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【閑話】ドレスが出来上がってきました

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 誕生日パーティーのドレスが出来上がってきた。

 本来ならデビュタント前の子供は出られないのだが、アンネリーゼは特別に参加していいことになった。

 まぁ、7歳だけどグローズクロイツ家の遺伝で背も高いし、チビの私とたいして変わらないから、誰も7歳だなんて思わないだろう。

 グローズクロイツ領の人達は魔獣と戦ったり、他国と戦ったりしているので、進化しているせいか、皆体格が良い。私みたいな小柄は子供しかいない。

 いつ、長い歴史の中でも、敵が襲来してきても戦えるよな体型に進化したのかもしれない。

 そんな話はさておき、ドレスの話だ。

 ドレスは王都のセレナール商会のチカラを借り、元デザイナーの杏音が、領地の女性達に指示し作らせた。

 グローズクロイツ領は魔獣討伐などで夫を亡くした未亡人や親を亡くした孤児も多い。希望者にドレスを作る技術を教えて、お針子として働けるようにしたいのだそうだ。

 結界のおかげで魔獣が入れなくなったため、養蚕業も再開され、絹織物も織られるようになった。

 私達はグローズクロイツ領産のドレスを王都の貴族に売りたい! 

 今回のパーティーで、私とアンネリーゼの他に、義母、母、王妃様、そしてアビゲイルにも着てもらい、広告塔になってもらうことにしている。そして、魔獣討伐で得た魔石で作ったジュエリー。

 もちろん魔石なので普通のジュエリーではない。何かの加護を付与している特別なジュエリーなのだ。デザインはこれもまた希望者を募った。
 そして、剣の飾りを作っていた職人さんにジュエリー作りをお願いした。職人さん達は平和になり、戦いの道具ではないものが作れるのは嬉しいと、楽しんで作ってくれている。

 女には戦いの道具なんだけどね。

 もちろんこれも希望者がいればジュエリー作家として育成するつもりだ。

「お祖母様、ディーママ、ドレスはどうかしら?」

 アンネリーゼはドヤ顔だ。

「いいわね。こんなデザインのドレス着たことないわ。素敵ね」

 義母はうっとりした顔で見ている。確かにこんなデザインのドレスは見たことがない。

 私のドレスも見たことがないデザインだ。

 ドレスは背中がかなり深く開いていて、可愛いけどセクシーな感じだ。

「これはちょっと背中が開き過ぎなんじゃないか?」

 アルトゥール様は難しい顔をしている。

 アンネリーゼはふふふと笑った。

「よく見てください。お父様がそう言うと思ったのでここには肌色の薄い生地に同色の刺繍を刺したものを貼っています。素肌は見えません。でも一瞬素肌に見えるところがいいでしょ?」

 確かに近づいてよく見るとちゃんと生地がある。

「これからの流行はグローズクロイツドレス工房が作ります」

 アンネリーゼは胸を張った。

 アンネリーゼは前世の杏音時代。デザインの仕事をしていて、ドレス工房にいたこともあったらしい。前世いた世界より刺繍はこの世界の方が技術もデザインも優れているらしい。

「母やアビゲイルのドレスは?」

 私は気になったので聞いてみた。

「はい。もうあちらに届いていると思います」

「ふたりのドレスはどんな感じ?」

「それは見てのお楽しみです」

 早く見たいわ。

「ちょっとだけ教えちゃいましょうか? アビゲイル様のドレスには花が沢山咲いていますよ。ビアンカ様のドレスは繊細なレースと刺繍で美しいです」

 あぁ、もう。余計気になる。

「まぁ、でもディーのドレスが一番美しいな」

「いやいや、フローラのドレスが一番いいように思うがな」

 アルトゥール様と義父の愛が重い合戦が始まった。

 義母は苦笑いだ。


 誕生日パーティーでは、断罪があり、これから隣国との関係に亀裂が入るのは否めない。

 本当ならもっとピリピリしていてもおかしくはないのだが、パーティーのドレスを見て、あーでもないこーでもないと楽しんでいる我が家は平和だなぁと思う。

 隣国が攻めてきてもあの結界を破ることはできない。

 私達は王家の断罪劇の観客になる。陛下やヘンリー兄様がどう出るか? アビゲイルはどのあたりで登場するのだろうか?

 そういえば、隠し里に行ったキースは両親と再会したあと、しばらく寝込んだらしい。15年分の疲れが出たのだそうだ。今はリハビリ期間でゆっくりしていれという。

 元気になったら魔道具師として国のために尽くすらしい。それが罰のようだ。
アンネリーゼの前世いた世界の便利グッズも作る予定になっている。

 ベアトリスやギルバートはどうなるのだろう?

 隣国に戻すと聞いたが、どう戻すのかな?

 そんな事を考えながら今の自分の幸せを噛み締めていた。


***
すみません。明日の更新はお休みです。火曜日から再開します。
よろしくおねがいします。



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