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サーレック辺境伯邸へ向かう(1)
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「まったく、ギスタークを1人で5匹も倒したなんて、イカれている!」
それから数日。ヤーナックの町では、ミリアがギスターク5匹をたった1人で倒したということが噂となって十分に広がっていた。おかげで、警備隊以外の町民たちにも彼女の強さが広まり「本当にそんなに強かったのか」と人々は感心をしていた。当の本人は左足が痛むため、警備隊はヘルマやザムエルにまかせっきりだったし、人々が集まるところにも出向かなかったため、まったく知らない話だったが。
「しかも、足の痛みがなけりゃ、きっともっと倒せていたって話だ」
「すげぇな、最初は警備隊がどうのって、馬鹿な事いっていやがると思っていたが……」
「今は、この町を救った英雄みたいなもんだからな!」
食事処でも様々な店でも、その話で持ちきりになり、通りがかったヘルマはあちらこちらで「ほら、これおまけだよ」だとか「これも持って行ってくれ」などと物をおまけしてもらった。正直なところ、喜び半分困惑半分といったところだった。家に直接届けてもらうのも困るが、歩くたびに物を渡されても困る……と、出かけてはすぐに物を持って家に戻るしかないヘルマは、少し照れ笑いを見せながらも、ぶつくさ文句を繰り返した。
だが、更に良いこともあった。ミリアが戦った以外にも、警備隊が活躍してくれたことを人々は広めてくれて、そのおかげで彼らもまた町の人々から感謝をされた。これは良い機会ということで、ミリアは警備隊の指導から彼女の手を離し、以前からトップに選んでいた3人を代表にし、町長直下の部隊とした。勿論、ヘルマとヴィルマーの間で、新たにサーレック辺境伯から派遣された5名をどうするかも話し合ってもらっている。そして、警備隊の扱い自体にも今後変わっていくに違いない。
そんな状況が続く中、5日もすればミリアの左足も落ち着いた。それを見越したように、ヴィルマーが「そろそろどうだろうか?」と聞いていたので、ミリアは彼に「大丈夫です」とあっさりと返事をした。
「この格好で大丈夫でしょうか?」
馬に乗るため、いつもの旅支度と変わらないパンツスタイルだ。サーレック辺境伯に会いに行くのに、ドレスでなくても良いか、という意味で問えば、笑うヴィルマー。
「問題ない。俺も薄汚れたこの格好で行くしな。馬に乗るんだ。当然だろう?」
「はい」
彼らは馬でサーレック辺境伯邸に向かうことになっていた。ヤーナックの町からサーレック辺境伯邸は、馬で飛ばして1日半。今のミリアの状態では、2日程度だろう。馬車で行くことも考えたが、むしろそちらの方が時間がかかってしまうため、馬を選んだ。
クラウスたちは引き続きヤーナックに滞在をして、3日後にヤーナックを経つと言う。そこへ、後でヴィルマーが合流をするという話らしい。
「ヴィルマーさんが傭兵のみなさんのところから離れることを、彼らにどう思われているんですか? 何か言い訳を?」
「サーレック辺境伯のところにいってくる、で大体通している。何も問題はない」
そう言って、ヴィルマーは笑う。
2人は馬に乗ってヤーナックを出発した。ミリアの左足の加減がわからないので、とヴィルマーが言うので、おおよその地図を確認した後にミリアが先導をして走る。走っている間は特に会話もなかったが、それがむしろミリアにとっては好ましい。
何度か休憩を挟んで、地図を見て確認をして、ヴィルマーにこの地域の話を聞いて。まるで、2人で旅をしているようだとミリアは思う。
「それにしても」
小さな街道を行く2人。サーレック辺境伯領は広すぎて、ヤーナックのように手が回らない集落はあるものの、道はそれなりには作られている。きっと、流通は閉ざさないようにとの配慮なのだろう、とミリアは馬を走らせながら思う。
「本当に、あちらこちら深い森がある。そちらには、木こりなどがいるのでしょうか?」
「ああ。木こりや炭焼きや、森に住んでいる者も結構いるな」
「なるほど。集落以外にも人がかなりまばらにいるのですね」
「うん。とはいえ、集落から外れている者たちには、別に何も課してはいない。そこまで手が回らないし、そこまでの者たちに恩恵も与えられないのでな。それから……」
サーレック辺境伯の領地を見ながら話すヴィルマー。ミリアは「案外と彼は細やかにサーレック伯爵領のことを知っている」と改めて感心をした。
やがて、休憩をしようと馬を止めて、街道横の原っぱで2人は休む。馬を自由にしてやれば、どちらの馬も草を食んでおとなしくしていた。
それから数日。ヤーナックの町では、ミリアがギスターク5匹をたった1人で倒したということが噂となって十分に広がっていた。おかげで、警備隊以外の町民たちにも彼女の強さが広まり「本当にそんなに強かったのか」と人々は感心をしていた。当の本人は左足が痛むため、警備隊はヘルマやザムエルにまかせっきりだったし、人々が集まるところにも出向かなかったため、まったく知らない話だったが。
「しかも、足の痛みがなけりゃ、きっともっと倒せていたって話だ」
「すげぇな、最初は警備隊がどうのって、馬鹿な事いっていやがると思っていたが……」
「今は、この町を救った英雄みたいなもんだからな!」
食事処でも様々な店でも、その話で持ちきりになり、通りがかったヘルマはあちらこちらで「ほら、これおまけだよ」だとか「これも持って行ってくれ」などと物をおまけしてもらった。正直なところ、喜び半分困惑半分といったところだった。家に直接届けてもらうのも困るが、歩くたびに物を渡されても困る……と、出かけてはすぐに物を持って家に戻るしかないヘルマは、少し照れ笑いを見せながらも、ぶつくさ文句を繰り返した。
だが、更に良いこともあった。ミリアが戦った以外にも、警備隊が活躍してくれたことを人々は広めてくれて、そのおかげで彼らもまた町の人々から感謝をされた。これは良い機会ということで、ミリアは警備隊の指導から彼女の手を離し、以前からトップに選んでいた3人を代表にし、町長直下の部隊とした。勿論、ヘルマとヴィルマーの間で、新たにサーレック辺境伯から派遣された5名をどうするかも話し合ってもらっている。そして、警備隊の扱い自体にも今後変わっていくに違いない。
そんな状況が続く中、5日もすればミリアの左足も落ち着いた。それを見越したように、ヴィルマーが「そろそろどうだろうか?」と聞いていたので、ミリアは彼に「大丈夫です」とあっさりと返事をした。
「この格好で大丈夫でしょうか?」
馬に乗るため、いつもの旅支度と変わらないパンツスタイルだ。サーレック辺境伯に会いに行くのに、ドレスでなくても良いか、という意味で問えば、笑うヴィルマー。
「問題ない。俺も薄汚れたこの格好で行くしな。馬に乗るんだ。当然だろう?」
「はい」
彼らは馬でサーレック辺境伯邸に向かうことになっていた。ヤーナックの町からサーレック辺境伯邸は、馬で飛ばして1日半。今のミリアの状態では、2日程度だろう。馬車で行くことも考えたが、むしろそちらの方が時間がかかってしまうため、馬を選んだ。
クラウスたちは引き続きヤーナックに滞在をして、3日後にヤーナックを経つと言う。そこへ、後でヴィルマーが合流をするという話らしい。
「ヴィルマーさんが傭兵のみなさんのところから離れることを、彼らにどう思われているんですか? 何か言い訳を?」
「サーレック辺境伯のところにいってくる、で大体通している。何も問題はない」
そう言って、ヴィルマーは笑う。
2人は馬に乗ってヤーナックを出発した。ミリアの左足の加減がわからないので、とヴィルマーが言うので、おおよその地図を確認した後にミリアが先導をして走る。走っている間は特に会話もなかったが、それがむしろミリアにとっては好ましい。
何度か休憩を挟んで、地図を見て確認をして、ヴィルマーにこの地域の話を聞いて。まるで、2人で旅をしているようだとミリアは思う。
「それにしても」
小さな街道を行く2人。サーレック辺境伯領は広すぎて、ヤーナックのように手が回らない集落はあるものの、道はそれなりには作られている。きっと、流通は閉ざさないようにとの配慮なのだろう、とミリアは馬を走らせながら思う。
「本当に、あちらこちら深い森がある。そちらには、木こりなどがいるのでしょうか?」
「ああ。木こりや炭焼きや、森に住んでいる者も結構いるな」
「なるほど。集落以外にも人がかなりまばらにいるのですね」
「うん。とはいえ、集落から外れている者たちには、別に何も課してはいない。そこまで手が回らないし、そこまでの者たちに恩恵も与えられないのでな。それから……」
サーレック辺境伯の領地を見ながら話すヴィルマー。ミリアは「案外と彼は細やかにサーレック伯爵領のことを知っている」と改めて感心をした。
やがて、休憩をしようと馬を止めて、街道横の原っぱで2人は休む。馬を自由にしてやれば、どちらの馬も草を食んでおとなしくしていた。
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