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#14 痴漢に遭ったときのショックを軽く考えていてごめんなさい
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起き上がろうと顔を上げた途端、迫る木の枝が頬をかすめて薙ぎ、反射的に獣の背に伏せた。
腹ばいになり、強い獣の臭いを放つ毛皮に顔を埋める。
周囲の状況を確認したくはあるが、このスピードで顔を上げたままでいるのは自殺行為だ。枝の先が目に刺されば失明必至、太い枝ならば振り落とされるどころか最悪首の骨を折っての死亡さえあり得る。
それにこの臭い。最初はキツいと思ったけど、鼻の奥で甘さに変わるの……そんなに嫌いじゃないかも。
この甘さ、なぜかケティのことを思い出す。
ケティの唇の、肌の、柔らかさ、匂い、温度と湿度。
ガクンと体が大きく揺れ、記憶よりも現実に意識を集中する。
振り落とされないよう、手のひらに当たるデッキブラシのような直毛を必死につかむ。
しかしこれ、どこへ向かっているんだ? どこかで飛び降りようとは思うのだが、その度に頭上を太い枝がかすめて身がすくむ。
一人でいることへの不安が、次第に濃くなる甘い臭いに反比例して遠く感じ始めた頃、樹々の間を駆け抜けていた足音までもが遠くに感じ……いや籠もって?
洞窟か?
体を撫でつけていた風の勢いが弱まり、俺を乗せている獣が足を止める。
ようやく降りられるのか。だが獣の毛をつかむ俺の手は名残惜しげに力を抜かない。降りたい気持ちと降りたくない気持ちとがせめぎ合う。冬の朝の離れ難い布団のように……ああ、布団なんて考えたからかな、獣の背が割れて中に呑み込まれてゆくような変な感覚。
あれ? 本当に割れている?
毛皮の隙間から人の手のようなものが伸びてきて、俺はその裂け目へと引きずり込まれた。
落とされたその場所……毛皮の内側と思われるそこは、やけに温かくて、ぬめっていて、やたら甘い……さっきより臭いが濃い。
「……ん……」
ケティに触れたときの、鼻にかかる可愛い声を思い出す。この声はケティではないが種類は同じ。
体勢を仰向けに変えるが、真っ暗で何も見えないし、なんか体が重い。
仰向けになるだけでもかなり苦労したし。
「……んっ……んん……」
声を出す何かは俺のすぐ近くに居て、俺の体をまさぐっているように感じる。俺を引き込んだ人か?
逃れようにも全身がだるく、手足には力が入らない。急激に力が抜けてゆくというか。わ、腰回りが緩んだ?
俺のズボンが脱がされたのを感じる。視覚が闇に閉ざされているからか、聴覚や触覚が敏感になっている気がする。俺の体を撫でる手が俺の表面を伝いながら、俺のシャツを首元までたくし上げているのを感じるが「やめろ」という声すら出すことができない。
熱を持った手が、俺の股間をまさぐり始める。加えて、別の温かい何かが俺の下腹の辺りを蠢く……舐めているのか?
え、え、え、俺、襲われてるの?
不意に、クラスの女子が痴漢に遭った話をしていたのを思いだす。
その時は、逃げればいいのにとか、声ぐらい出せるんじゃないかとか、口には出さずともそんな感想を持った。けれど、実際にそういうモノに襲われてみると、驚きと戸惑いと恐怖とで、すぐには反応することさえできない。
心の中で女子に謝る。
先が見えない不安と凄まじい嫌悪感の中で、心臓の音が早まってゆく音がやけに耳につく。自分の体の中で鼓動が反響しているみたいだ。
「んっんっ」
動揺している俺の気持ちなどお構いなしに、剥き出しになった俺の表面を恐らく手と舌とが弄ぶ。
抵抗しようと懸命に体を動かそうとし続ける。お、ようやく右手が持ち上がった。
すると俺を襲う何かはいったん離れ、ほんのわずかな間を置いてから、持ち上げた手のひらに何かを触れさせた。
弾力があり、小さな突起のある柔らかい大きなもの。今朝、ケティのそれに触れていなければ、童貞の俺には即座にはそれがどの部位だとはわからなかっただろう。
痴女?
「……んんっ……」
いや、そんなものとはきっと次元が違う。
俺を襲っているのに、触られている側が出すような声を出し続けるこの見えない存在への違和感は、恐怖へと置換される。
執拗に俺の股間を舐めていた舌のようなモノが、だんだんと上の方へと上がってくる。股間から下腹、ヘソ、みぞおちから俺の乳首を経由して鎖骨へ。
いまや完全に体は動かなくなってしまったが、とりあえず意識と触覚と聴覚はやけにクリアだ。
もしかしてこの甘い臭いに麻酔薬のような成分が含まれている? 毒?
俺はこんな暗闇の中、こんな得体の知れない痴女みたいなのに、殺されるのか?
俺をどうするつもりなんだ? このまるで痴女みたいな――恐らく魔物は――俺を。
一瞬、ここで死んだら元の世界に戻れるのかなんて考えが脳裏を過る。
いやダメだろ。だってこれは俺の体じゃない。リテルのものなんだから。今、穢され続けているのもリテルの体なんだ。
俺が魔法なんか習おうとしなければ、リテルはこんな目に遭ったりしなかったはずなのに――魔法!
そうだよ。魔法があるじゃないか!
動揺ですっかり忘れていた『魔力感知』で周囲を探る――集中にかかる時間が明らかに長くなってないか?
ダメだ。集中しろ――周囲にはほとんど寿命の渦を感じない。草木や昆虫でさえも少ない場所なのか――でもおかげで見えてきたものがある。目の前に居るナニカのおぼろげな存在感。
コイツは痴女ですらない。女性の形をした部分に存在する寿命の渦は、ルブルム先輩が小さくする前の形に、つまり獣種によく似ているが、周囲に命がほとんど存在しないこの暗闇の中ではそこから伸びる細い寿命の渦の続きも見える。その続きは俺を包んでいるこの獣臭い場所全体へと、俺が横たわる背中の壁越しに伝わってくる鼓動にまでつながっている。
そんな生き物、見たことも聞いたこともない。だからこそ今回は先入観なしに正確に、そのナニカの全容を把握することに神経を使えた。
感覚を『魔力感知』の側へ全振りすると、そいつの寿命の渦が巡る範囲から想定される姿を正確に脳内へと描ける。
巨大な岩、いや、四足の獣に似た外観……その背中には大きな裂け目があり……内側には妙な空間……人が数人入れそうなほどの……俺はそこに居て、毒のようなもので体を麻痺させられていて、さっきから俺に事案的な接触を試みている痴女に擬態したナニカには尻尾があり、その尻尾の先がこの内側空間へと直接つながっている。
いやマジ見たことも聞いたこともない――うわ、また股間をっ。
体が動けば蹴飛ばせるのに――そう考えたとき、謎の生き物が一瞬離れようとしたのを感じた。
こちらの気持ちを感じ取れる?
試しにもう一度、コイツを「ぶん殴る」イメージを作るが、特に怯んではくれない。体が動かないことを見抜いたのか、それとも「試しに」と考えたのを見透かされたのか。
ああでも、これは相手が油断してくれたと考えるべきだな。これで俺が次に本当に魔法で「ぶん殴った」としても、コイツは油断して逃げないかもしれない。
とっとと魔法を思考しよう。コイツへの怒りが相当溜まっている。「ぶん殴る」やつがいい。格闘だかスポーツだかの漫画で見た全身の力をパンチに乗せるってやつがいい。全身の力を一点に集めて、そこからぶっ放す感じで。
くそっ。また俺の体を舐め始めた――それでも集中は解かずに持ちこたえられる。カエルレウム師匠やルブルム先輩のおかげでこういうことへの耐性がついた気が――じゃなくて、今は集中だ。
全身の力を一点に集めてその勢いを、衝撃だけを、魔法としてぶつける。正しく『ぶん殴る』感じで。ネーミングセンスはアレだけどイメージしやすさは重要だ。消費命は予め三ディエス分と決めておこう。
謎の痴的生命体が一瞬離れる。消費命の集中を感知したのか?
集中した消費命をいったん解くが、コイツはまだ様子を窺っているようだ。再び集中と解放とを何度か繰り返してみると、人型部分が再び俺の体への蹂躙を再開した。
ぐっと耐えながらタイミングを待つ。
アルティバティラエの頭部に見えた部分には重要な器官がなかった。コイツはどうだろう。長い尻尾のようなものでつながっている痴女部分と獣的なガワ部分とどちらが本体かはわからないが、有効打になる場所にぶちかましたい。
とはいえ体をまともに動かせない現状では、狙える場所は限られている……それに、だんだん息苦しくもなってきている気がする。のんびりとはしていられない。
痴女部分が俺の表面に舌を這わせながら頭部を近づけてくる。人の胸のような二つの膨らみを押し付けながら。俺の唇に柔らかいものが触れる。ケティの唇に似た感触。直後、俺の唇を割って中にぬめっとした温かいものが侵入してきた。それと同時に口の中にじわりとあふれる液体――甘さを濃縮したような――クソ!
俺は消費命の集中と同時に心の中で唱える――『ぶん殴る』!
声は出ないが発声しているつもりで発動した。
魔法代償の消費を感じたときにはもう痴女部分は吹っ飛んでいた。
尻尾へとつながるあたりを軸に回転するように、ガワ部分の内壁へ叩きつけられたように感じられる。とはいえガワはふかふかとしたクッション性のある感触だ。致命打にはなっていないだろう。次はもっと――尻尾が引きちぎれるような激しいやつをお見舞いしてやる。
『ぶん殴る』の三倍、いや五倍くらいでも集中できるだろうか。魔法代償が大きな魔法は、消費命の制御が難しくて、油断すると寿命の渦を大量に追加で奪われるとカエルレウム師匠がおっしゃっていたが、次の一撃で終わらせるくらいの覚悟がないと、この体が持たないかもしれないし。
十五……いや十二進数だと十三ディエスか。いいな。敵を一撃で倒せそうな消費命量だ。
唇から発動できたのなら、例えば背中とかはどうだ? 八極拳っぽいし。
俺は十三ディエスの消費命を集中する――くっ、確かにこれキッツイ。
まだ魔法発動の集中はしていないのに、消費命を準備しようとしただけで――なるほど。寿命の渦は、ある程度集めると、さらにそこへ集まろうとうする動きを見せるのか。この量の消費命の制御は一ミリも油断できないな。
でも俺はここを乗り越えるんだ。コイツをぶっ飛ばして生きて戻るぞ!
消費命を十三ディエス集中して――ちょうどその時だった。
『ぶっ飛ばす』魔法を発動するよりも早く、俺の体が吹っ飛ばされた。
● 主な登場者
・有主利照/リテル
猿種、十五歳。リテルの体と記憶、利照の自意識と記憶とを持つ。
リテルの想いをケティに伝えた後、盛り上がっている途中で呪詛に感染。寄らずの森の魔女様から魔法を習い始めた。
・ケティ
リテルの幼馴染の女子。猿種、十六歳。黒い瞳に黒髪、肌は日焼けで薄い褐色の美人。胸も大きい。
リテルとは両想い。熱を出したリテルを一晩中看病してくれていた。
・ラビツ
久々に南の山を越えてストウ村を訪れた傭兵四人組の一人。ケティの唇を奪った。
・マドハト
ゴブリン魔法『取り替え子』の被害者。ゴド村の住人で、とうとう犬種の体を取り戻した。
ゴブリン時代にリテルに助けられたことを恩に感じ、リテルについてきた。
・ゴブリン
ゴド村のマドハトと魂を入れ替えられていたゴブリン。現在は片腕。
犬種の体に宿っていたとき病弱だったのは、獣種よりもゴブリンの方が短命だったため。
・ルブルム
魔女様の弟子と思われる赤髪の少女。整った顔立ちのクールビューティー。華奢な猿種。
リテルとマクミラ師匠が二人がかりで持ってきた重たい荷物を軽々と持ち上げた。槍を使った戦闘も得意。
・カエルレウム
寄らずの森の魔女様。深い青のストレートロングの髪が膝くらいまである猿種。
魔法の使い方を教えてほしいと請うたリテルへ魔法について解説し始めた。ゴブリンに呪詛を与えた張本人。
・アルティバティラエ
半裸に申し訳程度に白い布をまとい、怪我をした髪の長い獣種の姿に擬態して近づいてきた魔物。
人を捕食する。数日前、カリカンジャロスと共に異門を越えてきたっぽい。
・謎の痴的生命体
獣のようなガワと、獣種の女性に似た部分とが尻尾でつながっている怪しい生物。
甘い匂いを出し、体を麻痺させる能力があるっぽい。リテルを絶賛襲い中。
■ はみ出しコラム【風呂事情】
ホルトゥスにおいては、入浴の文化がある。ただしそれは地球の日本のような湯につかるものとは異なる。
農村部における風呂は、基本的には行水に近い。木製のタライに水を張り、その水に浸した布で体を拭くスタイルである。
湯船というものはなく、大タライに入る程度の幼い子であればタライの中に入れられて洗われることはあるが、水に浸かるという文化は庶民にはない。
また、寒い時期になると共同サウナが稼働し、そこで体を温め発汗も促された上で、夏同様の行水スタイルとなる。
都市部における風呂は、庶民は公衆浴場を利用することが多い。
農村同様に行水スタイルを取る者も居るが、水の入手と排水の手間を考えた場合、公共のトイレや風呂が一緒になった公衆浴場を利用する方が楽であったりする。
ちなみに宿屋においては行水用のタライと水のサービスは有料で、公衆浴場の使用料よりも若干高いのが普通。
・公衆浴場
上下水道の設備が比較的整っている都市部には公衆浴場が存在する。
一般的な公衆浴場は、施設使用料を入って敷地に入るとホールとなっている。そこにはベンチが置かれ、待ち合わせもできるようになっている。このホールから、男性用トイレ、女性用トイレ、男性用脱衣室、女性用脱衣室へと移動することができる。
脱衣室では、荷物の預かり料を払い、荷物を預けることができる。入り口で支払う施設使用料はトイレだけの利用料であり、荷物の預かり料は実質的な風呂の使用料となっている。
預り証として金属の札がついた麻紐を渡される。これを首にかけるなどして、脱衣室の先にある風呂エリアへと移動が可能となる。ちなみに脱衣室からもトイレへと移動できるが、ホールから直接行けるトイレとは完全に分かれている。
風呂エリアは大抵三つに分かれている。サウナエリア、温水エリアと、行水エリアの三つである。
都市部の公衆浴場におけるサウナエリアは、季節を問わず稼働している。
温水エリアはサウナエリアを温めるときについでに温められた水が使われているエリアで、エリア内に幾つもある洗面台のようなところへ溜められた温水を使用して体を洗う。
行水エリアも構造としては温水エリアと同様だが、こちらの水温は常温である。
お湯を張った湯船の類は基本的には設置されていないが、高額な使用料を払うと入れる特別なエリアとして設置されている公衆浴場も存在する。
・個人風呂
都市部の富裕層や貴族においては、住居に自分たち用の個人風呂を、トイレ同様に設置しているのが普通である。
その規模やスタイルは様々であり、獣種によっても傾向が分かれる。
・洗い液
固形の石鹸は一般には流通しておらず、富裕層や貴族が使用するのは、半分液状の洗い液と呼ばれるもの。海藻を燃やした灰と、油とで作る。油はオレアという植物から取る。
洗い液は贅沢品であり、富裕層や貴族以外は使わない。
庶民は洗い液など使用せず、普通に布でこするだけ。
・温泉
ホルトゥスには局所的に温泉は存在するが、リテルの住むストウ村およびそれを治めるクスフォード虹爵領には温泉が存在しない(虹爵については、次回コラムにて詳しく説明する)。
※ 地球における中世ヨーロッパはペストの流行により入浴という文化が衰退した。入浴により毛穴が開くとそこからペストに感染するという噂が広まり、公共の浴場は閉鎖され、やがて水自体に対する恐怖へと変わる。そのため手を洗う以外に体を洗うための水使用が人々により避けられていた。ホルトゥスにおいてはペストは発生していない。
腹ばいになり、強い獣の臭いを放つ毛皮に顔を埋める。
周囲の状況を確認したくはあるが、このスピードで顔を上げたままでいるのは自殺行為だ。枝の先が目に刺されば失明必至、太い枝ならば振り落とされるどころか最悪首の骨を折っての死亡さえあり得る。
それにこの臭い。最初はキツいと思ったけど、鼻の奥で甘さに変わるの……そんなに嫌いじゃないかも。
この甘さ、なぜかケティのことを思い出す。
ケティの唇の、肌の、柔らかさ、匂い、温度と湿度。
ガクンと体が大きく揺れ、記憶よりも現実に意識を集中する。
振り落とされないよう、手のひらに当たるデッキブラシのような直毛を必死につかむ。
しかしこれ、どこへ向かっているんだ? どこかで飛び降りようとは思うのだが、その度に頭上を太い枝がかすめて身がすくむ。
一人でいることへの不安が、次第に濃くなる甘い臭いに反比例して遠く感じ始めた頃、樹々の間を駆け抜けていた足音までもが遠くに感じ……いや籠もって?
洞窟か?
体を撫でつけていた風の勢いが弱まり、俺を乗せている獣が足を止める。
ようやく降りられるのか。だが獣の毛をつかむ俺の手は名残惜しげに力を抜かない。降りたい気持ちと降りたくない気持ちとがせめぎ合う。冬の朝の離れ難い布団のように……ああ、布団なんて考えたからかな、獣の背が割れて中に呑み込まれてゆくような変な感覚。
あれ? 本当に割れている?
毛皮の隙間から人の手のようなものが伸びてきて、俺はその裂け目へと引きずり込まれた。
落とされたその場所……毛皮の内側と思われるそこは、やけに温かくて、ぬめっていて、やたら甘い……さっきより臭いが濃い。
「……ん……」
ケティに触れたときの、鼻にかかる可愛い声を思い出す。この声はケティではないが種類は同じ。
体勢を仰向けに変えるが、真っ暗で何も見えないし、なんか体が重い。
仰向けになるだけでもかなり苦労したし。
「……んっ……んん……」
声を出す何かは俺のすぐ近くに居て、俺の体をまさぐっているように感じる。俺を引き込んだ人か?
逃れようにも全身がだるく、手足には力が入らない。急激に力が抜けてゆくというか。わ、腰回りが緩んだ?
俺のズボンが脱がされたのを感じる。視覚が闇に閉ざされているからか、聴覚や触覚が敏感になっている気がする。俺の体を撫でる手が俺の表面を伝いながら、俺のシャツを首元までたくし上げているのを感じるが「やめろ」という声すら出すことができない。
熱を持った手が、俺の股間をまさぐり始める。加えて、別の温かい何かが俺の下腹の辺りを蠢く……舐めているのか?
え、え、え、俺、襲われてるの?
不意に、クラスの女子が痴漢に遭った話をしていたのを思いだす。
その時は、逃げればいいのにとか、声ぐらい出せるんじゃないかとか、口には出さずともそんな感想を持った。けれど、実際にそういうモノに襲われてみると、驚きと戸惑いと恐怖とで、すぐには反応することさえできない。
心の中で女子に謝る。
先が見えない不安と凄まじい嫌悪感の中で、心臓の音が早まってゆく音がやけに耳につく。自分の体の中で鼓動が反響しているみたいだ。
「んっんっ」
動揺している俺の気持ちなどお構いなしに、剥き出しになった俺の表面を恐らく手と舌とが弄ぶ。
抵抗しようと懸命に体を動かそうとし続ける。お、ようやく右手が持ち上がった。
すると俺を襲う何かはいったん離れ、ほんのわずかな間を置いてから、持ち上げた手のひらに何かを触れさせた。
弾力があり、小さな突起のある柔らかい大きなもの。今朝、ケティのそれに触れていなければ、童貞の俺には即座にはそれがどの部位だとはわからなかっただろう。
痴女?
「……んんっ……」
いや、そんなものとはきっと次元が違う。
俺を襲っているのに、触られている側が出すような声を出し続けるこの見えない存在への違和感は、恐怖へと置換される。
執拗に俺の股間を舐めていた舌のようなモノが、だんだんと上の方へと上がってくる。股間から下腹、ヘソ、みぞおちから俺の乳首を経由して鎖骨へ。
いまや完全に体は動かなくなってしまったが、とりあえず意識と触覚と聴覚はやけにクリアだ。
もしかしてこの甘い臭いに麻酔薬のような成分が含まれている? 毒?
俺はこんな暗闇の中、こんな得体の知れない痴女みたいなのに、殺されるのか?
俺をどうするつもりなんだ? このまるで痴女みたいな――恐らく魔物は――俺を。
一瞬、ここで死んだら元の世界に戻れるのかなんて考えが脳裏を過る。
いやダメだろ。だってこれは俺の体じゃない。リテルのものなんだから。今、穢され続けているのもリテルの体なんだ。
俺が魔法なんか習おうとしなければ、リテルはこんな目に遭ったりしなかったはずなのに――魔法!
そうだよ。魔法があるじゃないか!
動揺ですっかり忘れていた『魔力感知』で周囲を探る――集中にかかる時間が明らかに長くなってないか?
ダメだ。集中しろ――周囲にはほとんど寿命の渦を感じない。草木や昆虫でさえも少ない場所なのか――でもおかげで見えてきたものがある。目の前に居るナニカのおぼろげな存在感。
コイツは痴女ですらない。女性の形をした部分に存在する寿命の渦は、ルブルム先輩が小さくする前の形に、つまり獣種によく似ているが、周囲に命がほとんど存在しないこの暗闇の中ではそこから伸びる細い寿命の渦の続きも見える。その続きは俺を包んでいるこの獣臭い場所全体へと、俺が横たわる背中の壁越しに伝わってくる鼓動にまでつながっている。
そんな生き物、見たことも聞いたこともない。だからこそ今回は先入観なしに正確に、そのナニカの全容を把握することに神経を使えた。
感覚を『魔力感知』の側へ全振りすると、そいつの寿命の渦が巡る範囲から想定される姿を正確に脳内へと描ける。
巨大な岩、いや、四足の獣に似た外観……その背中には大きな裂け目があり……内側には妙な空間……人が数人入れそうなほどの……俺はそこに居て、毒のようなもので体を麻痺させられていて、さっきから俺に事案的な接触を試みている痴女に擬態したナニカには尻尾があり、その尻尾の先がこの内側空間へと直接つながっている。
いやマジ見たことも聞いたこともない――うわ、また股間をっ。
体が動けば蹴飛ばせるのに――そう考えたとき、謎の生き物が一瞬離れようとしたのを感じた。
こちらの気持ちを感じ取れる?
試しにもう一度、コイツを「ぶん殴る」イメージを作るが、特に怯んではくれない。体が動かないことを見抜いたのか、それとも「試しに」と考えたのを見透かされたのか。
ああでも、これは相手が油断してくれたと考えるべきだな。これで俺が次に本当に魔法で「ぶん殴った」としても、コイツは油断して逃げないかもしれない。
とっとと魔法を思考しよう。コイツへの怒りが相当溜まっている。「ぶん殴る」やつがいい。格闘だかスポーツだかの漫画で見た全身の力をパンチに乗せるってやつがいい。全身の力を一点に集めて、そこからぶっ放す感じで。
くそっ。また俺の体を舐め始めた――それでも集中は解かずに持ちこたえられる。カエルレウム師匠やルブルム先輩のおかげでこういうことへの耐性がついた気が――じゃなくて、今は集中だ。
全身の力を一点に集めてその勢いを、衝撃だけを、魔法としてぶつける。正しく『ぶん殴る』感じで。ネーミングセンスはアレだけどイメージしやすさは重要だ。消費命は予め三ディエス分と決めておこう。
謎の痴的生命体が一瞬離れる。消費命の集中を感知したのか?
集中した消費命をいったん解くが、コイツはまだ様子を窺っているようだ。再び集中と解放とを何度か繰り返してみると、人型部分が再び俺の体への蹂躙を再開した。
ぐっと耐えながらタイミングを待つ。
アルティバティラエの頭部に見えた部分には重要な器官がなかった。コイツはどうだろう。長い尻尾のようなものでつながっている痴女部分と獣的なガワ部分とどちらが本体かはわからないが、有効打になる場所にぶちかましたい。
とはいえ体をまともに動かせない現状では、狙える場所は限られている……それに、だんだん息苦しくもなってきている気がする。のんびりとはしていられない。
痴女部分が俺の表面に舌を這わせながら頭部を近づけてくる。人の胸のような二つの膨らみを押し付けながら。俺の唇に柔らかいものが触れる。ケティの唇に似た感触。直後、俺の唇を割って中にぬめっとした温かいものが侵入してきた。それと同時に口の中にじわりとあふれる液体――甘さを濃縮したような――クソ!
俺は消費命の集中と同時に心の中で唱える――『ぶん殴る』!
声は出ないが発声しているつもりで発動した。
魔法代償の消費を感じたときにはもう痴女部分は吹っ飛んでいた。
尻尾へとつながるあたりを軸に回転するように、ガワ部分の内壁へ叩きつけられたように感じられる。とはいえガワはふかふかとしたクッション性のある感触だ。致命打にはなっていないだろう。次はもっと――尻尾が引きちぎれるような激しいやつをお見舞いしてやる。
『ぶん殴る』の三倍、いや五倍くらいでも集中できるだろうか。魔法代償が大きな魔法は、消費命の制御が難しくて、油断すると寿命の渦を大量に追加で奪われるとカエルレウム師匠がおっしゃっていたが、次の一撃で終わらせるくらいの覚悟がないと、この体が持たないかもしれないし。
十五……いや十二進数だと十三ディエスか。いいな。敵を一撃で倒せそうな消費命量だ。
唇から発動できたのなら、例えば背中とかはどうだ? 八極拳っぽいし。
俺は十三ディエスの消費命を集中する――くっ、確かにこれキッツイ。
まだ魔法発動の集中はしていないのに、消費命を準備しようとしただけで――なるほど。寿命の渦は、ある程度集めると、さらにそこへ集まろうとうする動きを見せるのか。この量の消費命の制御は一ミリも油断できないな。
でも俺はここを乗り越えるんだ。コイツをぶっ飛ばして生きて戻るぞ!
消費命を十三ディエス集中して――ちょうどその時だった。
『ぶっ飛ばす』魔法を発動するよりも早く、俺の体が吹っ飛ばされた。
● 主な登場者
・有主利照/リテル
猿種、十五歳。リテルの体と記憶、利照の自意識と記憶とを持つ。
リテルの想いをケティに伝えた後、盛り上がっている途中で呪詛に感染。寄らずの森の魔女様から魔法を習い始めた。
・ケティ
リテルの幼馴染の女子。猿種、十六歳。黒い瞳に黒髪、肌は日焼けで薄い褐色の美人。胸も大きい。
リテルとは両想い。熱を出したリテルを一晩中看病してくれていた。
・ラビツ
久々に南の山を越えてストウ村を訪れた傭兵四人組の一人。ケティの唇を奪った。
・マドハト
ゴブリン魔法『取り替え子』の被害者。ゴド村の住人で、とうとう犬種の体を取り戻した。
ゴブリン時代にリテルに助けられたことを恩に感じ、リテルについてきた。
・ゴブリン
ゴド村のマドハトと魂を入れ替えられていたゴブリン。現在は片腕。
犬種の体に宿っていたとき病弱だったのは、獣種よりもゴブリンの方が短命だったため。
・ルブルム
魔女様の弟子と思われる赤髪の少女。整った顔立ちのクールビューティー。華奢な猿種。
リテルとマクミラ師匠が二人がかりで持ってきた重たい荷物を軽々と持ち上げた。槍を使った戦闘も得意。
・カエルレウム
寄らずの森の魔女様。深い青のストレートロングの髪が膝くらいまである猿種。
魔法の使い方を教えてほしいと請うたリテルへ魔法について解説し始めた。ゴブリンに呪詛を与えた張本人。
・アルティバティラエ
半裸に申し訳程度に白い布をまとい、怪我をした髪の長い獣種の姿に擬態して近づいてきた魔物。
人を捕食する。数日前、カリカンジャロスと共に異門を越えてきたっぽい。
・謎の痴的生命体
獣のようなガワと、獣種の女性に似た部分とが尻尾でつながっている怪しい生物。
甘い匂いを出し、体を麻痺させる能力があるっぽい。リテルを絶賛襲い中。
■ はみ出しコラム【風呂事情】
ホルトゥスにおいては、入浴の文化がある。ただしそれは地球の日本のような湯につかるものとは異なる。
農村部における風呂は、基本的には行水に近い。木製のタライに水を張り、その水に浸した布で体を拭くスタイルである。
湯船というものはなく、大タライに入る程度の幼い子であればタライの中に入れられて洗われることはあるが、水に浸かるという文化は庶民にはない。
また、寒い時期になると共同サウナが稼働し、そこで体を温め発汗も促された上で、夏同様の行水スタイルとなる。
都市部における風呂は、庶民は公衆浴場を利用することが多い。
農村同様に行水スタイルを取る者も居るが、水の入手と排水の手間を考えた場合、公共のトイレや風呂が一緒になった公衆浴場を利用する方が楽であったりする。
ちなみに宿屋においては行水用のタライと水のサービスは有料で、公衆浴場の使用料よりも若干高いのが普通。
・公衆浴場
上下水道の設備が比較的整っている都市部には公衆浴場が存在する。
一般的な公衆浴場は、施設使用料を入って敷地に入るとホールとなっている。そこにはベンチが置かれ、待ち合わせもできるようになっている。このホールから、男性用トイレ、女性用トイレ、男性用脱衣室、女性用脱衣室へと移動することができる。
脱衣室では、荷物の預かり料を払い、荷物を預けることができる。入り口で支払う施設使用料はトイレだけの利用料であり、荷物の預かり料は実質的な風呂の使用料となっている。
預り証として金属の札がついた麻紐を渡される。これを首にかけるなどして、脱衣室の先にある風呂エリアへと移動が可能となる。ちなみに脱衣室からもトイレへと移動できるが、ホールから直接行けるトイレとは完全に分かれている。
風呂エリアは大抵三つに分かれている。サウナエリア、温水エリアと、行水エリアの三つである。
都市部の公衆浴場におけるサウナエリアは、季節を問わず稼働している。
温水エリアはサウナエリアを温めるときについでに温められた水が使われているエリアで、エリア内に幾つもある洗面台のようなところへ溜められた温水を使用して体を洗う。
行水エリアも構造としては温水エリアと同様だが、こちらの水温は常温である。
お湯を張った湯船の類は基本的には設置されていないが、高額な使用料を払うと入れる特別なエリアとして設置されている公衆浴場も存在する。
・個人風呂
都市部の富裕層や貴族においては、住居に自分たち用の個人風呂を、トイレ同様に設置しているのが普通である。
その規模やスタイルは様々であり、獣種によっても傾向が分かれる。
・洗い液
固形の石鹸は一般には流通しておらず、富裕層や貴族が使用するのは、半分液状の洗い液と呼ばれるもの。海藻を燃やした灰と、油とで作る。油はオレアという植物から取る。
洗い液は贅沢品であり、富裕層や貴族以外は使わない。
庶民は洗い液など使用せず、普通に布でこするだけ。
・温泉
ホルトゥスには局所的に温泉は存在するが、リテルの住むストウ村およびそれを治めるクスフォード虹爵領には温泉が存在しない(虹爵については、次回コラムにて詳しく説明する)。
※ 地球における中世ヨーロッパはペストの流行により入浴という文化が衰退した。入浴により毛穴が開くとそこからペストに感染するという噂が広まり、公共の浴場は閉鎖され、やがて水自体に対する恐怖へと変わる。そのため手を洗う以外に体を洗うための水使用が人々により避けられていた。ホルトゥスにおいてはペストは発生していない。
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