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ある日のこと、私は再び孤児院へと足を運んでいた。子供たちの様子を見に来たのだ。中に入ると、いつものように元気な声が聞こえてくる。しかし、その中でも特に目を引く存在がいた。
(あの子は……)
私が気になったのは部屋の隅で1人黙々と絵を描いている少女だった。年齢は10歳くらいだろうか? 美しい黒髪に赤い瞳を持つ少女はどこか不思議な雰囲気を漂わせていた。彼女の周りには他の子供たちが集まっていたが、彼女自身は全く気にしていない様子だ。その姿を見た私は思わず声をかけてしまった。
「ねえ! 何を描いてるの?」
私の声を聞いた瞬間、少女は驚いたようにビクッと体を震わせた。そして、恐る恐ると言った様子で私の方を向くと小さな声で呟いた。
「え……えっと……あの……」
緊張しているのか上手く喋れていないようだ。私は彼女の隣に座りながら優しく話しかけた。
「そんなに怖がらなくていいんだよ? ほら! みんなもおいでよ!」
私がそう言うと他の子供たちも興味津々といった様子で近寄ってきた。少女の隣に座り込むと楽しそうに話しかけている。最初は戸惑っていた少女だったが次第に笑顔を見せるようになった。
(良かった。少しは緊張が解けたみたいだね)
私はホッとしながらその様子を眺めていた。他の子供たちは少女と打ち解けたのか楽しそうにお喋りをしている。それを眺めていると、不意に視線を感じて振り返った。すると、そこにはカイトが立っていた。彼は優しい微笑みを浮かべながら私に声をかけてきた。
「ここにいたんだね」
「うん! 子供たちに会いに来たの」
私がそう答えると、カイトも興味深そうに子供たちの方を見た。そして、楽しそうにしている姿を見て安心した表情を浮かべる。そんな彼の表情を見て私も嬉しくなった。私の大切な友人だからこそ、彼の幸せそうな姿を見ると私も幸せな気分になれるのだ。
「あの子ってどんな子なの?」
私はカイトに尋ねた。すると、彼は少女の方を見ながら答えた。
「あの子はレイラと言ってね、少し事情があってここに保護されたんだ」
彼の言葉に胸が締め付けられるような思いになった。何か特別な事情があることは察していたがまさかそのような状況だったとは知らなかったからだ。心配になりつつも少女のことをじっと見つめていると、視線に気づいたのか少女は私の方を向いた。そして、ニッコリと笑うと手を振ってくれた。
「ねえ! こっちに来て!」
突然、レイラが大きな声で私を呼んだ。私が戸惑っていると、カイトが私の背中を押すようにして言った。
「行ってあげなさい」
私は小さく頷いて立ち上がると少女の方へ向かった。近くまで行くと、彼女は絵を見せてくれた。そこには私とカイトの絵が描かれている。それを見た瞬間、胸が熱くなった気がした。
(こんなに上手に描けるなんて……!)
彼女の才能に感動していると、隣にいた少女が私の手を掴んだ。そして、満面の笑みで言った。
「ありがとう! お姉さんの絵も綺麗だね!」
(この子……天使かな?)
思わずそう思ってしまうほど彼女の笑顔は眩しかった。私が感動していると、隣にいた少年が私に向かって言ってきた。
「お姉ちゃんのペンダントすごく可愛いね! どこで買ったの?」
私は彼の頭を撫でながら笑顔で答えた。
「これは大切な人がくれたんだよ」
(本当は恋人から貰ったんだけど、まだ恥ずかしくて言えないや……)
照れながら答えると、子供たちは興味津々な様子で質問してきた。私はそんな子供たちの相手をしながら幸せな時間を過ごしたのだった。
(あの子は……)
私が気になったのは部屋の隅で1人黙々と絵を描いている少女だった。年齢は10歳くらいだろうか? 美しい黒髪に赤い瞳を持つ少女はどこか不思議な雰囲気を漂わせていた。彼女の周りには他の子供たちが集まっていたが、彼女自身は全く気にしていない様子だ。その姿を見た私は思わず声をかけてしまった。
「ねえ! 何を描いてるの?」
私の声を聞いた瞬間、少女は驚いたようにビクッと体を震わせた。そして、恐る恐ると言った様子で私の方を向くと小さな声で呟いた。
「え……えっと……あの……」
緊張しているのか上手く喋れていないようだ。私は彼女の隣に座りながら優しく話しかけた。
「そんなに怖がらなくていいんだよ? ほら! みんなもおいでよ!」
私がそう言うと他の子供たちも興味津々といった様子で近寄ってきた。少女の隣に座り込むと楽しそうに話しかけている。最初は戸惑っていた少女だったが次第に笑顔を見せるようになった。
(良かった。少しは緊張が解けたみたいだね)
私はホッとしながらその様子を眺めていた。他の子供たちは少女と打ち解けたのか楽しそうにお喋りをしている。それを眺めていると、不意に視線を感じて振り返った。すると、そこにはカイトが立っていた。彼は優しい微笑みを浮かべながら私に声をかけてきた。
「ここにいたんだね」
「うん! 子供たちに会いに来たの」
私がそう答えると、カイトも興味深そうに子供たちの方を見た。そして、楽しそうにしている姿を見て安心した表情を浮かべる。そんな彼の表情を見て私も嬉しくなった。私の大切な友人だからこそ、彼の幸せそうな姿を見ると私も幸せな気分になれるのだ。
「あの子ってどんな子なの?」
私はカイトに尋ねた。すると、彼は少女の方を見ながら答えた。
「あの子はレイラと言ってね、少し事情があってここに保護されたんだ」
彼の言葉に胸が締め付けられるような思いになった。何か特別な事情があることは察していたがまさかそのような状況だったとは知らなかったからだ。心配になりつつも少女のことをじっと見つめていると、視線に気づいたのか少女は私の方を向いた。そして、ニッコリと笑うと手を振ってくれた。
「ねえ! こっちに来て!」
突然、レイラが大きな声で私を呼んだ。私が戸惑っていると、カイトが私の背中を押すようにして言った。
「行ってあげなさい」
私は小さく頷いて立ち上がると少女の方へ向かった。近くまで行くと、彼女は絵を見せてくれた。そこには私とカイトの絵が描かれている。それを見た瞬間、胸が熱くなった気がした。
(こんなに上手に描けるなんて……!)
彼女の才能に感動していると、隣にいた少女が私の手を掴んだ。そして、満面の笑みで言った。
「ありがとう! お姉さんの絵も綺麗だね!」
(この子……天使かな?)
思わずそう思ってしまうほど彼女の笑顔は眩しかった。私が感動していると、隣にいた少年が私に向かって言ってきた。
「お姉ちゃんのペンダントすごく可愛いね! どこで買ったの?」
私は彼の頭を撫でながら笑顔で答えた。
「これは大切な人がくれたんだよ」
(本当は恋人から貰ったんだけど、まだ恥ずかしくて言えないや……)
照れながら答えると、子供たちは興味津々な様子で質問してきた。私はそんな子供たちの相手をしながら幸せな時間を過ごしたのだった。
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