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レティシア15歳 時代の変革者たち
第95話 聖剣の試練
しおりを挟むディザール神殿総本山へとやって来たレティシアたち。
既にディザール神より神託が降りていたらしく、到着してすぐに大司教のロアナが話しかけてきた。
そして……
「試練……ですか?」
ロアナに案内された応接室でのこと。
聖剣は貸し出しという形であれば持ち出すことは問題ないとの事だったが……聖剣を手にするものは『試練』を受けなければならない、とロアナから告げられたのだ。
「聖剣は、我が神殿が代々受け継いできた至宝。それだけでなく、神が振るうのに相応しき力を持った恐るべき武器でもあり、おいそれと外に出して良いものではないのです。故に、ディザール様は『必要なとき、相応しき者の手に』と申されていた……と伝わってます」
ということで、カティアたちは聖剣を手に入れるため試練を受けることになった。
そして、試練は四人まで受けることができ、試練の場は神代遺物の力により命の危険は無いとのことだったので、レティシアも一緒に参加することにした。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
聖剣の試練に挑む一行。
まず最初に待ち構えていたのは『勇気の試練』。
行く手に立ちはだかったのは、底が全く見えない大穴であった。
はるか先の方に扉は見えるものの、到底跳び越えられるような距離ではなく、カティアたちは頭を悩ませた。
だが、『前世のRPGのシチュエーションに似てる』……と思ったレティシアが、突破口を見出した。
人一人が歩けるくらいの幅の、見えない床が存在することを突き止めたのだ。
それを渡る時は、まさしく『勇気』を試されることになったが、無事に全員がクリアすることができた。
続いて『知恵の試練』。
今度は無数の扉が目の前に現れる。
おそらく正解の扉は一つだけ……と、今度も頭を悩ませる事になった。
しかし全ての扉の数が『97』であり、中途半端な数である事にカティアが気が付いた。
そしてこの扉は何らかのスイッチのようなものであり、ある規則に則って扉を開けば良いのではないか……と。
果たしてそれは正しく、第二の試練も突破することができたのだ。
そして最後は『力の試練』である。
それは即ち、聖剣の守護者との戦いが待ち受けている事を示していた。
最後の試練の扉を開けた先には広大な空間。
そこに居たのは、強大な力を持つであろう赤竜の巨体。
戦いが始まるとすぐに、カティアとカイトは印の力を解放する。
レティシアは、そのとき初めて神々の力の一端を見た。
そしてミーティアとレティシアも、強力な攻撃魔法や結界魔法で支援を行う。
戦いは熾烈を極めた。
しかし、ドラゴンの巨体に対して剣などによる物理攻撃や、等級の低い攻撃魔法では決め手に欠ける。
そこでカティアとカイト、ミーティアは時間稼ぎに徹し、レティシアが強力な魔法を放つ準備を始めた。
こと魔法に関しては天才的な腕前を誇るレティシア。
しかし、魔道具開発や研究以外でその腕を振るう機会は多くはなかった。
攻撃魔法も、かつて冒険者たちとともに戦ったとき以来だ。
上手くできるか……彼女は湧き上がる不安な気持ちを無理やり抑え込みながら、しかし冷静に莫大な魔力を制御する。
それは『絶対に使ってはならない』と、マティスから言われたほどの魔法。
公爵家の書庫で見つけた、古代の魔法書から習得した神代魔法。
試しに、ごく魔力を抑えて使ったときでも……大岩をも容易く消し去った、強力無比な攻撃魔法だ。
神代遺物によって護られたこの場なら、全力で使っても問題ないだろう……そう彼女は考えたのだ。
(一度でいいから全開でぶっ放してみたかったんだよね~)
……どうやら、ここまでの戦いで色々とタガが外れている様子。
強力な魔法の気配を察知した赤竜が、そうはさせじと彼女に攻撃しようとする。
しかし、カティアたちが力を合わせてそれを阻止し、全力でレティシアを護り抜く。
そしてついに魔法は完成した。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「[虚空滅却]っっ!!!」
レティシアが突き出した掌から、眩い光が奔流となって放たれる。
敵を取り囲んでいたカティアたちは、事前の合図によって既に散開しており、光は一直線に赤竜に襲いかかった。
そして……
『グォーーーーッッ!!!』
腹に大穴を穿たれた赤竜から絶叫が迸った。
壮絶な戦いはここに幕を下ろし、彼女たちはついに全ての試練を突破するのであった。
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