【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜

O.T.I

文字の大きさ
上 下
100 / 191
レティシア15歳 時代の変革者たち

【番外編】レティの鉄道講座 そのはち!

しおりを挟む


「ふふふ……ようやく私の出番がやってくるね!」

「……このお話の主人公は私だからね?」

「分かってますって!私なんて、ほんのチョイ役なんだから」

「いやいやいや……主人公属性を『これでもかっ!』て詰め込んだような人に言われても」

「それはあなたも同じでしょ」

「そうかな~…………はっ!?ごめんなさい!!『レティの鉄道講座』第8回、お待たせしました!」

「おっと……アシスタントのKです!よろしくお願いします!」






「じゃあ早速、今回のテーマは……『鉄道車両の型式』についてです!」

「型式……?」

「そう。Kさんはさ、電車の車体に『クハ〇〇』とか『モハ〇〇』とか書かれているの、見たことない?」

「あ、あるよ!なんかよく分からないけど、型番みたいなものって事でしょ?」

「まあそうだね。車両の型式や用途なんかを示す表記って事だね」

「ほうほう」

「表記の意味が分かれば、その車両がどういうものなのか、ざっくりと分かるってこと」

「ざっくり」

「ざっくり。例えばさっきの『クハ』。『ク』は制御車……ようするに運転台がある車両。『ハ』は……もともとは『イ・ロ・ハ』で、それぞれ一等車~三等車を表してたんだけど、現在は『イ』は基本的に無くて(※)、『ロ』がグリーン車、『ハ』が普通車って意味になってるんだ」

※『イ』は、クルーズトレインで例外的に使われている。

「ふむふむ。じゃあ、『モハ』の『モ』は?」

「『モ』はモーターのモ。動力がある車両だね。動力のない付随車だと『サ』。これらの表記類は旧国鉄~JRのもので、他の鉄道会社だと別のルールがあったりするんだ。そのほかの例を以下に示すよ」

 キ……気動車(動力の有無にはよらない)
 シ……食堂車
 ニ……荷物車
 ユ……郵便車
 ネ……寝台車

「この他にも、客車の重量を表すものとか、貨物車両の用途を示すものなんかもあるよ。で、それら記号の後に数字が付いていて、その車両の系列と車番を表してるんだ」

「なるほど~」

「で、系列を表す数字にもルールがあって……例えば旧国鉄の電車の系列は三桁の数字なんだけど、百の位が電源方式、十の位が種別(通勤型、近郊型、急行型、特急型など)を表してるんだね。『485系』の場合は、交流・直流両電源対応の特急型電車……みたいな感じ」

「おぉ~……記号を見たら色々分かるんだね」

「そうだね~。まあ、これは国鉄~JRの一部の例なんだけど、同じJRでも四国なんかは独自ルールだったりするし、さっき言った通り他の鉄道会社とかだと全然違ったりするから、全部覚えるのは大変だよ」

「まさにマニアックな知識だ」



「あと、機関車なんかはまた別のルールがあるよ。やっぱり国鉄形式で説明すると……有名な蒸気機関車『D51』の例を見てみよう」

「デゴイチ?」

「そう。昔の蒸気機関車の形式は数字だけだったんだけど、ある時期からアルファベット+数字で表すようになったんだ」

「ふ~ん」

「蒸気機関車の形式のルールは単純なんだ。アルファベットが『動輪の軸数』を表してる。アルファベットに続く数字は、10~49がタンク型、50以降がテンダー型……炭水車テンダーがあるかどうかの分類だね」

「動輪……実際に動力が動かす車輪のことだよね」

「そう。動力に繋がってない車輪の数は含めないってこと。それで、A、B、C、D……が、1、2、3……に対応してる。『D51』の場合だと、動軸が4つということなんだ」

「なるほど」

「で、このアルファベットで動軸の数を表すのは、電気機関車やディーゼル機関車なんかにも踏襲されてる。電気機関車は頭に『E』を付けるんだ。『EF65』とか『EH500』とかね。ディーゼル機関車の場合は、頭に『D』を付ける」

「電車とかよりは分かりやすいかも」



「では最後に海外の『ユーロスプリンター』の例を見てみましょう」

「カッコイイ名前だぁ」

「これはね、ドイツの車両メーカー『シーメンス(ジーメンス)』が開発した電気機関車で、ヨーロッパ各国に導入実績がある傑作機なんだ」

「何だか凄そう……」

「この機関車の特徴は、基本的な搭載機器をモジュール化することで、導入先の仕様に合わせたセミ・オーダー化を実現し、導入コストの低減を図ってるんだ」

「おお~」

「同様のコンセプトの後継機に『ベクトロン』って機関車もあるんだ。それで、これの形式なんだけど……導入先の鉄道会社のルールに則った独自の形式が与えられてる他に、メーカーのルールによる共通の形式も付けられてるんだ」

「ややこしそう……」

「そうでもないよ。ルールとしては『EuroSprinter』の略の『ES』に、『出力』『用途』『対応電源数』で命名されるんだ。例えば、『ES64F4』なら、出力が6,400kw、貨物用、四種類の電源に対応してるということ」

「けっこう分かりやすいね」

「でしょ。こんなふうに、一見するとよくわからない文字の羅列であっても、その意味を知れば色んなことが分かるんだ。なかなか奥深いでしょう?」

「本当だね。鉄道世界の奥深さ……恐るべしだよ」







「ということで、今回の講座はここまで!……さあ、本編の方では、いよいよ本格的な鉄道開業に向かって、お話も加速してまいります!」

「私ももうすぐ登場!」

「今後とも、ご愛読のほどお願いします!それではまた!」

「さようなら~!」


しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

加工を極めし転生者、チート化した幼女たちとの自由気ままな冒険ライフ

犬社護
ファンタジー
交通事故で不慮の死を遂げてしまった僕-リョウトは、死後の世界で女神と出会い、異世界へ転生されることになった。事前に転生先の世界観について詳しく教えられ、その場でスキルやギフトを練習しても構わないと言われたので、僕は自分に与えられるギフトだけを極めるまで練習を重ねた。女神の目的は不明だけど、僕は全てを納得した上で、フランベル王国王都ベルンシュナイルに住む貴族の名門ヒライデン伯爵家の次男として転生すると、とある理由で魔法を一つも習得できないせいで、15年間軟禁生活を強いられ、15歳の誕生日に両親から追放処分を受けてしまう。ようやく自由を手に入れたけど、初日から幽霊に憑かれた幼女ルティナ、2日目には幽霊になってしまった幼女リノアと出会い、2人を仲間にしたことで、僕は様々な選択を迫られることになる。そしてその結果、子供たちが意図せず、どんどんチート化してしまう。 僕の夢は、自由気ままに世界中を冒険すること…なんだけど、いつの間にかチートな子供たちが主体となって、冒険が進んでいく。 僕の夢……どこいった?

処理中です...