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プロポーズと招待と(4)
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結果的に、彼の過去を探ろうなんて気持ちにはたどり着かなかった。だって、今ここでキスを与えてくれる彼は、自分にプロポーズをしてくれたのだ。それだけで十分だ。ミリアは、彼からの口づけで翻弄されないように我を保たなければと思いながら、既に翻弄されている。角度を変えながら深く。と、彼女は無言で彼の胸元に手をつけて、そっと彼の体を押す。それとほぼ同時に
「戻りました~! ヴィルマーさん、まだいらっしゃいます!?」
と明るいヘルマの声が居間から聞こえた。ヴィルマーは最後に彼女の下唇をついばんで
「まったく、思ったより早く戻って来やがる」
なんて、口悪く言って「はあ」と大げさにため息をついた。
「ヴィルマーさん。それで、サーレック辺境伯からのお手紙は……?」
「ん。こっちだな」
「え?」
見れば、封書が2つ。そのうちの片方を受け取るミリア。
「もう片方は?」
「こっちは、まあ、あれだ」
「?」
「俺が、プロポーズを断られた時用の封書だから、もう用無しだ」
一体どういうことだ、とミリアは首を軽く傾げ、その場で封を開けた。
内容は簡潔だった。ヤーナックをギスタークの被害から守ったこと、警備隊を作ったこと、それらについての感謝と、今後のヤーナックの警備隊の扱いについて、などがわかりやすく書かれている。
「……ん?」
特に、ヴィルマーのプロポーズとは関係がなさそうだったので、ミリアは軽く声をあげた。
「そちらは、どういった内容ですか……?」
「こっちは、もっとしょうもない」
「しょうもない……?」
その言葉使いは貴族のものではない。が、ミリアは平民の部下も多かったので、意味は伝わる。
「俺のいいところを、父親がわざわざあれこれと書いてくれている、ようだ。こっ恥ずかしすぎる。君が、プロポーズを受けてくれてよかったと本気で思うよ……」
そう言って、ヴィルマーはもう一通の手紙をジャケットのポケットにしまい込んだ。
「愛されているのですね」
「そうだな。そういう、父親だ。仕事は厳しいが、家族には愛情が深くて深くて深くて、面倒で仕方がない。だから」
「?」
「君が家族になってくれたら、とんでもない歓迎をしてくれる。そこで、こいつだ」
そう言ってもう一通、今度はまったく違う形状の封書を取り出すヴィルマー。一体何通手紙を持ってきたのか、と聞けば「これで最後だ。間違いない」と言って苦笑いをする。
「君が良ければ、サーレック辺境伯邸に招かれてやってくれないか。勿論、足がもうちょっと落ち着いてからになるが」
その彼の言葉に、ミリアは目を大きく見開く。ちょうど、居間の方からもう一度「ヴィルマーさん? まだいらっしゃいますか~!?」とヘルマの声がして、それを「こらこら」と諫めるクラウスの声がかすかに聞こえた。ミリアは彼から封書を受け取りながら
「サーレック辺境伯も、気が早い方なのでしょうか?」
と問えば、ヴィルマーは苦笑いを見せる。
「本来は気が早い。そうだな。ヘルマぐらいは。まったく、帰ってくるのが早すぎだろうが……もうちょっとさぁ……」
「あっはは!」
珍しく、声を出してミリアは笑った。その声を聞きつけて、ヘルマは「何ですか、何ですか!」と飛び込んできて、それをクラウスが止めようとしてヘルマの後からやってくる。ヴィルマーは「お前ら、もうちょっと2人にしてくれよ!」と叫んだのだった。
「戻りました~! ヴィルマーさん、まだいらっしゃいます!?」
と明るいヘルマの声が居間から聞こえた。ヴィルマーは最後に彼女の下唇をついばんで
「まったく、思ったより早く戻って来やがる」
なんて、口悪く言って「はあ」と大げさにため息をついた。
「ヴィルマーさん。それで、サーレック辺境伯からのお手紙は……?」
「ん。こっちだな」
「え?」
見れば、封書が2つ。そのうちの片方を受け取るミリア。
「もう片方は?」
「こっちは、まあ、あれだ」
「?」
「俺が、プロポーズを断られた時用の封書だから、もう用無しだ」
一体どういうことだ、とミリアは首を軽く傾げ、その場で封を開けた。
内容は簡潔だった。ヤーナックをギスタークの被害から守ったこと、警備隊を作ったこと、それらについての感謝と、今後のヤーナックの警備隊の扱いについて、などがわかりやすく書かれている。
「……ん?」
特に、ヴィルマーのプロポーズとは関係がなさそうだったので、ミリアは軽く声をあげた。
「そちらは、どういった内容ですか……?」
「こっちは、もっとしょうもない」
「しょうもない……?」
その言葉使いは貴族のものではない。が、ミリアは平民の部下も多かったので、意味は伝わる。
「俺のいいところを、父親がわざわざあれこれと書いてくれている、ようだ。こっ恥ずかしすぎる。君が、プロポーズを受けてくれてよかったと本気で思うよ……」
そう言って、ヴィルマーはもう一通の手紙をジャケットのポケットにしまい込んだ。
「愛されているのですね」
「そうだな。そういう、父親だ。仕事は厳しいが、家族には愛情が深くて深くて深くて、面倒で仕方がない。だから」
「?」
「君が家族になってくれたら、とんでもない歓迎をしてくれる。そこで、こいつだ」
そう言ってもう一通、今度はまったく違う形状の封書を取り出すヴィルマー。一体何通手紙を持ってきたのか、と聞けば「これで最後だ。間違いない」と言って苦笑いをする。
「君が良ければ、サーレック辺境伯邸に招かれてやってくれないか。勿論、足がもうちょっと落ち着いてからになるが」
その彼の言葉に、ミリアは目を大きく見開く。ちょうど、居間の方からもう一度「ヴィルマーさん? まだいらっしゃいますか~!?」とヘルマの声がして、それを「こらこら」と諫めるクラウスの声がかすかに聞こえた。ミリアは彼から封書を受け取りながら
「サーレック辺境伯も、気が早い方なのでしょうか?」
と問えば、ヴィルマーは苦笑いを見せる。
「本来は気が早い。そうだな。ヘルマぐらいは。まったく、帰ってくるのが早すぎだろうが……もうちょっとさぁ……」
「あっはは!」
珍しく、声を出してミリアは笑った。その声を聞きつけて、ヘルマは「何ですか、何ですか!」と飛び込んできて、それをクラウスが止めようとしてヘルマの後からやってくる。ヴィルマーは「お前ら、もうちょっと2人にしてくれよ!」と叫んだのだった。
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