130 / 174
反撃編
過去の失態
しおりを挟むもう少しで解決するから…
この言葉に嘘は無かった
聖女であるヒロインと…桃香と接触していく内に徐々に思い出してきた前世の記憶
忘れていた記憶がもうすぐ、桃香は失態を犯すと物語っていたから
桃香が原因で受けた火傷や打撲…身体の傷も、その時に役に立つ…
痛くない訳じゃない、けど我慢できる…もう少し、もう少しで聖女に…桃香に報いを受けさせることができるなら…と、おれは作戦の最終段階として一人で行動したかったのに
けど、目の前で今まで見たこともない程…辛そうな顔をするレオンハルト殿下は「ルディ、話しがある…一緒に来て欲ほしい…いや、連れて行く」って言うとおれの手を握り、離してはくれなかった
なぜ?作戦は上手く行ってるのに計画を進めることを許してもらえないのか…?
そう伝えるが、レオンハルト殿下は答えてくれない…
どこへ行くかも教えて貰えず、手を引かれて人気のない場所へ連れて行かれる
そこが滅多に使用されない空き教室だとわかった
室内に入ると教室の端まで連れて行かれ壁に追い込まれてしまった
「レオ…どうしたんだよ?なんでそんな悲しい顔してるんだ…?
もう少しで計画は終わるから…一人で聖女の周辺ふらふらするだけなのに…何が駄目なんだ?何か変な事言ったか?」
「…………遠回しじゃ意味が無いな…
正直に言う、最近のお前はおかしい…何を隠してるんだルディ?俺に言えないような事を隠してるのか?そう聞くつもりだった」
レオンハルト殿下がおれの目をしっかりと見つめ、壁際に更に追い込み逃げ場を奪う
火傷で包帯を巻いてる方の腕を握られ、咄嗟の痛みに顔をしかめそうになるが、必死に堪えた
言えないことを隠してる?おれはおかしい…?そんな理由ない、大丈夫だよって言いたいのに全てを見透かされてる気がして言葉が出てこない
「けど、その聞き方だとルディは隠してない…今は言えないだけと…はぐらかしてくるよな?
たがら言い方を変える、この包帯の中は聖女がぶっかけてきたあのコーヒーでできた火傷だろ?歩く度に辛そうな顔をするのは連日の聖女との接触で怪我をした部分が痛むから…違うか?
あえて怪我を治さず自分を傷付けてまで何をしようとしてる?何を犠牲にしようとしてるんだ…!!!
もう一つ、大事な事がある…ルディ、お前さ…マイズがお前のためにルイ王子の婚約者候補になってる事とか…シャルティが暗い顔してる事、気付いてないだろ?」
「な、……怪我なんてしてない…てか…マイズがルイ王子と…?え…?レオ…何を言っ…ぃ゙っ!?!?!!」
怪我なんてしてないと反論しようとするが、強めに腕を掴まれた衝撃的で思わず声がでてしまった
それにレオンハルト殿下はなんて言った…………?マイズがおれの為にルイ王子の婚約者候補?シャルティが暗い顔してる?そんな事、知らない…おれは知らない…
何を言われてるのか分からなくてぐるぐると頭の中で考え事をしていると、激痛が走り、レオンハルト殿下はおれの腕に巻かれた包帯を外しているのに気付いてしまう
水ぶくれが割れ、全体的に赤々しく爛れたような皮膚…昨日見た時よりも少し酷くなっている気がする
聖女に何をされたのかを表す大切な証拠………
「………全く治療せずにいるんだなルディ
全身、他にもあのクソ妹って存在から受けた怪我そのままにしてるんだろ?…………お前の事が大事だから、どんな事でも信じてあげたくて…考えないようにしていたのが失敗だったみたいだ…ごめんな?」
「…………………っ!?」
無理に包帯を外された痛みで思うように声が出せないおれに対して、レオンハルト殿下は光の治癒魔法を使い始める…大切な証拠が消えてしまう!と、叫びたいのに…初めて出会った頃の…命の大切さを学んだ頃みたいな、泣きそうなレオンハルト殿下の顔を見ていると何も言葉が出てこない
「俺さ、小さい頃から神童と呼ばれた両親の血を継ぐ程頭のキレる王子だって言われてるんだよ
イグニスに昨日お前がおかしいって言われてさ…そこで初めて俺が考えることを辞めていたって気付いたんだ…
ルディ、お前…自分を犠牲にして聖女に取り返しのつかない失態をさせようとしてるだろ?
周囲が視えなくなる程思い詰めて、俺たちをクソ妹から守る為に…自分の命をクソ妹に差し出して全てに決着を着けようとしている…
あえて治さない全身の傷は、遺体に刻まれた外傷の数々が俺たちに付いている影の報告と一致するようにする為…
これは完全に俺の想像だ…ルディ、お前が前世で死ぬ事になった原因…あのクソ妹って奴なんじゃないのか…?
だからこそ、前世と同じ状況を作り出そうとしている…クソ妹が自分を殺す状況を生み出し、それを利用して取り返しのつかない失態にしたい…違うか?」
「……………………………っな、なんで……知って………」
レオンハルト殿下の言葉が心臓に突き刺さる
なんで?!って気持ちと共に胸を食い破ってくる…
前世のおれ、千景という存在は確かに社畜で残業残業残業に連勤続き、ブラック企業の歯車だった
14連勤明け、おれは階段から足を踏み外して死んだ…それは何となく覚えていた
自分の不注意、社畜の哀れな死…そうだと自分で納得していたのに
けど、聖女が桃香だと気付いて…本当はただ失態を起こし貰おうとしてた時…思い出してしまったんだ
あの日、あの連勤明けの日…階段で…………
「人を無視するなんて最低!馬鹿にしないでよお兄ちゃん!お兄ちゃんなんか居なくなればいいのよ!邪魔!消えて!!!!」
背中を押された記憶を………
2,310
あなたにおすすめの小説
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
婚約者の王子様に愛人がいるらしいが、ペットを探すのに忙しいので放っておいてくれ。
フジミサヤ
BL
「君を愛することはできない」
可愛らしい平民の愛人を膝の上に抱え上げたこの国の第二王子サミュエルに宣言され、王子の婚約者だった公爵令息ノア・オルコットは、傷心のあまり学園を飛び出してしまった……というのが学園の生徒たちの認識である。
だがノアの本当の目的は、行方不明の自分のペット(魔王の側近だったらしい)の捜索だった。通りすがりの魔族に道を尋ねて目的地へ向かう途中、ノアは完璧な変装をしていたにも関わらず、何故かノアを追ってきたらしい王子サミュエルに捕まってしまう。
◇拙作「僕が勇者に殺された件。」に出てきたノアの話ですが、一応単体でも読めます。
◇テキトー設定。細かいツッコミはご容赦ください。見切り発車なので不定期更新となります。
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる