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3 魔法学校の聖人候補
500 女詐欺師の狂乱
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わーい! 遂に500話です。
ここまで連載を続けてこられたのは、ひとえに読んでくださる皆様のおかげです。
いつも感想やご指摘、本当にありがとうございます。
書籍になってネットを飛び出したメイロードもどうぞよろしく。
新要素もちょっと増えてますので、お楽しみいただければうれしいです。
感謝しかない!
そして《傀儡薬》編、いよいよキャサリナを……
ーーー
500
ついに尻尾を出したキャサリナに内心ガッツポーズをしていた私だが、顔では相変わらず余裕そうな微笑みを絶やさずに、さらにキャサリナをイラつかせるべく演技に徹していた。
(ん? 軍部での実験結果だけじゃ、その時使った《傀儡薬》が本物だったという証拠にしかならないじゃない! レシピはないの?)
私は自信満々のキャサリナの様子に困惑しながらも、お姫様の仮面を外さないよう気をつけつつ、素早く《鑑定》を発動し、いま目の前に置かれた瓶の中身が《傀儡薬》であることは確認した。
セイリュウもこの状況に困惑しているようで、すぐにキャサリナへと話しかけた。
「リナ様、これはこの薬が《傀儡薬》であるという証明でしかないのでは? 本当に製法をお持ちなのですか?」
だが、キャサリナは強気だ。
「じゃあ、どうしてここに《傀儡薬》があるのよ。このワタクシ、天才薬師のワタクシが創ったからでしょう? それに、まだ契約も結んでいないあなたには、この作り方の情報は欠片も渡せないわ! 当然よね! 100大金貨の貴重薬の製法なのよ!」
ここへきて、キャサリナは前回財務部を騙した手口とほぼ同じことを言い始めた。だが《魅了》も《幻惑魔法》も効いていない我々に、それでは通用しない。
「では、こういたしましょう」
セイはキャサリナに向かい合い、ある提案をした。もちろんこれも事前に相談済みの提案だ。これにどう反応するかで、彼女の言うことの真偽は確実にわかるはずだ。
「リナ様に、今から《傀儡薬》を作成して頂きましょう。もちろん、作っているところは見ませんので、それで問題ございませんでしょう? それであなたの言うことは証明されます」
「え?」
明らかにキャサリナの表情に動揺が走った。
「そんな……そんなことはできないわ。素材も道具もなくて、この難しい処方の薬ができるわけがないじゃない」
そこで私が口を出す。
「でしたら〝仙鏡院〟のトルッカ・ゼンモン様にご相談なさってはいかがかしら? ご紹介できましてよ」
この世界で最高の素材の宝庫でもある〝仙鏡院〟には、最高の道具とありとあらゆる素材が揃っている。ここで作れないと言うのなら、それは量産が可能な《魔法薬》とは呼べないし、そもそも量産できない《傀儡薬》に価値などない。
「キッペイ、《伝令》をゼンモン様に……」
「かしこまりました」
私たちのやりとりを聞いていたキャサリナの顔には、化粧が剥がれ始めるほどの脂汗が浮き始めている。
「いまは、無理よ……」
絞り出すような声でそう言うキャサリナを涼しい顔でセイが追い込む。
「最初に申し上げましたよ。本日この場で対価をお支払い頂けなければ、それでこの競りは終了だと。リナ様、この《傀儡薬》が作れることを証明するしか、あなた様がこの最高の首飾りを手に入れる方法はございません」
「それでも、いまは……私には……」
普段から《魅了》と《幻惑魔法》ありきの仕事してきたキャサリナは、どうやら詐欺師としての腕はあまり磨いてはいなかったようだ。この追い詰められた状況から逃げる方法は思いつかないらしい。
「では〝仙鏡院〟へ参りましょうか」
セイの言葉に、ビクッとしたキャサリナは、こう言い始めた。
「悪かったわよ! 私が創ったっていうのは嘘よ! でも、私の知り合いが創ったの。 製法もすぐわかるから!」
そう言いながら、キャサリナはマジックバッグから何やらボロボロの書類を机に大量にぶちまけた。だが、それに書かれていたのは数百年前の古代語で、キャサリナもまったく解読はできていないとしか考えられない、なんの資料かもわからないものだった。
「このどこかに《傀儡薬》の作り方がきっとあるのよ! まだ、解読はできていないけど、間違いないの! 」
セイリュウは、突然自分の嘘を認め、さらに、読めもしない価値のない古い紙束を《傀儡薬》のレシピだと言い始めたキャサリナに、ため息をつきながらこう言った。
「それを私共が信用し、この高価な首飾りをお売りするとお思いですか、リナ様……これでお終いです」
セイリュウの言葉に、キャサリナは半狂乱だ。
「ダメ、ダメダメ!! あれは私のものなの。私が持たなきゃいけないのよぉ~!!」
ついには半狂乱になりながら、首飾りをつかもうとするキャサリナだったが、当然その前にセイリュウが箱ごと引き上げ、それを恭しく私の前にひざまづいて差し出した。
「これの持ち主はお嬢様となりました。どうぞお納めください」
そして私がそれを手の取った瞬間、超音波のようなキーーー!! という音が聞こえ、極度のヒステリー状態に陥ったキャサリナが床に転がって倒れていた。
「あーあ。博士、やり過ぎじゃないですかぁ?」
私がそう言うと、いままで《迷彩魔法》で隠れていたグッケンス博士が姿を現した。
「じゃが、ここまでせんとこの女から本当のことを聞き出すのは難しかっただろうよ。目が眩んで冷静さを忘れたからこそ、ここまで情報を引き出せたのじゃろう?」
博士と私は机の上に散らばったボロボロの羊皮紙や木の板に書かれた文字を目で追った。
「確かにそうですね。それにしても博士の魔法もなかなか怖かったです。キャサリナに噛みつかれるかと思いましたよ。まぁ、彼女の手持ちのカードはこの古い資料で打ち止めだと思います。これを読めれば、おそらく《傀儡薬》の秘密の一端はわかるでしょう。あとはこれを元にキャサリナを問い詰めれば大丈夫そうですから、彼女は逮捕してもらってください」
私の言葉にキッペイが、ホテルの外で待っていたイス警備隊に連絡し、キャサリナは気絶したまま連れていかれた。
「愚かな女だ……」
グッケンス博士の言葉に、私も戦い終わった豪華なホテルの部屋の中で、首飾りの箱を抱きしめながら
「そうですね……」
と頷いた。
ここまで連載を続けてこられたのは、ひとえに読んでくださる皆様のおかげです。
いつも感想やご指摘、本当にありがとうございます。
書籍になってネットを飛び出したメイロードもどうぞよろしく。
新要素もちょっと増えてますので、お楽しみいただければうれしいです。
感謝しかない!
そして《傀儡薬》編、いよいよキャサリナを……
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ついに尻尾を出したキャサリナに内心ガッツポーズをしていた私だが、顔では相変わらず余裕そうな微笑みを絶やさずに、さらにキャサリナをイラつかせるべく演技に徹していた。
(ん? 軍部での実験結果だけじゃ、その時使った《傀儡薬》が本物だったという証拠にしかならないじゃない! レシピはないの?)
私は自信満々のキャサリナの様子に困惑しながらも、お姫様の仮面を外さないよう気をつけつつ、素早く《鑑定》を発動し、いま目の前に置かれた瓶の中身が《傀儡薬》であることは確認した。
セイリュウもこの状況に困惑しているようで、すぐにキャサリナへと話しかけた。
「リナ様、これはこの薬が《傀儡薬》であるという証明でしかないのでは? 本当に製法をお持ちなのですか?」
だが、キャサリナは強気だ。
「じゃあ、どうしてここに《傀儡薬》があるのよ。このワタクシ、天才薬師のワタクシが創ったからでしょう? それに、まだ契約も結んでいないあなたには、この作り方の情報は欠片も渡せないわ! 当然よね! 100大金貨の貴重薬の製法なのよ!」
ここへきて、キャサリナは前回財務部を騙した手口とほぼ同じことを言い始めた。だが《魅了》も《幻惑魔法》も効いていない我々に、それでは通用しない。
「では、こういたしましょう」
セイはキャサリナに向かい合い、ある提案をした。もちろんこれも事前に相談済みの提案だ。これにどう反応するかで、彼女の言うことの真偽は確実にわかるはずだ。
「リナ様に、今から《傀儡薬》を作成して頂きましょう。もちろん、作っているところは見ませんので、それで問題ございませんでしょう? それであなたの言うことは証明されます」
「え?」
明らかにキャサリナの表情に動揺が走った。
「そんな……そんなことはできないわ。素材も道具もなくて、この難しい処方の薬ができるわけがないじゃない」
そこで私が口を出す。
「でしたら〝仙鏡院〟のトルッカ・ゼンモン様にご相談なさってはいかがかしら? ご紹介できましてよ」
この世界で最高の素材の宝庫でもある〝仙鏡院〟には、最高の道具とありとあらゆる素材が揃っている。ここで作れないと言うのなら、それは量産が可能な《魔法薬》とは呼べないし、そもそも量産できない《傀儡薬》に価値などない。
「キッペイ、《伝令》をゼンモン様に……」
「かしこまりました」
私たちのやりとりを聞いていたキャサリナの顔には、化粧が剥がれ始めるほどの脂汗が浮き始めている。
「いまは、無理よ……」
絞り出すような声でそう言うキャサリナを涼しい顔でセイが追い込む。
「最初に申し上げましたよ。本日この場で対価をお支払い頂けなければ、それでこの競りは終了だと。リナ様、この《傀儡薬》が作れることを証明するしか、あなた様がこの最高の首飾りを手に入れる方法はございません」
「それでも、いまは……私には……」
普段から《魅了》と《幻惑魔法》ありきの仕事してきたキャサリナは、どうやら詐欺師としての腕はあまり磨いてはいなかったようだ。この追い詰められた状況から逃げる方法は思いつかないらしい。
「では〝仙鏡院〟へ参りましょうか」
セイの言葉に、ビクッとしたキャサリナは、こう言い始めた。
「悪かったわよ! 私が創ったっていうのは嘘よ! でも、私の知り合いが創ったの。 製法もすぐわかるから!」
そう言いながら、キャサリナはマジックバッグから何やらボロボロの書類を机に大量にぶちまけた。だが、それに書かれていたのは数百年前の古代語で、キャサリナもまったく解読はできていないとしか考えられない、なんの資料かもわからないものだった。
「このどこかに《傀儡薬》の作り方がきっとあるのよ! まだ、解読はできていないけど、間違いないの! 」
セイリュウは、突然自分の嘘を認め、さらに、読めもしない価値のない古い紙束を《傀儡薬》のレシピだと言い始めたキャサリナに、ため息をつきながらこう言った。
「それを私共が信用し、この高価な首飾りをお売りするとお思いですか、リナ様……これでお終いです」
セイリュウの言葉に、キャサリナは半狂乱だ。
「ダメ、ダメダメ!! あれは私のものなの。私が持たなきゃいけないのよぉ~!!」
ついには半狂乱になりながら、首飾りをつかもうとするキャサリナだったが、当然その前にセイリュウが箱ごと引き上げ、それを恭しく私の前にひざまづいて差し出した。
「これの持ち主はお嬢様となりました。どうぞお納めください」
そして私がそれを手の取った瞬間、超音波のようなキーーー!! という音が聞こえ、極度のヒステリー状態に陥ったキャサリナが床に転がって倒れていた。
「あーあ。博士、やり過ぎじゃないですかぁ?」
私がそう言うと、いままで《迷彩魔法》で隠れていたグッケンス博士が姿を現した。
「じゃが、ここまでせんとこの女から本当のことを聞き出すのは難しかっただろうよ。目が眩んで冷静さを忘れたからこそ、ここまで情報を引き出せたのじゃろう?」
博士と私は机の上に散らばったボロボロの羊皮紙や木の板に書かれた文字を目で追った。
「確かにそうですね。それにしても博士の魔法もなかなか怖かったです。キャサリナに噛みつかれるかと思いましたよ。まぁ、彼女の手持ちのカードはこの古い資料で打ち止めだと思います。これを読めれば、おそらく《傀儡薬》の秘密の一端はわかるでしょう。あとはこれを元にキャサリナを問い詰めれば大丈夫そうですから、彼女は逮捕してもらってください」
私の言葉にキッペイが、ホテルの外で待っていたイス警備隊に連絡し、キャサリナは気絶したまま連れていかれた。
「愚かな女だ……」
グッケンス博士の言葉に、私も戦い終わった豪華なホテルの部屋の中で、首飾りの箱を抱きしめながら
「そうですね……」
と頷いた。
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