130 / 260
第8章 さよならの予感
10
しおりを挟む
「俺、美夜のことが好きだ。妹だって分かってる。それでも、ただの妹としてだけじゃない気持ちがある。それが、いけないことだってことも、分かってるよ」
圭太の言葉に、雪子は驚いてギュッと下唇を噛んだ。
「美夜は…?」
雪子が訊ねると、圭太も同じように唇を噛んでまだ顔を上げない。
「美夜も、同じ気持ちなんだ」
「それじゃ、これからどうするの?あなたたちは兄妹なのよ。辛い結末になる」
雪子が真剣に答えると、圭太は泣きそうになって俯いた。
「…分かってる。…分かってます。なので、…俺は美夜から離れますよ。じゃないと、美夜をこれ以上苦しめることになるのは、目に見えてるから」
圭太と美夜は、血の繋がりのある兄と妹。祐が長男となっているが、美夜だけは母親が違うことになる。3人は複雑な事情の上に成り立つ兄妹だ。そんな美夜と圭太が、惹かれあってしまった。それは、何の因果なんだろう。
みんなが辛気臭い表情になると、祐が作ったすき焼きが完成して醤油と牛肉が絡み合ったいい匂いが部屋に充満した。範子さんが立ち上がり手を叩くと、みんなはハッとして顔を上げて範子さんを見た。
「さぁ。暗い話はそこまでね。お正月の三が日くらいは、明るく食事しよう!」
圭太の言葉に、雪子は驚いてギュッと下唇を噛んだ。
「美夜は…?」
雪子が訊ねると、圭太も同じように唇を噛んでまだ顔を上げない。
「美夜も、同じ気持ちなんだ」
「それじゃ、これからどうするの?あなたたちは兄妹なのよ。辛い結末になる」
雪子が真剣に答えると、圭太は泣きそうになって俯いた。
「…分かってる。…分かってます。なので、…俺は美夜から離れますよ。じゃないと、美夜をこれ以上苦しめることになるのは、目に見えてるから」
圭太と美夜は、血の繋がりのある兄と妹。祐が長男となっているが、美夜だけは母親が違うことになる。3人は複雑な事情の上に成り立つ兄妹だ。そんな美夜と圭太が、惹かれあってしまった。それは、何の因果なんだろう。
みんなが辛気臭い表情になると、祐が作ったすき焼きが完成して醤油と牛肉が絡み合ったいい匂いが部屋に充満した。範子さんが立ち上がり手を叩くと、みんなはハッとして顔を上げて範子さんを見た。
「さぁ。暗い話はそこまでね。お正月の三が日くらいは、明るく食事しよう!」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
27
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる