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第10話 七人
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空が明るくなる頃六三が戻って来て驚いた。順三郎の寝間で見知らぬ七人が寝ていたからだ。
「坊ちゃん。どうしたんですか?どこから拾って来たんですか?」と順三郎を揺り起こし
「お前たち、ここで寝るな」と七人を蹴り起こした。
「おぉ六三帰って来たか。こいつらが犯人だった」と順三郎が言えば
「なるほど。こいつらが!確かに頼りないですね」と六三が答えた。そして順三郎が
「詳しく調べたいから本宅に連れて行ってくれ」と言うと
「旦那、なにを調べるんですか?」
「なにも知りません」と声がしたが
「なにを知らないのか聞くだけだ」と六三が答えると七人はほっとして
「そうか。脅かさないで下さい」
「それから納戸にお宝を隠したそうだ」と順三郎が言うと
「納戸ですか?」と六三が言った時には七人が納戸へ急いでいた。
「なんなんですか?」と六三も急いであとを追った。
「あった。あった」「あったぁ。よかったぁ」「納戸を探さないって坊ちゃんらしいな」とか声がしている。
坊ちゃんと言う言葉に順三郎は肩をすくめたがなにも言わずに七人が納戸から出したものを見た。
行李が二つ。中をみると芝居の道具のようだ。それと壺が二つ。
どうやら大事なのは壺のようだ。
六三が壺の中身を出した。
巾着が一つ入っていた。ずっしりと重いそれを壺から取り出した六三は重さから中身が分かったのだろう、センゾウを厳しい目で見ている。
「それはどこのものか覚えてます」とセンゾウが目線に耐えかねたのか言い出した。
「それは」「え!それって」「そのことは」と言った言葉が七人の口から出た。順三郎は黙って七人を観察していた。
「実は、浅生屋・・・」とセンゾウが言うと順三郎は思わず
「浅生屋」と呟いた。
六三は
「なに?浅生屋だと・・・お前たちは・・・」と言いかけたが
「いや・・・詳しく、話せ」とだけ言った。
「偶然なんです。たまたま浅生屋の裏を歩いていたら、チャラチャラした、いい男が気の弱そうな男にこの巾着を渡すところを見たんです。な?見たのはシンスケだったな」とセンゾウが言うと
「はい、その通りです。チャラチャラしたほうが金を渡してペコペコしてたんです」とシンスケが言った。
「それでそろそろ金もなくなって来たんで浅生屋に入ることにしまして、裏口で一芝居打つってその騒ぎに紛れて三人がなかに入って床下に隠れまして」とセンゾウが続けた。
「床下にって簡単に言うが・・・」と順三郎が言うと
「そりゃ、千両箱を持ち出すんなら大変でしょうがね」センゾウが言った。
『簡単なのか?』と順三郎は思ったが
「それで夜になって気の弱い男のがいる部屋に忍び込んで巾着を盗って、他のやつらの行李からも金を盗ってここに戻って巾着のなかを見たら小判で思った通り小判だったので・・・ここに隠して旅の準備をしていたら浅生屋があんなことになって・・・その上ここは幽霊屋敷とかで怖くて、でも坊ちゃんが平気そうなので金を取り返そうと思いまして・・・」とセンゾウが言うと六人が頷いた。
それから七人は本宅からの迎えに囲まれて家を出て行った。行李も壺も大八車に乗せて一緒に運んだ。
「くそ、あいつらのせいで本宅とまた・・・」と順三郎が吐き捨てるように言うのを
「いいじゃないですか?坊ちゃん」と六三が笑った。
順三郎は庭に出ると隣家の方を向いて優しく微笑んだ。
「坊ちゃん。どうしたんですか?どこから拾って来たんですか?」と順三郎を揺り起こし
「お前たち、ここで寝るな」と七人を蹴り起こした。
「おぉ六三帰って来たか。こいつらが犯人だった」と順三郎が言えば
「なるほど。こいつらが!確かに頼りないですね」と六三が答えた。そして順三郎が
「詳しく調べたいから本宅に連れて行ってくれ」と言うと
「旦那、なにを調べるんですか?」
「なにも知りません」と声がしたが
「なにを知らないのか聞くだけだ」と六三が答えると七人はほっとして
「そうか。脅かさないで下さい」
「それから納戸にお宝を隠したそうだ」と順三郎が言うと
「納戸ですか?」と六三が言った時には七人が納戸へ急いでいた。
「なんなんですか?」と六三も急いであとを追った。
「あった。あった」「あったぁ。よかったぁ」「納戸を探さないって坊ちゃんらしいな」とか声がしている。
坊ちゃんと言う言葉に順三郎は肩をすくめたがなにも言わずに七人が納戸から出したものを見た。
行李が二つ。中をみると芝居の道具のようだ。それと壺が二つ。
どうやら大事なのは壺のようだ。
六三が壺の中身を出した。
巾着が一つ入っていた。ずっしりと重いそれを壺から取り出した六三は重さから中身が分かったのだろう、センゾウを厳しい目で見ている。
「それはどこのものか覚えてます」とセンゾウが目線に耐えかねたのか言い出した。
「それは」「え!それって」「そのことは」と言った言葉が七人の口から出た。順三郎は黙って七人を観察していた。
「実は、浅生屋・・・」とセンゾウが言うと順三郎は思わず
「浅生屋」と呟いた。
六三は
「なに?浅生屋だと・・・お前たちは・・・」と言いかけたが
「いや・・・詳しく、話せ」とだけ言った。
「偶然なんです。たまたま浅生屋の裏を歩いていたら、チャラチャラした、いい男が気の弱そうな男にこの巾着を渡すところを見たんです。な?見たのはシンスケだったな」とセンゾウが言うと
「はい、その通りです。チャラチャラしたほうが金を渡してペコペコしてたんです」とシンスケが言った。
「それでそろそろ金もなくなって来たんで浅生屋に入ることにしまして、裏口で一芝居打つってその騒ぎに紛れて三人がなかに入って床下に隠れまして」とセンゾウが続けた。
「床下にって簡単に言うが・・・」と順三郎が言うと
「そりゃ、千両箱を持ち出すんなら大変でしょうがね」センゾウが言った。
『簡単なのか?』と順三郎は思ったが
「それで夜になって気の弱い男のがいる部屋に忍び込んで巾着を盗って、他のやつらの行李からも金を盗ってここに戻って巾着のなかを見たら小判で思った通り小判だったので・・・ここに隠して旅の準備をしていたら浅生屋があんなことになって・・・その上ここは幽霊屋敷とかで怖くて、でも坊ちゃんが平気そうなので金を取り返そうと思いまして・・・」とセンゾウが言うと六人が頷いた。
それから七人は本宅からの迎えに囲まれて家を出て行った。行李も壺も大八車に乗せて一緒に運んだ。
「くそ、あいつらのせいで本宅とまた・・・」と順三郎が吐き捨てるように言うのを
「いいじゃないですか?坊ちゃん」と六三が笑った。
順三郎は庭に出ると隣家の方を向いて優しく微笑んだ。
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