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陽動編
悪役令嬢の本気と正体
しおりを挟む事前に今回の歓迎会では何かが起きると、聖女以外には伝えておいた
ルイ王子を歓迎する場として準備し用意している為、急に陽動作戦を行って歓迎会を台無しにしては色々準備などしてくれた方々に申し訳が無いからだ
だからこそ、事前に何か起きるから!そっとしておいてねって伝えておいてから事を起こす
普段完璧な淑女としてみんなから認知されているシャルティが鞭を持ち、従者に首輪とリードを付けて悪女のような振る舞いをするってこの状況が何か起きたものなのかと、そう思ってくれてるはず
もしくは参加者にはある種の演劇のように見える事だろう
「シャルティ様、あのようなお顔もできるのね…?素敵…従者へ首輪を着ける演出?なのかしら?」
「普段の優しい表情とはまた違った感じもいいな」
そんな声が聞こえて来るからとりあえず何か起きるサプライズっぽい展開?は成功だと言える
聖女にとっては別の驚きだろうけどな…?
悪役令嬢は仕事しなくていない筈で、なんとしても無理矢理悪役令嬢に仕立てたかったシャルティが急に本当の悪役令嬢になって自分の前に出てくるんだから
「しゃ、シャルティ様…あたし、別にルイ王子を困らせたい訳じゃ無くて…お友達になりたいだけで…その…」
「まぁ、初対面で互いを知るまもなく友人になれまして?人見知りだと通達があったにも関わらず初対面で馴れ馴れしい態度!それが迷惑だと思いませんの?
ねぇ、ルイ王子?どう思われます?」
「………シャルティ…来てくれてありがとう
聖女殿、僕は人が怖いんだ…だから歓迎会も遠慮していたんだよ?悪いけどキミと友にはなれそうもない、人との距離感を学んだほうがいい…」
そう言ってルイ王子はシャルティに手を差し伸べ、自分の横へエスコートする、ヘルリもシャルティに従いついて行く…
聖女から見たらルイ王子とシャルティを中心にマイズやヘルリ、攻略対象が仲良く並んでいるように見える筈だ
聖女の戸惑う様子が伺える、乙女ゲームではあらゆる場面で自分がその位置にいる筈、悪役令嬢は攻略対象を苦しめ聖女である自分が彼らを救い側に居るのが正しいと思ってるんじゃないのか?
「ルイ王子、ルイ王子は騙されてるんです!その人は…悪役令………シャルティ様はあたしを虐めて酷いことをする人なんですよ?
騙されちゃ駄目です…ヘルリくんだってそんな首輪付けられて、鞭で酷いことされてるんてすよ!?!そんな辛い場所に居なくていいのに…マイズくんもあたしなら光で照らしてあげれるのに…!
そんな人と友達になんてなっちゃ駄目です!」
「私、聖女様と殆どお会いしたこと無いのにいつ虐めなんて出来るのかしら?友人になっては駄目なんて…それはあなたが決める事ですの?
礼儀知らずで他国の王子に馴れ馴れしい態度、そちらの方が問題ではなくて?
それにヘルリは望んで今日、この格好をしてますの、可愛いでしょ?私の番犬」
聖女の表情が歪む、本当なら苦しそうな顔で仕えるヘルリでさえ子犬のようにシャルティに甘え、首輪に鞭を持っている状況をルイ王子含めたその場にいる全員が受け入れてるんだから
それに、誰が聞いてもシャルティの言い分が正しいと思うだろう
この世界が乙女ゲームだとしても、ヒロインだとしても礼儀知らずな態度で他国の王子に接していい理由にはならない
誰と友人になるかなんて個人の自由、強制するものでも無いし、ましてや勝手な言い分でシャルティが悪い!友達には向いてない!とかどの口が言ってんだよって気持ちになる
聖女は自分が乙女ゲームのヒロインだと思っての行動をこれまで繰り返して来た…ヒロインである事には変わりないけど、現実とゲームは違う
暫しの間、聖女はそんなの間違ってる!と何度も訴えるが、悪役令嬢の見た目でも中身はシャルティ、鞭を振るわずに正論で聖女を叩きのめしているような状況が続く
少し離れた位置からレオンハルト殿下と観察していると、聖女は相当焦ってるのか?もっと上手く保身に走るかと思ったけどかなり雑な返答しか出来ていなかった
普通に考えれば歓迎会でとんでもない状況…だが、他の参加者はおれたちのクラスや二学年の人ばかり、普段の聖女の行い的なのを見ている為か「聖女様は何がしたいのかしら?」と言いつつも、シャルティが対応するなら任せようって静かに事を見守ってくれている…
ポチ太郎アクセサリーに気付く云々の前にあまりにも礼儀知らず過ぎて完全にシャルティに負けているっていうか…ボロが出ている気もするが…ここからどうする?聖女様…?
「本当にお話になりませんのね?まずは社交でのマナーと礼儀を学び直してからこういう場に参加することをお勧めしますわ
ルイ王子、見苦しい所をお見せして申し訳ございません」
「いや、大丈夫だよ?もう会わないと思うが記念に不思議な聖女がいると覚えておくから」
「…………しい……………おかしい!!!!…あたしがこの世界のヒロイン…………聖女なのに…
あたしの力で皆を救える……それは事実であたしは尊いのに…………なんで悪役令嬢にそんな事言われなきゃいけないの?やっと仕事する気になったなら大人しく断罪される為に動けばいいのに…
っ、こんなのおかしい…なんでこんなにおかしいの…?おかしすぎる、なんで…なんでよ…!!!」
そう、言ってシャルティを睨みつけた時、ついに見つけてしまったんだのだろう
シャルティの首元を見て驚くような…ビクリと身体が震えるのが見えた
「なんで、あんたも、それ…その首の…………っ!!!?どうしてみんなそれを付けてるの?ルイ王子までなんで………っ…あの可愛くない犬のそれ、どこで…!!?!それが原因なの…!?」
その瞬間、聖女は何かを探すようにあたりを見回す
この会場に答えがあると言わんばかりに…
ようやくか…とも思いつつ、おれは逃げも隠れもしない、歓迎会が始まってからずっとそこにいる…レオンハルト殿下の隣に
たがらちゃんと聖女とも直ぐ目が合った
元々男であるおれが悪役令嬢の変わりにレオンハルト殿下の婚約者に収まってること自体おかしいと思ってただろうから
この自分にとって都合の悪い現場の原因はあいつかも知れないと思う筈だから…
おれを見て、おれの首元を見て…可愛い顔が台無しな、化けの皮が剥がれて彼氏と別れた時のクソ妹と同じ顔でおれを睨んで来るんだ
近くで見て始めて犬だとわかるこのアクセサリーを間近で見ないで可愛くない犬って言えるの1人しかいない…
おれが付けてるネックレスの宝石、前世と同じ色合いのコレをみて反応する奴なんて1人しか居ないんだ
「……………………っ、うそ、まさか、あのモブ、お兄ちゃん…なの…?千景お兄ちゃん…なの……?
その可愛くない犬のアクセサリー…そんなゴミ作れるの1人しかいない…………
お兄ちゃんがあたしの邪魔をしてくるっていうの…!?」
ある程度距離が離れているのに何故かはっきりと聖女の話す言葉が聞こえてくる、驚きながらも醜く歪んだ表情もよく見える
考えてはいた、恐らくそうだろうって思ってたけどさ…
そっか…やっぱり桃香なんだな…お前
おれの前世の名前、そういえば千景だったっけ…?
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