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個室の彼、寝室の彼
しおりを挟む上体を起こして、マジックミラー越しの先輩を眺める。
思い詰めたような表情の先輩が、俯きがちに溜め息を吐き…暫くしてパンツを汚物入れに捨てた。
その後は何かを考え込んでいるようで、視線が定まらなかったのだが、吹っ切るように1つ頷くと、オレの方へ指を伸ばす。
──きた!
マジックミラー越しの先輩が、オレの居る方の壁に貼り付いてる温水洗浄機付き便座のコントロールパネルへ指を伸ばしたのだ。
その時の顔は、完全にオレに体を暴かれるのを待つような誘ってくる顔つきで、オレの剛直がヤる気を見せてぶるりと震え、軽く達してしまった。
本当は、便座になんて触れさせないで自分に触れさせて欲しい。
でも、今はまだ先輩にオレがゲイなことはバレていない様子だし、先輩にこんな趣味があることもオレにはバレていない設定になっているだろうと思われる。
《その時》は、今ではない。
オレは再びベッドに仰向けになると、1つ目のゴムを縛って屑入れに投げ入れた。
見事に入り、今日はちょっとイイコトがあるような気がする。
2つ目の封を切り、手早く被せる。
先輩の中では、オレはまだノンケだろう。
だから、僅かな匂いでさえ先輩で抜いていた形跡は残したくなかった。
「あんっ…いい……」
先程の取引先のトイレよりも俺の本能を刺激してくるようなお湯のマッサージに、思わず声が出てしまった。
後ろは温水で、前は右手で扱いて刺激を与える。
きちんと扉も閉めている《個室》に、気が緩んだのだろう。俺は《ノーパンで帰宅するためナカを綺麗にしたい》という本来の目的を忘れ、本能の赴くままに乱れた。
乱れれば暑くなり、背広もYシャツも脱ぎ捨てた。
正面の壁に腕と額を付けながら普段はシない乳首に触れ、捏ね、抓めば、先端から勢い良く白濁が飛び出して壁に掛かった。
荒い呼吸になるけれど、己の手の動きは止まらない。
もはや、前に触れなくても簡単に何度もイってしまう。
それが快感で、何度も何度もループした。
そして、それが何度も何度も続いた時…
俺はとうとう気を飛ばした。
先輩が何度もイく表情にヤられ、オレのが入ったゴムを幾度も交換するハメになった。
触れていないのに音声は何も拾えないのにそれでも果ててしまう、先輩の色気や表情や視線や、乳首の色や肌の紅さや、悶え方乱れ方、全てが好みだったから。
そうして自分で抜きながら、たまにリモコンを手に取って温水の幅や強さ、前後の動きをこちらでコントロールして、先輩へ間接的に刺激を与えた。
また先輩が、オレの意図したように乱れてくれるのが嬉しくて、緩急を付けたり強弱を付けて1点を狙ったり、攻めまくった結果……
叫んだであろう先輩の声が壁越しに聞こえたと思ったら、モニタ内の先輩が失神した。
「ヤベェ!」
オレは自分の身形を整えてから、先輩の救出に向かった。
扉を開けた時、オレは思わず深呼吸した。
先輩の匂いが個室に充満していたからだ。
先輩は背中側の壁に凭れるように目を閉じていた。
試しに乳首を甘咬みしてみれば…
ビクッ
「…んうっ……」
反応があるので、《失神》や《気絶》など病的なモノではなく、《疲労による睡眠》のようで安心した。
オレはバスタブに湯を溜めながら、先輩の周りを見分する。
服→全て体液に塗れていてアウト。
体→自身の出した体液でデロデロ。
オレは先輩を風呂に連れて行ってサラッと洗うと、シーツに巻いてベッドに転がした。
それから先輩の着てた全てをエコバッグに入れると、財布を尻のポケットに捩じ込んで部屋を出た。
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