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隣国ヘーラクレール編

27 きれいな色の清々しいポーション

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「ジィ(きれーい)」
「わあ……」

 赤い薬草で作ると赤いポーションができる。それなのに赤いヘーレクレールの薬草を使ったはずなのに、出来上がったポーションは澄んだ淡い緑色をしていた。少しだけ粘度のある液がぽちゃんと揺れる、濁りのない美しい色のポーション。

「シロ様のおでこの石みたいな色ですね」
「ジジッ! (ほんと? えへへ)」

 そして清々しい爽やかな香り……晴れた日の草原のような胸いっぱいに吸い込みたくなるような気持のいい香りがする。

「シロ様が手伝ってくれたから大成功ですね」
「ジッ!(うん!)」
「できたの? お、いい匂いがする。外の空気みたい」
「アーサー!」
「ジィッ! (アーサー! おててへいき?)」

 右手を包帯でぐるぐる巻きにされたアーサーが戻って来て手を上げる。

「大袈裟に巻かれちゃったよ。大丈夫だよ、シロ。すぐ治る」
「ジー! (良かった~ぼく、おなべにおちないようにきをつける)」
「お? 偉いぞ」

 やっぱり気になっていたのかシロ様はすぐにアーサーの所へ飛んでいき、今日は肩口に止まった。アーサーにはシロ様の言葉が分からないはずなのに、やっぱり会話はちゃんとできているのが面白い。

「それにしてもきれいなポーションだなあ、初めて見る色だね。シロのおでこについている青豆と同じ色だね」
「ジジッ!! (おまめじゃないもんっ! おまめじゃないもんっ!)」
「いて、いてて! あはは、冗談だよ」

 きっと自分のせいで怪我をしてしまったと落ち込むシロ様を元気づけようとそんなことをいっているんだろう。短いくちばしでツンツンとアーサーをつついているシロ様はすっかり元通りになっている。私も気を付けてあげないといけないところだったと大いに反省した。

「何か手伝う?」
「このお鍋を運んで欲しいわ。ポーションなら瓶に詰めるのですけれど、たくさんの人に配りたいのでこのまま神殿の前でお分けしようかと思うの」
「ああ、いいね。どうせならすぐ飲んで欲しいね」
「はい!」

 さあ、神官長様に出来上がったポーションをお見せして、配って貰おう。まずは神官長様の所へ行ったら意外なことをいわれてしまった。

「マーガレッタ様、これはこのままでは配れませんよ」
「え? どうしてですか? 効果がなかったですか……?」

 こんなにきれいで清々しい香りがするのに、効果がないことなんてあるだろうか?

「いえ、これは純度が高すぎます……これでは効きすぎる! 一体どうやってこんな高純度の解毒と回復を兼ね備えたポーションを作り上げたのですか!?」
「えっ……一般的なポーションと同じ手順を踏みましたが」
「そんな馬鹿な! あのヘーラクレール産の薬草でこんなポーションを作れるはずがないじゃないですか!」

 えっ……でもできましたよ??


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