魔族の嫁になった僕

たなぱ

文字の大きさ
上 下
31 / 36
魔族と人国と僕ら

8.進む一歩

しおりを挟む





ゲランさんがボロボロのオアシス第二王子を連れて治療の為に部屋に籠もってから2日、治癒が完了したと魔王様の前にゲランさんはぬるっと床下から現れ、怒られていた


「魔王様、宰相様との約束通りオアシスを連れてくるって言ってんのになんで怒るんだよ…わけわかんねぇ…なぁ、オアシス、もういいやめんどい…帰ろうぜ?おれと夢で昼寝しよう」


「駄目ですよ、ゲラン…私はこの国と戦争している国の王子だった男です、救われて此処にいるとはいえ、一応捕虜と言う形が妥当ななんですよ…?」


「おい、ゲランてめぇ、おれの執務室なんだと思ってんの?その第二王子の背後霊でもしてんのか?上司を前にその態度はなんだ?おい
はぁ…情報吐くって言うから時間取ってんだよ…
第二王子病み上がりなんだろ?さっさと情報吐かせて休ませろ、優しくしてやれよ」


ゲランさんはオアシス第二王子殿下を後ろから抱きしめて肩に顔を埋めて帰ろう帰ろう言ってる

魔王様、何時も口が悪いけどほんと皆んなのこと心配してくれるいい人なんだよなとレベリアに腰を抱かれながら考える
オアシス第二王子殿下、兵器として徴集されたぼくが一度だけあった事のあるオーランシア国の王子様…王子様にまであんな酷いことをするのかと、オアシス第二王子殿下の話す言葉に耳を傾けていた



「この度はこちらのゲランに、窮地を救って頂き…ありがとうございます…私は一応王子ですが、あの国にはもう、戻りたくはありません…
全て知っていることをお話します
何卒ゲランと共に過ごす許可を情報次第で認めて頂ければと思います…

あの、そちらにいる宰相殿の妻…でしたか…彼も我が国の出身ですよね…?魔族殲滅作戦人体特殊兵器の隠し玉として特に魔力の強いものをと呼ばれていた中に、彼を見たのを覚えています…
全員が自爆したと報告があったのですが…一人でも生き残っていてくれてよかった…

戦場での自爆を厭わない狂った思考、そこからも分かるように我が祖国、オーランシア国は女神の信仰を第一とする洗脳国家です」


オアシス第二王子殿下は話し始める
オーランシア国はとある女神を崇め称え加護を得ることで過去数千年存続してきた国なのだと
洗脳は女神様からの施し、その洗脳は大聖女と神官が個人で行えるものと、大聖堂の地下にある結界魔法を使用した国全体を巻き込む洗脳でなりたっている
第二王子であるオアシス殿下は全ては知らないが、オーランシア国にとって国民は愛する信徒であり愛する道具であり、贄なのだという
洗脳が解ける前の記憶も思い出せばそう考えられるらしい

毎月祭りと称した儀式で数千人が贄として捧げられても誰も気づかない、戦場で負傷した戦士を苗床に国民を生み出す軍、恐らく地下の結界にも人の命が使われている可能性が高い…異常国家…それがオーランシア国

オアシス殿下は贄の日という自らの肉体を捧げる儀に無理矢理参加されていたのだという
洗脳で喜んで肉体を差し出していた期間が怖いと少し泣いていた

ジル兄さんが田舎に呪詛を患って田舎に帰ってコレなければ今頃軍隊で苗床にされられていたかもしれない…その事実も怖かった

そんな異常国家、オーランシア国はなぜ帝魔国を必要に狙うのだろう…
女神が魔族を滅ぼせと言う、それしかオアシス殿下も知らされていなかった…女神の名前は、ぼくもオアシス殿下も聞いたことがあるはずなのに何故か思い出せない…
きっと母さんもみんなもそうなんだろう
聞いてもいないのにそれだけはわかる…不思議だった


「以上が私の知るあの国の情報です…

最後に…今回、特別な贄の儀の最中にゲランに私は救われました…祭壇ごとあの場から助けてくれた…
ですが、もしかしたらあの国が私を、いえあの祭壇を壊したことに対して報復をと動き出すかもしれません、ご注意下さい…」


ゲランさんと一緒に居たいと王族のみが知る情報も素直に話たオアシス殿下を、後ろから抱きしめたままのゲランさんは優しい笑顔で魔王様に自慢しているような…そんな感じがしたのは僕だけじゃないと思う
病み上がりのオアシス殿下を休ませたいとゲランさんは話が終わった瞬間、オアシス殿下を抱きしめたままどろりと溶け、自身の世界へ帰っていってしまった


「ゲランは仕事は出来ますが性格があれなのが難点ですね…あの頭のおかしい人国の情報が多く入ったのは嬉しい反面、まさか洗脳が解けたという人間が第二王子だったとは…
魔王様、シャル、計画を早める必要があるかもしれません」


「そうだな、また勇者召喚なんてされてもこちらに被害が増えるだけだ、あの臭い祭壇の逆恨みも困るしなぁ………サクッと張った方がいいな…結界…………………てか、勇者ちゃんと結界張れるようになってんのか?あいつ」



魔王様とレベリアが言う計画、前回勇者がこの国に侵攻出来たのは魔の力に対し有効となる聖魔法の使い手だったから
その勇者が現在はこちらサイドにいる、つまりは聖魔法結界をオーランシア国との間に作り、魔法的、物理的な侵入を阻止する計画
魔王様は半分闇の力を持っているため結界を張れない、ライゼルド騎士団長様はちょっと結界魔法使える脳をしていない…唯一使えるのは勇者だ

この国に来てからの勇者の初任務それが結界を張ること、そしてその勇者に魔力を渡してほしいと頼まれた僕にとってもこの国に来てからの初任務…


勇者に魔力渡すって…そんな魔力…僕持ってるの?
レベリアにこそっと聞いてみたら


「シャルは魔力を無尽蔵にため続けられるんです、先日眷属を産んで一度減りましたが、眷属からも魔力を貰って貯めてるので今では私5人分くらい体内魔力がありますね」


そう言われた
魔力貯められるの…?ぼく
色々疑問はあったがそれを吹き飛ばすほどの勢いで魔王様に呼ばれたことが嬉しい勇者くんが執務室のドアを外す勢いで入ってきたことで、全て忘れてしまった







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

いじめっこ令息に転生したけど、いじめなかったのに義弟が酷い。

えっしゃー(エミリオ猫)
BL
オレはデニス=アッカー伯爵令息(18才)。成績が悪くて跡継ぎから外された一人息子だ。跡継ぎに養子に来た義弟アルフ(15才)を、グレていじめる令息…の予定だったが、ここが物語の中で、義弟いじめの途中に事故で亡くなる事を思いだした。死にたくないので、優しい兄を目指してるのに、義弟はなかなか義兄上大好き!と言ってくれません。反抗期?思春期かな? そして今日も何故かオレの服が脱げそうです? そんなある日、義弟の親友と出会って…。

臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話

八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。 古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

処理中です...