【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜

O.T.I

文字の大きさ
上 下
109 / 191
レティシア15歳 時代の変革者たち

第95話 聖剣の試練

しおりを挟む

 ディザール神殿総本山へとやって来たレティシアたち。
 既にディザール神より神託が降りていたらしく、到着してすぐに大司教のロアナが話しかけてきた。

 そして……


「試練……ですか?」

 ロアナに案内された応接室でのこと。
 聖剣は貸し出しという形であれば持ち出すことは問題ないとの事だったが……聖剣を手にするものは『試練』を受けなければならない、とロアナから告げられたのだ。


「聖剣は、我が神殿が代々受け継いできた至宝。それだけでなく、神が振るうのに相応しき力を持った恐るべき武器でもあり、おいそれと外に出して良いものではないのです。故に、ディザール様は『必要なとき、相応しき者の手に』と申されていた……と伝わってます」

 ということで、カティアたちは聖剣を手に入れるため試練を受けることになった。
 そして、試練は四人まで受けることができ、試練の場は神代遺物アーティファクトの力により命の危険は無いとのことだったので、レティシアも一緒に参加することにした。







 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆



 聖剣の試練に挑む一行。

 まず最初に待ち構えていたのは『勇気の試練』。
 行く手に立ちはだかったのは、底が全く見えない大穴であった。
 はるか先の方に扉は見えるものの、到底跳び越えられるような距離ではなく、カティアたちは頭を悩ませた。

 だが、『前世のRPGのシチュエーションに似てる』……と思ったレティシアが、突破口を見出した。
 人一人が歩けるくらいの幅の、見えない床が存在することを突き止めたのだ。

 それを渡る時は、まさしく『勇気』を試されることになったが、無事に全員がクリアすることができた。



 続いて『知恵の試練』。
 今度は無数の扉が目の前に現れる。
 おそらく正解の扉は一つだけ……と、今度も頭を悩ませる事になった。

 しかし全ての扉の数が『97』であり、中途半端な数である事にカティアが気が付いた。
 そしてこの扉は何らかのスイッチのようなものであり、ある規則に則って扉を開けば良いのではないか……と。

 果たしてそれは正しく、第二の試練も突破することができたのだ。




 そして最後は『力の試練』である。
 それは即ち、聖剣の守護者との戦いが待ち受けている事を示していた。

 最後の試練の扉を開けた先には広大な空間。
 そこに居たのは、強大な力を持つであろう赤竜レッドドラゴンの巨体。


 戦いが始まるとすぐに、カティアとカイトはシギルの力を解放する。
 レティシアは、そのとき初めて神々の力の一端を見た。

 そしてミーティアとレティシアも、強力な攻撃魔法や結界魔法で支援を行う。

 戦いは熾烈を極めた。
 しかし、ドラゴンの巨体に対して剣などによる物理攻撃や、等級の低い攻撃魔法では決め手に欠ける。

 そこでカティアとカイト、ミーティアは時間稼ぎに徹し、レティシアが強力な魔法を放つ準備を始めた。


 こと魔法に関しては天才的な腕前を誇るレティシア。
 しかし、魔道具開発や研究以外でその腕を振るう機会は多くはなかった。
 攻撃魔法も、かつて冒険者たちとともに戦ったとき以来だ。

 上手くできるか……彼女は湧き上がる不安な気持ちを無理やり抑え込みながら、しかし冷静に莫大な魔力を制御する。

 それは『絶対に使ってはならない』と、マティスから言われたほどの魔法。
 公爵家の書庫で見つけた、古代の魔法書から習得した神代魔法。
 試しに、ごく魔力を抑えて使ったときでも……大岩をも容易く消し去った、強力無比な攻撃魔法だ。

 神代遺物アーティファクトによって護られたこの場なら、全力で使っても問題ないだろう……そう彼女は考えたのだ。

(一度でいいから全開でぶっ放してみたかったんだよね~)

 ……どうやら、ここまでの戦いで色々とタガが外れている様子。


 強力な魔法の気配を察知した赤竜が、そうはさせじと彼女に攻撃しようとする。
 しかし、カティアたちが力を合わせてそれを阻止し、全力でレティシアを護り抜く。

 そしてついに魔法は完成した。





 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆





「[虚空滅却]っっ!!!」

 レティシアが突き出した掌から、眩い光が奔流となって放たれる。

 敵を取り囲んでいたカティアたちは、事前の合図によって既に散開しており、光は一直線に赤竜に襲いかかった。

 そして……


『グォーーーーッッ!!!』


 腹に大穴を穿たれた赤竜から絶叫が迸った。



 壮絶な戦いはここに幕を下ろし、彼女たちはついに全ての試練を突破するのであった。


しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...