましいかも……)
心の中で思っていると、彼女が再び話し始めた。
「それからね、私なりに恩返しをしたいと思ったの」
「恩返しですか?」
私が聞き返すと、彼女は微笑みながら頷いた。そして、言葉を続ける。
「私は今も昔もずっと誰かに助けられてきたから……今度は私が誰かを助けたいって思ったの」
「凄いですね……」
私は感嘆の声を上げずにはいられなかった。誰かのために行動できる彼女がとても輝いて見えたからだ。すると、ノエルさんが私の手を取った。そして、ニッコリと微笑みながら話しかけてくる。
「あなたは強い子よ……これからも頑張ってね」
私は彼女の言葉を受けて胸が熱くなったような気がした。こんなにも私のことを思ってくれている人がいることが嬉しかったのだ。
(私って幸せ者だな)
そんなことを考えているとカイトが声をかけてきた。
「そろそろ戻ろうか。子供たちが待っているよ」
「そうだね! ノエルさん! またお話ししましょうね!」
私はそう言うとノエルさんに手を振って別れた。彼女も微笑みながら手を振り返してくれた。
(あんなに優しい人もこの世界にはいるんだな……)
そんなことを思いながら私たち二人は教会を後にした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
158
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる