婚約破棄で終わらない! 策謀家王子と腕力家公爵令嬢 チートな二人のそれからはじまる物語り

此寺 美津己

文字の大きさ
191 / 248
クエスト 披露宴に出席せよ

その結婚、ちょっと待った!

しおりを挟む
「結婚に反対?!」
元魔王は、端正な顔を歪めた。彼の人間社会に対する常識は、千年前でとまっている。
とはいえ、結婚という制度自体はあったし、それに第三者が反対するというのが、彼には理解できなかった。

それを告げた、魔王リウの母は、鷹揚に頷いた。

「反対するものがいるのは、わかるさ。だが、それだったら結婚式に出席しないということで抗議の気持ちを現せばいいだろう。結婚式には出席します、結婚には反対です、は訳がわからない。」

「偉大なる魔王様にもわからないことがあるとは!」
魔王の母はため息をついた。
「そもそも、花嫁と花婿の情人を式に招待すること自体わからないですが。
あの二人がそれをよしとしたのでしょうか?」

「列席者はこちらで、考えている。」
リウは答えた。
「ルトとフィオリナは、ここにきて結婚するのしないとゴタゴタしているようなので、オレとアモンで相談して決めた。」

「アモンというのは、神竜女王リアモンドのことかしら?」
「そうだな。あまりにもあちこちに伝説が残っているので、偽名を使わせてもらっている。」
「よくぞ、まあ。」

魔王の母は、闇森の魔女ザザリではなく、王太后メアの顔で呆れたように首を振った。

「よりにもよって一番常識のない二人が。」
「何をいう!」

リウは、ムッとしたように言った。こんな表情は、滅多に見せない。やはり目の前の女性は、リウには特別な存在なのだろう。

「リアは、あれはクローディア家の猶子だぞ。家族の一員だ。フィオリナにとっては妹だぞ。結婚式に出席させて何が悪い!」
「ヨウィスとミュラは?」
「あれは、二人の共通の友人枠だ。」

リウは胸を張ったが、どこか自信なさげであった・・・彼には珍しいのだが。

「その三人がこぞって、結婚に反対している、というのは?」
「・・・・だからそれがわからない、と言ってる。」

「さっき、魔王宮のラウル=リンドから、連絡がありました。ミトラの方からの情報を色々話してくれたわ。」

へえ、とリウは言った。双子の姉妹というていではあるが、ラウルはロウに比べるといささか陰気で、うちに籠るところがある。

「ほかにも、けっこう、結婚に反対のものは多いみたいです。」
「誰が?」
「我らの階層主の一人、ロウ=リンド」
「なんでロウが!」
「それから邪神ヴァルゴールとか。」
「アキルが?」
「それから、フィオリナの母親、アウデリアとか。」

ちょっと待ってくれ。
と、言ってリウは、頭をかいた。

「何がなんだかわからん。そこら辺はルトとフィオリナの親しい仲間じゃないのか?
どちらかといえば好意を持っている。」

「どちらかどころか。」
「だったらなぜ!!
・・・・横恋慕のたぐいか?」

メアはゆっくりと。
表情を変えた。

おっとりとした、国民からも慕われた王妃の顔から。
闇の森に居を構えたいにしえの魔女へ。

「ミュラについてはそんなところだな。」

「・・・ほかは違うのか?」
「ほかの者は・・・まあ、一言で言って仕舞えば『不安』だよ、陛下。」
「不安?」
「特に、『運命』の流れが読めるアウデリア、ヴァルゴール、ロウはそうだろうさ。未来が全く見えないのだよ。」

「運命なぞ。」リウは冷笑した。「こちらで作ればよい。」

「違うぞ、陛下。」
ザザリ、真剣な面持ちで言った。
「運命がいい悪いではない。運命が『ない』のだ。反対する者たちも、ルトとフィオリナの結婚そのものを否定しているのではない。
時期が『今』ではないと言っているだけなのだ。
ちなみになのだが、冒険者学校のルールス分校長と、担任教師も反対派だ。
これでも、能天気に式の準備を推し進めるか、陛下。」

リウは、気に入らなそうに、宛名の書かれていない招待状を一通、摘み上げた。

「そうだな・・・慎重にやろう。」

「どうも陛下はちょくちょく、我が進言を曲解される。」
と、ザザリは、忌々しそうに言った。
「千年経ってもそこは変わらぬか。みかけはけっこう、かわいらしくなられたのに!」
「あのなあ、ザザリ、いや母上。」

母と呼ばれた魔女の頬が上気する。

「“陛下”はやめてくれ。」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

処理中です...