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レティシア15歳 時代の変革者たち
【番外編】レティの鉄道講座 そのはち!
しおりを挟む「ふふふ……ようやく私の出番がやってくるね!」
「……このお話の主人公は私だからね?」
「分かってますって!私なんて、ほんのチョイ役なんだから」
「いやいやいや……主人公属性を『これでもかっ!』て詰め込んだような人に言われても」
「それはあなたも同じでしょ」
「そうかな~…………はっ!?ごめんなさい!!『レティの鉄道講座』第8回、お待たせしました!」
「おっと……アシスタントのKです!よろしくお願いします!」
「じゃあ早速、今回のテーマは……『鉄道車両の型式』についてです!」
「型式……?」
「そう。Kさんはさ、電車の車体に『クハ〇〇』とか『モハ〇〇』とか書かれているの、見たことない?」
「あ、あるよ!なんかよく分からないけど、型番みたいなものって事でしょ?」
「まあそうだね。車両の型式や用途なんかを示す表記って事だね」
「ほうほう」
「表記の意味が分かれば、その車両がどういうものなのか、ざっくりと分かるってこと」
「ざっくり」
「ざっくり。例えばさっきの『クハ』。『ク』は制御車……ようするに運転台がある車両。『ハ』は……もともとは『イ・ロ・ハ』で、それぞれ一等車~三等車を表してたんだけど、現在は『イ』は基本的に無くて(※)、『ロ』がグリーン車、『ハ』が普通車って意味になってるんだ」
※『イ』は、クルーズトレインで例外的に使われている。
「ふむふむ。じゃあ、『モハ』の『モ』は?」
「『モ』はモーターのモ。動力がある車両だね。動力のない付随車だと『サ』。これらの表記類は旧国鉄~JRのもので、他の鉄道会社だと別のルールがあったりするんだ。そのほかの例を以下に示すよ」
キ……気動車(動力の有無にはよらない)
シ……食堂車
ニ……荷物車
ユ……郵便車
ネ……寝台車
「この他にも、客車の重量を表すものとか、貨物車両の用途を示すものなんかもあるよ。で、それら記号の後に数字が付いていて、その車両の系列と車番を表してるんだ」
「なるほど~」
「で、系列を表す数字にもルールがあって……例えば旧国鉄の電車の系列は三桁の数字なんだけど、百の位が電源方式、十の位が種別(通勤型、近郊型、急行型、特急型など)を表してるんだね。『485系』の場合は、交流・直流両電源対応の特急型電車……みたいな感じ」
「おぉ~……記号を見たら色々分かるんだね」
「そうだね~。まあ、これは国鉄~JRの一部の例なんだけど、同じJRでも四国なんかは独自ルールだったりするし、さっき言った通り他の鉄道会社とかだと全然違ったりするから、全部覚えるのは大変だよ」
「まさにマニアックな知識だ」
「あと、機関車なんかはまた別のルールがあるよ。やっぱり国鉄形式で説明すると……有名な蒸気機関車『D51』の例を見てみよう」
「デゴイチ?」
「そう。昔の蒸気機関車の形式は数字だけだったんだけど、ある時期からアルファベット+数字で表すようになったんだ」
「ふ~ん」
「蒸気機関車の形式のルールは単純なんだ。アルファベットが『動輪の軸数』を表してる。アルファベットに続く数字は、10~49がタンク型、50以降がテンダー型……炭水車があるかどうかの分類だね」
「動輪……実際に動力が動かす車輪のことだよね」
「そう。動力に繋がってない車輪の数は含めないってこと。それで、A、B、C、D……が、1、2、3……に対応してる。『D51』の場合だと、動軸が4つということなんだ」
「なるほど」
「で、このアルファベットで動軸の数を表すのは、電気機関車やディーゼル機関車なんかにも踏襲されてる。電気機関車は頭に『E』を付けるんだ。『EF65』とか『EH500』とかね。ディーゼル機関車の場合は、頭に『D』を付ける」
「電車とかよりは分かりやすいかも」
「では最後に海外の『ユーロスプリンター』の例を見てみましょう」
「カッコイイ名前だぁ」
「これはね、ドイツの車両メーカー『シーメンス(ジーメンス)』が開発した電気機関車で、ヨーロッパ各国に導入実績がある傑作機なんだ」
「何だか凄そう……」
「この機関車の特徴は、基本的な搭載機器をモジュール化することで、導入先の仕様に合わせたセミ・オーダー化を実現し、導入コストの低減を図ってるんだ」
「おお~」
「同様のコンセプトの後継機に『ベクトロン』って機関車もあるんだ。それで、これの形式なんだけど……導入先の鉄道会社のルールに則った独自の形式が与えられてる他に、メーカーのルールによる共通の形式も付けられてるんだ」
「ややこしそう……」
「そうでもないよ。ルールとしては『EuroSprinter』の略の『ES』に、『出力』『用途』『対応電源数』で命名されるんだ。例えば、『ES64F4』なら、出力が6,400kw、貨物用、四種類の電源に対応してるということ」
「けっこう分かりやすいね」
「でしょ。こんなふうに、一見するとよくわからない文字の羅列であっても、その意味を知れば色んなことが分かるんだ。なかなか奥深いでしょう?」
「本当だね。鉄道世界の奥深さ……恐るべしだよ」
「ということで、今回の講座はここまで!……さあ、本編の方では、いよいよ本格的な鉄道開業に向かって、お話も加速してまいります!」
「私ももうすぐ登場!」
「今後とも、ご愛読のほどお願いします!それではまた!」
「さようなら~!」
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