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第一章

第四十話 ちょっと親馬鹿入ってる気がするけど立派な人です。本当です

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 その後も夢乃の勉強を見ていると、あっという間に――例の夕食の時間となった。

「ディナーをとる部屋はこっちです」

 夢乃に連れられて王宮を歩く――のだが、メイドさんたちに微笑ましいものを見る目で見られているのがちょっと気になる。夢乃に目を向けてるって言うよりは俺達二人を見てる感じなんだけど……。

 …………夢乃がはしゃぐのは珍しいことなのかもしれない。それで目を向けて、ついでに俺を見ているのか。オッケー把握。

「着きました……『安らぎの間』って名前なんです」

 うちの城の『食事をするところ』には名前なんてついてない……。

 ちょっと敗北感。

 安らぎの間へ足を踏み入れると、そこには既に――聖命国の王、#華雅錬_はなみやれん__#が居た。

「お父様、夏城様をお連れしました」

 夢乃がそう言うと、王は「ありがとう」と頬を緩ませる。

 聖命国の発展を後押しした賢王と呼ばれる彼は――俺の父さんと同い年だから――四十二歳で、気品を漂わせながらも巨木のような存在感を持った男だ。

 多忙ながらも娘を可愛がる姿は父親の理想と見える……うん。ちょっと親馬鹿入ってる気はしなくもないが。

「到着時に立ち会えなかった非礼を詫びよう。由理殿」

「こちらこそ、挨拶へ行かずに失礼を致しました」

「いや、仕事が立て込んでてな……頑張れば捌ききれない量ではないところが悩みどころだ」

 ははは、と笑う王。

「そっすか……」

 おっと。敬語が崩れてしまった。

 まあこのままでいいか。

「ディナーの後ちょっと時間ありますか?話したいことがあるんですけど」

「ああいいとも。私も話を聞きたいと思っていたところだ」

 王はそう言ってにやりと笑った。

「……そろそろ席に着いた方がよろしいかと」

 いつの間にか安らぎの間に入っていた仁さん(用事は片付いたのだろうか)に促され、俺は席に着く。

 そう、王と夢乃の間の席に………。

 何で?

「この配置は誰が考えたんですか」

「分からん……まあ、楽しめよ」

「……はい」

 ○

 食事は文句なしに美味しかった。とても。佳那たちの料理と比べても遜色ない。

 ……ここの料理を軽く見ているんじゃなくて、佳那たちの作る料理のレベルが高いって事だ。念の為。

 食事が終わって十分ほどすると、メイドさんが大方食器を片づけてくれて、ディナーはお開きという雰囲気になる。

 ちなみにディナーには聖命国の貴族の方も何人か同席していた。商人として成功している人達なので、聞き上手であり訊き上手で、楽しく会話させてもらった。

 ……さて。

 陛下との話し合いに移行しますかね。
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