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12話 初夜
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初夜でございます。R指定のような場面は全く出てまいりませんが、ディートリントの感想のところで、閨事の場面を想像するような言葉が出てきますので気になる方は飛ばして下さい。まぁ、大丈夫と思いますが保険のR15の回です。
「さぁ、そろそろ主役のお二人には退席してもらいましょう! 皆様はまだまだパーティーを楽しんでください!」
家令のヨハンの声に一瞬ホールは静まり、そして歓声が起こった。
「お~!」
「アルトゥール様、がんばれ!」
「領主様、がんばれ!」
「奥様、頑張ってください!」
皆、なぜか口々に応援してくれている。疲れたから早めに休ませてくれるのじゃないのかしら?
「とりあえず二人で笑ってみんなに手を振って下さい」
ヨハンが近づいてきて小声で話す。
アルトゥール様を見ると、なんだか赤い顔だ。お酒に酔ったのかな?
頷いたので、私達はにっこり笑って、みんなに手を振り、私達はホールから出た。
「ディー様、行きますよ」
扉の前にいたメアリーが引っ張る。
えっ? 何? 眠いんだけどなぁ~。
自室に戻ると侍女達が待っていた。私はドレスを剥ぎ取られ、湯浴みへGOだ。結い上げていた髪も解かれ、洗われる。湯船には薔薇のオイルが入っているのか良い香りが漂う。
気持ちよくて、コクリコクリと居眠りをしてしまう。
「眠っていてもいいですよ。体力温存です」
体力温存? メアリーが頭をマッサージしながら言うので、お言葉に甘えて眠らせてもらった。
「ディー様、起きてください」
メアリーの言葉に目を開けると、私は夫婦の寝室のでっかいベッドに腰掛けさせられていた。
「今日はここで寝るの?」
「寝ぼけてるんですか? 今夜は頑張って下さいね。では、私は下がりますのであとはアルトゥール様に任せてください。くれぐれも変なことをしないように」
メアリーは出て行った。
変なことって何だ?
あの後、マッサージとかしてくれたんだな。肌がスベスベになっているし、良い匂いがする。
あれ? この夜着? え~!! こんな夜着、恥ずかしい。
あっ、そうか。初夜だ。前の時もこんな感じの夜着を着せられたような気がする。
初夜か~
―コンコン
「ディー、入るよ」
アルトゥール様だ。扉が開き中に入ってきた。
アルトゥール様も夜着姿だ。
私の隣に腰掛けた。
「ディー、その……」
「“君を愛することはない“ですか?」
私の言葉にアルトゥール様は目を丸くしている。
「いやいや、そんなわけない」
今度は慌てだした。
「すみません。前にそう言われたもので、またかと」
デジャヴというわけではないけど、何だか思い出しちゃったのよ。
アルトゥール様は困ったような表情で私の顔を見た。
「君とは仲良くなりたいと思っている。ただ、私と君は年も離れているし、私には子供もいる。白い結婚のまま3年過ごせば王命であっても離縁もできる。それから君に相応しい相手と添い遂げるのがいいと私は思っているんだ」
「今日、3回目はないと神父様に言われたばかりですわよ」
「3年経てば神父も言ったことを忘れているよ」
アルトゥール様はふっと笑った。この笑いは何の笑いだ?
「私はアルトゥール様の妻として、このグローズクロイツ領に骨を埋めるつもりですわ。3回目はありません。年齢も子供がいることも最初からわかってここにきました。いくら王命でも嫌なら断ります。私が王命だから我慢して嫁いだと思ってました? それともアルトゥール様は王命だから嫌々、私を娶ったと?」
「そ、そんなことはない。君は私には勿体無い……」
「なんですか、その社交辞令的な言い方は! 縁談を断る時の理由じゃないですか!」
「いや、そんなつもりは……」
全く、アルトゥール様は諦めが悪い。
「諦めて下さいませ。私は死ぬまでアルトゥール様の妻としてこの地におります。白い結婚がお望みならそれでもよろしいですよ。跡継ぎはリーンがいるし、父にも子供は産まなくてもいいと言われていますしね。私に女として魅力がないのは承知しておりますわ」
「魅力がないなどととんでもない。本当に私でいいのか? 妻に逃げられるような冴えないおじさんだ」
「見る目がないのですよ。アルトゥール様は冴えないおじさんではありませんよ。魔獣を斬っていく姿は惚れ惚れするほどカッコよかったです」
「後悔しないか?」
「しませんよ。私を誰だと思っているのです。私の辞書に後悔なんて文字はありません」
アルトゥール様は意を決したように頷いた。
「わ、私の妻にしてもいいのだな?」
「もちろんですわ。末長くよろしくお願いします」
◆◆ ◆
まさか、初夜がこんなに大変だとは思ってもいなかった。
魔獣と戦う方が楽かもしれない。増強魔法なんていらないんじゃないのと思うほどアルトゥール様の体力は半端なかった。私もまぁ、体力はある方だけど負けたわ。
それにしても人間の身体って不思議だわ。あんなとてつもなく大きなものが収まってしまうのだ。最初は痛くて痛くて、裂けるんじやないかと思ったけど、ゆっくり時間をかけてくれたおかげで裂けずに伸びたようだ。
痛かったのがいつの間にか変な感じになり、気持ちよくなるから不思議だ。
コンラート様が明日から鍛錬なんて無理だ。『明日の朝になればわかる。10日後にしましょう』と言った意味が今ならわかる。
足腰に全く力が入らないし、声も出ない。10日後も微妙だ。
こりゃ、自分に体力増強魔法をかけなきゃダメだな。それに……
「アル様、回復魔法をお願いします」
アルトゥール様はニコリと笑って回復魔法をかけてくれた。初夜から何度も、かけてもらっているに、すぐにまた疲れ果てるのでちっとも回復した気がしない。
「アル様、前の方ともこんな閨事だったの?」
聞いてはいけないかと思ったが口から出てしまった。
「いや」
いやって何? これはアルトゥール様の普通しゃないの?
「ディーが可愛くて止まらない。慣れてくれ」
慣れてって? むりむりむりむり。
魔獣じゃなくて、アルトゥール様を討伐しなくてはならないんじゃない? ダメだ勝てない。
慣れるしかないか。まぁ、気持ち良いし、アルトゥール様は激しいけど優しいし、諦めるしかないな。
妻になるということは閨事も込みだものね。頑張ろう。
結局、私が解放されたのは蜜月休みの最終日だった。
初夜でございます。R指定のような場面は全く出てまいりませんが、ディートリントの感想のところで、閨事の場面を想像するような言葉が出てきますので気になる方は飛ばして下さい。まぁ、大丈夫と思いますが保険のR15の回です。
「さぁ、そろそろ主役のお二人には退席してもらいましょう! 皆様はまだまだパーティーを楽しんでください!」
家令のヨハンの声に一瞬ホールは静まり、そして歓声が起こった。
「お~!」
「アルトゥール様、がんばれ!」
「領主様、がんばれ!」
「奥様、頑張ってください!」
皆、なぜか口々に応援してくれている。疲れたから早めに休ませてくれるのじゃないのかしら?
「とりあえず二人で笑ってみんなに手を振って下さい」
ヨハンが近づいてきて小声で話す。
アルトゥール様を見ると、なんだか赤い顔だ。お酒に酔ったのかな?
頷いたので、私達はにっこり笑って、みんなに手を振り、私達はホールから出た。
「ディー様、行きますよ」
扉の前にいたメアリーが引っ張る。
えっ? 何? 眠いんだけどなぁ~。
自室に戻ると侍女達が待っていた。私はドレスを剥ぎ取られ、湯浴みへGOだ。結い上げていた髪も解かれ、洗われる。湯船には薔薇のオイルが入っているのか良い香りが漂う。
気持ちよくて、コクリコクリと居眠りをしてしまう。
「眠っていてもいいですよ。体力温存です」
体力温存? メアリーが頭をマッサージしながら言うので、お言葉に甘えて眠らせてもらった。
「ディー様、起きてください」
メアリーの言葉に目を開けると、私は夫婦の寝室のでっかいベッドに腰掛けさせられていた。
「今日はここで寝るの?」
「寝ぼけてるんですか? 今夜は頑張って下さいね。では、私は下がりますのであとはアルトゥール様に任せてください。くれぐれも変なことをしないように」
メアリーは出て行った。
変なことって何だ?
あの後、マッサージとかしてくれたんだな。肌がスベスベになっているし、良い匂いがする。
あれ? この夜着? え~!! こんな夜着、恥ずかしい。
あっ、そうか。初夜だ。前の時もこんな感じの夜着を着せられたような気がする。
初夜か~
―コンコン
「ディー、入るよ」
アルトゥール様だ。扉が開き中に入ってきた。
アルトゥール様も夜着姿だ。
私の隣に腰掛けた。
「ディー、その……」
「“君を愛することはない“ですか?」
私の言葉にアルトゥール様は目を丸くしている。
「いやいや、そんなわけない」
今度は慌てだした。
「すみません。前にそう言われたもので、またかと」
デジャヴというわけではないけど、何だか思い出しちゃったのよ。
アルトゥール様は困ったような表情で私の顔を見た。
「君とは仲良くなりたいと思っている。ただ、私と君は年も離れているし、私には子供もいる。白い結婚のまま3年過ごせば王命であっても離縁もできる。それから君に相応しい相手と添い遂げるのがいいと私は思っているんだ」
「今日、3回目はないと神父様に言われたばかりですわよ」
「3年経てば神父も言ったことを忘れているよ」
アルトゥール様はふっと笑った。この笑いは何の笑いだ?
「私はアルトゥール様の妻として、このグローズクロイツ領に骨を埋めるつもりですわ。3回目はありません。年齢も子供がいることも最初からわかってここにきました。いくら王命でも嫌なら断ります。私が王命だから我慢して嫁いだと思ってました? それともアルトゥール様は王命だから嫌々、私を娶ったと?」
「そ、そんなことはない。君は私には勿体無い……」
「なんですか、その社交辞令的な言い方は! 縁談を断る時の理由じゃないですか!」
「いや、そんなつもりは……」
全く、アルトゥール様は諦めが悪い。
「諦めて下さいませ。私は死ぬまでアルトゥール様の妻としてこの地におります。白い結婚がお望みならそれでもよろしいですよ。跡継ぎはリーンがいるし、父にも子供は産まなくてもいいと言われていますしね。私に女として魅力がないのは承知しておりますわ」
「魅力がないなどととんでもない。本当に私でいいのか? 妻に逃げられるような冴えないおじさんだ」
「見る目がないのですよ。アルトゥール様は冴えないおじさんではありませんよ。魔獣を斬っていく姿は惚れ惚れするほどカッコよかったです」
「後悔しないか?」
「しませんよ。私を誰だと思っているのです。私の辞書に後悔なんて文字はありません」
アルトゥール様は意を決したように頷いた。
「わ、私の妻にしてもいいのだな?」
「もちろんですわ。末長くよろしくお願いします」
◆◆ ◆
まさか、初夜がこんなに大変だとは思ってもいなかった。
魔獣と戦う方が楽かもしれない。増強魔法なんていらないんじゃないのと思うほどアルトゥール様の体力は半端なかった。私もまぁ、体力はある方だけど負けたわ。
それにしても人間の身体って不思議だわ。あんなとてつもなく大きなものが収まってしまうのだ。最初は痛くて痛くて、裂けるんじやないかと思ったけど、ゆっくり時間をかけてくれたおかげで裂けずに伸びたようだ。
痛かったのがいつの間にか変な感じになり、気持ちよくなるから不思議だ。
コンラート様が明日から鍛錬なんて無理だ。『明日の朝になればわかる。10日後にしましょう』と言った意味が今ならわかる。
足腰に全く力が入らないし、声も出ない。10日後も微妙だ。
こりゃ、自分に体力増強魔法をかけなきゃダメだな。それに……
「アル様、回復魔法をお願いします」
アルトゥール様はニコリと笑って回復魔法をかけてくれた。初夜から何度も、かけてもらっているに、すぐにまた疲れ果てるのでちっとも回復した気がしない。
「アル様、前の方ともこんな閨事だったの?」
聞いてはいけないかと思ったが口から出てしまった。
「いや」
いやって何? これはアルトゥール様の普通しゃないの?
「ディーが可愛くて止まらない。慣れてくれ」
慣れてって? むりむりむりむり。
魔獣じゃなくて、アルトゥール様を討伐しなくてはならないんじゃない? ダメだ勝てない。
慣れるしかないか。まぁ、気持ち良いし、アルトゥール様は激しいけど優しいし、諦めるしかないな。
妻になるということは閨事も込みだものね。頑張ろう。
結局、私が解放されたのは蜜月休みの最終日だった。
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