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直帰連絡の後
しおりを挟む「先輩、今会社に連絡したら、直帰でイイそうっス。」
「わかった。それじゃ、寒いしどっか寄ってくか?」
先輩が、手酌する仕草を見せる。
「そうっスね。凍えるほど寒いし、行きましょうか。」
俺と先輩は連れ立って駅に向かって歩き出した…のだが、その約十分後だった。
「ふぃぎゃ!」
先輩が変な声を発すと、歩き方がおかしくなった先輩が恨めしそうな表情でこちらを振り返った。
「ワリぃ明石。緊急事態だ。よんどころない用事がある。今から一緒に…」
すると先輩が頭を振って視線を巡らせ、何かを探した。
何かを見つけた様子の先輩は、
「ここへ入るぞ!」
オレの腕を引っ張って、先輩はとある建物へ入って行く。
駅前まであと僅かという裏路地を歩いていたオレ達は、とあるラブボへと入って行ったのだった。
オレが何度か来たことがある店だった。もちろん遊びで、相手は♂だ。
だから、ほぼ全ての写真に灯が入っている状態の前で狼狽える先輩の後ろからリーチを活かして1つの部屋のボタンを押すと、解錠したコインロッカーの小さな扉を開けて鍵を取り出し、先輩の肩を抱いて上階へのエレベータへ。流れるように《5》を押すと、口付けるみたいに先輩に顔を近づけた。
「先輩、ここ、さっきのパネルから室内に入るまで防犯カメラでチェックされてる。
イヤだろうけど、室内までこのまま歩きます。」
先輩は了承の意味で頷くと、オレの胸に頭を預けた。
ポーン…
直後、エレベータの扉が開く。
オレ達は迷わず薄暗い廊下を進むと、突き当りの《508》の扉へと吸い込まれるように入って鍵を締め……ると同時に、先輩はトイレへ駆け込んだ。
──やった…やっちまったァ……
今日俺はあのトイレで、1つ開けた隣の個室に知り合いが居るのもあってか、いつもより気持ちが昂ってしまった。
いつもは《マッサージ》だけ、後ろだけを愉しむのに、今日は前もイジってしまった。
たぶんそれでだろう。
まだ中に水が残っていたのだ。
それが歩いているうちに降りてきて、じわっと俺のボクサーパンツを濡らした。
いつもなら、コンビニでパンツを買って履き替えれば解決するだろう。
でも今日は明石がいる。
俺は、コンビニに行ってパンツを買って履き替えるのに明石が付いてきた時の言い訳が何も思いつかず、パニクって《こんなところ》まで明石を連れてきてしまった。
もろもろあって飛び込んだトイレの個室。
脱いだスラックスだけを扉のフックへ掛けると、便座に座ってボクサーパンツの内側を眺めた。
「ハァ~。」
──やっぱりだ。
そこにはしっかりと付着した俺の汚物。
洗浄機付便座の温水ごと滞留便が出てきたのだろう。
俺は断腸の思いでボクサーパンツを脱ぐと、音をさせないように汚物入れへと旅立たせた。
この後、ノーパンで帰らなければならないのは心許無い。
しかもこの寒空の下では本当に腹を下しかねない。
ドロップ糞で今度はスラックスをダメにするのは避けたい。
けれど、明石にパンツを買ってきて貰うのは、理由が理由だけに気が咎める。
せめてしっかりとナカを綺麗にしてからここを出たいと思い、俺はトイレの壁側に取り付けられたパネルに指を伸ばした。
先輩の背中を見送ったオレは、すぐさまベッドの枕元にある小袋を手に取るとベッドに俯せになり、黒のリモコンを探した。
実はこの部屋は《のぞき》プレイの部屋で、トイレの中には監視カメラがあり、トイレの壁も実はマジックミラーになっている。
スイッチを入れると、天井のモニタに映し出される仕組みになっている。
この部屋のパネルに灯が入っているのを見て、つい本能でボタンを押してしまった。
ベッドに横になりながらベルトを緩め、スラックスとトランクスを膝まで下げてゴロリと仰向けになると、見つけたリモコンをモニターに向けた。
出てきたオレの、巨根と呼ばれるモノに小袋を開けてゴムを嵌めると、トイレの中の先輩が、便器の下からのアングルで映し出された。
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