【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜

O.T.I

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レティシア15歳 時代の変革者たち

第96話 聖剣グラルヴァル

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 みごと試練を乗り越えたレティシアたち。

 先程まで死闘を演じていた相手である赤竜だが、どうやら実体ではなかったようだ。
 赤竜は一行の戦いぶりを称えて試練の終わりを告げたあと、その身を変じて人間の姿になった。

 彼は赤竜王ゼアルと名乗った。
 なんでも、かつての武神ディザールの仲間であったとか。
 そして、イスパルナから遠く離れた山地に本体があり、ここで戦った彼は精神体である……とのことだった。

 カティアが聖剣を手に入れようとした経緯を聞くと、ゼアルは彼女たちに興味を持ち、自分も同行すると言ってミーティアの身体の中に入り込んでしまった。
 特に害は無いと言ってはいたが……





 ともあれ……
 ついに彼女たちは聖剣と対面する事になった。


 ゼアルと激闘を繰り広げた場所から、更に奥へと進んだ先に、広大な部屋があった。
 部屋の中央には祭壇のようなものがあり、そこに一振りの剣が突き刺さっていたのだ。

 それは多少の装飾が施されてはいたものの、ごくシンプルな形状の剣だ。
 しかし、仄かに青い光を発する様は神々しく、まさに聖剣と呼ぶに相応しい佇まいであった。




「凄い……これが聖剣……」

「『グラルヴァル』……か」

 カティアとカイトは息を飲みながら聖剣に近づき、その神々しさに当てられたかのように呟いた。

『そうだ。かつてディザールが地上にいた時に振るい、イスパルに受け継がれ……今はこうして、再び相応しき者が手にするのを待っているんだ』

 ミーティアから声が聞こえたが、喋ったのは彼女の中にいるゼアルである。
 彼も聖剣の守護者として長い時を過ごしながら、それを手にする者が現れるのをずっと待っていたのだ。


「初代国王陛下以降は誰も手にしてないのですか?」

『いや。一度だけこの神殿から持ち出されたことがあるぞ。やはりイスパルのすえで……リディアという娘だったな』

 その名が300年前に魔王を倒した英雄の一人であることは、レティシアも知っていた。
 そして彼女は、かつての英雄の姿をカティア達に重ね……きっと自分は、新しい伝説の一幕に立ち会っているのだと思った。



『さあ、手に取ってみろ。カイトと言ったな?リヴェティアラの眷族たるお前も、その剣を振るう資格は十分にあるだろう』

「……はい!」

「あはは~、選ばれし者しか抜けないとかだったりして~」

 前世の物語を思い出して、レティシアはそんな事を言った。

「アー〇ー王か。ここまで来てそれはないでしょ。レティ、変な茶々は入れないの」

「は~い、ごめんなさ~い」

「まったく……さあ、カイト……!」

「ああ……!」


 カイトは聖剣を手にすると、大した力を入れるふうでもなく祭壇からあっさり引き抜いた。
 どうやらレティシアの懸念 (?)は杞憂に終わったようだ。



 こうして、彼らは無事に聖剣を手に入れたのだった。





 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆




「いや~……なかなか大変だったね」

「レティ、ありがとね。もし、あなたがいなかったら……試練は突破できなかったと思う」

「確かにな……3人だけではかなり厳しかったと思うぞ」

「レティお姉ちゃんの魔法、すごかったの!」

「ふふ、ありがとう、ミーティアちゃん。でも……私がいなくも、たぶんカティアたちなら何とかしてたと思うよ。……まあ、ちゃんと力になることができたのなら、良かったよ」

 レティシアは謙遜して言うが、最後の赤竜ゼアルとの戦いは、彼女の強力な魔法がなければ厳しいものがあっただろう。
 しかし、それもカティアたちが彼女を護りながら時間を稼いでくれたおかげでもある。
 自分が戦闘向きではないことを良く知ってるレティシアだから、それはよく理解できた。

 神代遺物アーティファクトの力で命の危険がないからこそ協力できたことであるし、今回みたいに闘いの場に出ることは、もうないだろう……と、彼女は思った。




「じゃあ、ちょっと早いけど……『駅』に行きますか」

「でも、お昼ご飯くらいは食べてかないと」

「大丈夫!私たちの分は用意してるから……列車の中で食べよう!」

「レティ……あなたまさか、昨日の今日で駅弁を?料理人の人たちに無理させてないでしょうね」

 カティアがジト目になってレティシアに問いただす。
 彼女がほとんど徹夜をしてた理由を知ってるので、自分の言葉が原因で他の人に無茶させたのかもしれない……と、心配になったのだ。

「大丈夫だよ、私達の分だけだし。それに、企画案を見せたらむしろ乗り気になってたのは料理長の方だし。ぜひ感想を聞かせてね。伝えておくから」

「そう、だったらよいのだけど。しかし仕事が早いね……それも情熱のなせる業なのかな」

「そう!私の鉄道魂は、熱く燃えてるんだよ!」

 両拳に力を込めて宣言する彼女を、カティアは眩しそうに見つめる。
 そして、『彼女の夢を守りたい』と思うのは……王女としての自覚の現れだったのだろう。


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