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隣国ヘーラクレール編
28 それです!
しおりを挟む神官長様があまりにおかしい、おかしいというのでもう一度今度は神官長様の目の前で作って見せることにした。
「ヘーラクレール産の薬草ですが、確かに薬効成分は少ないです。でもこのヘーラクレール特有の瘴気と毒素に対する抵抗力は凄く強い」
「なるほど、それはあり得る話ですね」
「せっかくなので神殿に湧き出しているお水を使わせてもらいました」
「……湧き出している? そんな水ありましたか?」
「? シロ様がきれいな池があると教えてくれましたよ?」
「……池……?」
あれ? 神官長様はご存じなかったのか首を傾げられたけれど、それはあとで案内することにしてお水を鍋に入れ、火にかける。
「ジッジッ! (ぶくぶく、ぶくぶく~)」
「ふふ、そうですね。今度はもうちょっと離れて見ましょうか?」
「ジッ! (うん!)」
お湯が煮立ち、お水の中から泡が出てくるのが楽しいらしく、シロ様が覗き込んでいる。でも今度は慎重に、落ちないように……。
「ジジッ! (アーサー、抱っこして!)」
「なんだ? シロ、学習したなあ、偉いぞ」
「ジッ! (うん! 最初からアーサーに落ちないように抱っこしててもらえばいいんだもんね)」
「あら、それなら安全ですね」
「ジッ! (でしょう~!)」
アーサーに抱きかかえられたままお鍋を覗き込むシロ様、その様子を驚いた顔で見ている神官長様。
「先ほど作られたポーションもこうして傍にシロ様がいらっしゃったのですか?」
「ええ、作業工程が見ていて楽しいらしく、歌ったりしながらずっと一緒に作りましたよ」
「それです! マーガレッタ様!」
ど、どれでしょうか!?
「間違いなく神獣であるシロ様のご加護があるポーションが出来上がっているのです。聖女といっても過言ではないマーガレッタ様の御手とシロ様の加護が宿っているからこんなに美しくて効果の高い物ができたのです、ああ! ありがとうございます、ありがとうございます!」
「え、あ……あの、お顔を上げてください!」
その場に膝まづいて祈りを捧げ始めた神官長様をどう止めたらいいか困ってしまった。アーサーとシロ様に頼んで神官長様を起こして貰い、私は作りかけのポーションを作ってしまう。途中で止めるのは勿体ない。出来るまで神官長様には一緒に見学してもらい……お鍋の周りで跳ねまわり、アーサーに止められるシロ様を微笑ましく見守って貰った。
「なるほど、アーサー殿下の火傷はそういう理由だったのですね」
「ええ、この程度は魔獣の討伐なんかで良く負う怪我より軽い物ですけどね。シロだとそうもいかないでしょう」
「小さなお体で火傷は非常に危険ですね」
「ジィ~……(ごめんね……)」
「あ、でもシロ様がお手伝いしてくださったから、素敵なポーションがまたたくさんできましたよ、これで街の人達は元気になれます!」
「ジッ! (うん!)」
またきれいな色のポーションが鍋いっぱいなみなみとできてしまった。純度が高すぎるとおっしゃっていたけれど、大丈夫でしょうか?
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