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第一章
第四十一話 国王陛下との対話
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「執務室に行くか。客人をもてなす用意がある」
「……俺の事客人だなんて思ってないでしょ」
「ばれた?」
「……ていうか、執務室に他国の人間を入れていいんですか?機密とかの関係が……」
「そう思わせることによって、裏切れないって意識を作らせるんだよ」
「……そっすか」
この人は本心から言っているのか、冗談なのか判断しづらいところがある。
王を追って三分くらい歩くと(この王宮の広さが窺える数字だ)、執務室に到着する。
「まあ、その辺に座ってくれ」
「へーい」
客人をもてなす用意があると言っていただけあって、応接用のソファがあってので、おとなしくそこに座る。
……その辺と言われたので、一瞬王がいつもそこで仕事をしているのであろう机の前の椅子に座ってやろうかとも思ったんだけど。
「……で、話ってのは?」
「……もう勘付いているでしょう?」
「ふむ。心当たりがないな」
…………相変わらずこの人はペースを乱すのがうまいな。
まあ、外交もこの人がやっているらしいし、必須のスキルなのかもしれない。
「三年前の事ですよ。夢乃が病気だなんて嘘をついて……」
「ああ、あれのことか。だが外交上の戦略だったわけだから、致し方ないと思わないか?」
「そこが問題なんじゃなくて、俺が治し終わった後にいくらでもその嘘を訂正する機会があったでしょう、ってことを言っているんです」
「……ま、そうだな。すまん。正直娘の病が治ったことを喜び過ぎて君の事なんてすっかり忘れていたよ」
「……この親馬鹿め」
「なんとでも言いたまえ」
そこまで言うと、王は執務机の辺りをがさごそとやり、瓶を一つ取り出した。その中には琥珀色の液体が揺れている。
…………。
俺が無言で見ていると、王は何を思ったのかにやりと笑った。
「お前も飲むか?」
「一国の王が未成年に飲酒を勧めないでください」
「だが、王族なんて未成年でもパーティーとかで散々飲まされるもんなんじゃないか?」
「俺は全部断ってますよ」
「……まあ、俺も夢乃に飲ませようとした奴は会場を出禁にしたけど」
「………」
とくとくとグラスに注ぎ、傾ける。
「美味いんですかそれ?」
「分からん」
「は?」
「君の態度も昔に戻ってきたな……。いや、俺は酒の味の良し悪しなんか全くわからんよ。ただ酔えればいい」
「……酔うために呑むんですか?それ危険な飲み方だと思いますけど……」
「俺もそう思う」
……じゃあやめれば、と思わないでもない。
この人が病気になったら夢乃が悲しむだろうしな……。
「……俺の事客人だなんて思ってないでしょ」
「ばれた?」
「……ていうか、執務室に他国の人間を入れていいんですか?機密とかの関係が……」
「そう思わせることによって、裏切れないって意識を作らせるんだよ」
「……そっすか」
この人は本心から言っているのか、冗談なのか判断しづらいところがある。
王を追って三分くらい歩くと(この王宮の広さが窺える数字だ)、執務室に到着する。
「まあ、その辺に座ってくれ」
「へーい」
客人をもてなす用意があると言っていただけあって、応接用のソファがあってので、おとなしくそこに座る。
……その辺と言われたので、一瞬王がいつもそこで仕事をしているのであろう机の前の椅子に座ってやろうかとも思ったんだけど。
「……で、話ってのは?」
「……もう勘付いているでしょう?」
「ふむ。心当たりがないな」
…………相変わらずこの人はペースを乱すのがうまいな。
まあ、外交もこの人がやっているらしいし、必須のスキルなのかもしれない。
「三年前の事ですよ。夢乃が病気だなんて嘘をついて……」
「ああ、あれのことか。だが外交上の戦略だったわけだから、致し方ないと思わないか?」
「そこが問題なんじゃなくて、俺が治し終わった後にいくらでもその嘘を訂正する機会があったでしょう、ってことを言っているんです」
「……ま、そうだな。すまん。正直娘の病が治ったことを喜び過ぎて君の事なんてすっかり忘れていたよ」
「……この親馬鹿め」
「なんとでも言いたまえ」
そこまで言うと、王は執務机の辺りをがさごそとやり、瓶を一つ取り出した。その中には琥珀色の液体が揺れている。
…………。
俺が無言で見ていると、王は何を思ったのかにやりと笑った。
「お前も飲むか?」
「一国の王が未成年に飲酒を勧めないでください」
「だが、王族なんて未成年でもパーティーとかで散々飲まされるもんなんじゃないか?」
「俺は全部断ってますよ」
「……まあ、俺も夢乃に飲ませようとした奴は会場を出禁にしたけど」
「………」
とくとくとグラスに注ぎ、傾ける。
「美味いんですかそれ?」
「分からん」
「は?」
「君の態度も昔に戻ってきたな……。いや、俺は酒の味の良し悪しなんか全くわからんよ。ただ酔えればいい」
「……酔うために呑むんですか?それ危険な飲み方だと思いますけど……」
「俺もそう思う」
……じゃあやめれば、と思わないでもない。
この人が病気になったら夢乃が悲しむだろうしな……。
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追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
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