魔女として断罪された悪役令嬢は婚約破棄されたので魔王の妃として溺愛されることを目指します

悠月

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第二章 魔王の待つアヴァロニア王国に向けて旅立ちます

16 ヴィネ陛下、私を妃にしてくださいませ! ②

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 案の定、ヴィネ陛下の側近、セパルが口を挟んでくる。

「恐れながら……エレイン嬢が聖カトミアル王国の聖堂騎士団長殿から婚約破棄されたなど、あなたの口から聞くまで、我々は知りませんでした。そして、それが嘘か誠かも、我々には確かめるすべがないのですよ」
「嘘ではありません! 本当に、私は……婚約破棄されたのでございます!」
「聖カトミアル王国と我が国とは、けして良好な関係にあるとは言えません。我が国は、何度も彼の国から一方的な侵略を受けています。それも、ただファシシュ神を信仰しないという理由だけで。そんな国から来た人間の言葉を素直に信用できると思いますか? 諸手もろてを上げて歓迎できると思いますか? あなたは、もしや我が国に間諜として送り込まれた存在なのでは? と、我々から疑われたとて仕方ないのですよ」

 それはそうだろう。
 突然、友好国でもない国の人間が現れ、あろうことか妃にして欲しいと言い出したのだ。
 それも、国家の実権を握っている王子に等しい存在の聖堂騎士団長の元婚約者だ。セパルのように疑ってかかるのは、当たり前と言えば当たり前のことだ。
 さらに、国王の結婚は、あくまでも政治的な意味合いを持つ。
 重臣たちが、「はい、どうぞ」と諸手を上げて許すわけにはいかないだろう。
 非常識なことを言っているのは、私も承知している。
 わかってはいるが、それでも──私は、ヴィネ様の傍にいたいのだ!

 重臣たちの間に広がる重苦しい空気を振り払うように、ヴィネが再び口を開く。

「まあ、よい。地位や財が望みではないと言ったな。では、いったい何が望みなのだ? 何が望みで私の妃になりたいと申す? そなたは、私の妃となって何をしたいのか? 申してみよ。理由次第では、考えてやってもよい」

「陛下!」

 セパル以外の臣下たちも次々と異議の声を上げた。

「陛下……!」
「陛下、何をおっしゃいますか!」

 制止しようとする重臣たちに対して、黙るようにと、ヴィネ陛下は片手を上げる。

「申してみよ。くだらない理由であれば、城の外につまみ出せばよい。さあ、エレインとやら、遠慮なく申せ」

 国王の言葉に、臣下たちは、口をつぐんだ。
 皆、固唾かたずを呑むように、私の回答を待っている。
 広間の空気が、ピリピリと張り詰めて肌を刺すように感じられた。
 
 私はいよいよ覚悟を決めた。
 ヴィネ様をはじめ、皆の信頼を得るためには、たとえ信じてもらえなくとも真実を話さなければいけないだろう。
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