隠され姫のキスは魔道士たちを惑わせる

じゅん

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エピローグ 新大陸での生活

エピローグ 2

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「ほら、せっかくのご指名、受けましょうよ」
 褒められたアレクサンドラは、ますます乗り気になった。
「……まあ、お前がいいなら」
 ザックは不本意そうに承諾した。
「あとナイトさんたちに、手紙が来てるぜ」
 それはオスカーからの手紙だった。オスカーとは依然、連絡を取っている。アレクサンドラたちは住居を決めていないので、宛先をギルドにしていた。
 アレクサンドラ達がマナの樹の近くのボートで魔法王国アーウィンを離れる時に、近くにいたオスカーにだけは別れの挨拶をした。
 そのときに、アレクサンドラとザックは死んだことにしてほしいと頼んだ。マナの樹が復活した理由を説明すれば、納得してもらえると思われた。現に二人の葬儀はすんでいる。
 しかし、いつアレクサンドラが生きていることに気付かれるか分からない。何かあったら連絡が欲しいと頼むと、律儀にもオスカーから定期的に手紙が届いた。主に、魔法王国の近況が書かれている。
 二人は食事処で昼食を食べながら手紙を読んだ。オスカーの性格を表すように、几帳面で整った、少々堅苦しい文字と文体だった。
「お母さん、頑張ってるみたいね」
 アレクサンドラは頬をほころばせた。
 オスカーの働き掛けもあり、母王は幽閉が解かれた。そして女王に返り咲いたのだ。
 それまで国はマナエネルギーの維持派が多数を占めていたが、女王が反対派の代表となったことで、意見が真っ二つに分かれている。
肩書きばかりで執務経験は殆どない女王を、オスカーを筆頭にマナ反対派がサポートしているようだ。
(おばあちゃんも元気なんだ。良かった)
 アレクサンドラが気にかけているのを知り、オスカーは山岳地帯の集落まで、老婆の様子を見に行ったようだ。年齢からくる衰弱は仕方がないが、近所の人たちと助け合って生活していると書いてある。
 フランシスはアレクサンドラの一件で落ち込んでいたそうだが、元気を取り戻したようだ。ただし、相変わらずなにを考えているのか読めない、と綴られている。
(落ち着いたら、お母さんやオスカーさん達に会いに行きたいな)
 食事を済ませると、二人は魔具屋に向かった。魔具屋は馬を使っても半日かかる、森の奥の小さな町にあった。
「やっぱり、しくじったかな」
 目的の町に近づくと、騎乗のザックが呟いた。
「どうしたの?」
「オレたちが向かっている町は、魔道士の町だ」
 アレクサンドラたちが生まれた大陸と同じく、この大陸でも魔道士の人口の方が圧倒的に少ない。そのため、魔道士であることを隠して住む者もいれば、魔道士たちだけで集まって暮らしていることもある。到着間際となっている町は後者だと、ザックが気配で感じたのだ。
「確認しときゃよかったな」
「心配し過ぎよ。普通は他人に触ることなんてないから、魔道士がいたって関係ないわ」
 実際にこの大陸に来てから、アレクサンドラの能力で騒ぎになるようなことはなかった。指輪を外しても大丈夫なのではないか、と思うくらいだ。
 馬を下り、引きながら町に入った。
「……ん?」
 ザックが胸元に手を当てる。
「魔力が消えた」
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