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伯爵家の存続
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三人の王子とお茶をしたのはとても有意義だった。ラムは俺の立ち回りを褒めてくれた。人間を極める道を進んでいると言うことだ。
そして伯爵家を潰してやろうと思っていたが、恥をかかせてそれでも伯爵としてやって行ってもらうのが効果的な罰だとわかった。
俺は第二王子を応援する。応援する以上、王位について貰うし、長持ちして貰う。
オリバーが手配して形ばかりの裁判が非公開で開かれた。ただ入口ロビーの予定表には、ブルークルフ伯爵の名前とフレデリックの名前がはっきりと書かれていた。
第三王子の派閥であるゲラン男爵は三男のオリバーのことを褒められた。
そして派閥の中心であるハービー侯爵が取り持ってオリバーは侯爵の遠縁のアンダーソン男爵家に婿入りすることになった。
ブルークリフ伯爵は遺産と年金を遡ってフレデリックに返す事になった。
魔力なしと言いふらし名誉を損なった件は廃嫡理由の魔力なしに国王が署名していところから不問になった。
魔力なしの判定をした教会についても、勘違いは誰にでもありますからとフレデリックが同情気味に発言したことで不問となった。
伯爵家の使用人は全員が解雇となった。これは上司に言われれば仕方ないと、フレデリックが主張したが、貴族として正しい姿勢の判決がでたのだ。
使用人の泣き声は扉を通して外に聞こえ、外にたむろしていた野次馬はおおいに想像力を働かせたのだった。
裁判中のフレデリックの終始戸惑っているような態度を、貴族たちは歓迎した。世慣れぬ少年は手中に収めやすい。
裁判が開かれた事を判決は公式には発表されなかったが、密かに貴族に広まり解雇された使用人の様子から平民にも広まった。
そして裁判から二週間ほどしたある日、フレデリックは中央教会を訪ねた。
フレデリックの訪れを聞いた司祭は、不安を感じたが張り付いた微笑みを浮かべてやってきた。
部屋で待っていたフレデリックとラムはきちんと頭を下げて挨拶をした。
戸惑った表情は裁判の時のままのフレデリックと敵意を隠さないラムを見た司祭は、微笑みを浮かべたまま、わざとゆっくりと腰を下ろした。
「あの、いきなり訪ねてしまって」とフレデリックが口を開いた。
「いいえ、わたくしも一度ゆっくり謝りたいと思っておりました。お呼び立てするわけにも行かず思案しておりました。いらして下さりほっとしております」
「ふん」とラムが鼻で笑ったが、フレデリックは気付かなかったようで
「いいえ、あの時に言ったことは本気で思っている事です。ただの勘違いですし・・・・だけどなんだか教会を悪く言う人がいるようでその・・・」
「ほんとのことだろう」
「ラム、黙っていて」
「それで和解と言ってはなんですが、遺産を寄付したいと思って、母上の名前で・・・母上はブルークリフ伯爵夫人だから・・・教会とはうまく行っているって示したいと思って」
「それは故伯爵夫人が正解だよ」とラムが吐き捨てると
「もうラムったら」とラムの膝を軽くたたいて
「それで受け取っていただけますか?」と司祭を見ると
司祭はびっくりした顔でフレデリックを見ていた。
「あの司祭様」
「もちろんでございます。母上も喜ばれることでしょう」とあわてて柔和な表情を取り繕えば
「よかったです」と短くフレデリックが言うと
「では、用も済んだし帰るぞ」とラムが立ち上がると
「ラム、その言い方は良くないよ」
「その金は有効に使えよ」と言うとラムは有無を言わさずフレデリックの背を押して、部屋を出た。
その後、中央教会の門が立て直され、故ブルークリフ伯爵夫人とその子息フレデリックが寄付したと書いた碑が建てられた。
そして伯爵家を潰してやろうと思っていたが、恥をかかせてそれでも伯爵としてやって行ってもらうのが効果的な罰だとわかった。
俺は第二王子を応援する。応援する以上、王位について貰うし、長持ちして貰う。
オリバーが手配して形ばかりの裁判が非公開で開かれた。ただ入口ロビーの予定表には、ブルークルフ伯爵の名前とフレデリックの名前がはっきりと書かれていた。
第三王子の派閥であるゲラン男爵は三男のオリバーのことを褒められた。
そして派閥の中心であるハービー侯爵が取り持ってオリバーは侯爵の遠縁のアンダーソン男爵家に婿入りすることになった。
ブルークリフ伯爵は遺産と年金を遡ってフレデリックに返す事になった。
魔力なしと言いふらし名誉を損なった件は廃嫡理由の魔力なしに国王が署名していところから不問になった。
魔力なしの判定をした教会についても、勘違いは誰にでもありますからとフレデリックが同情気味に発言したことで不問となった。
伯爵家の使用人は全員が解雇となった。これは上司に言われれば仕方ないと、フレデリックが主張したが、貴族として正しい姿勢の判決がでたのだ。
使用人の泣き声は扉を通して外に聞こえ、外にたむろしていた野次馬はおおいに想像力を働かせたのだった。
裁判中のフレデリックの終始戸惑っているような態度を、貴族たちは歓迎した。世慣れぬ少年は手中に収めやすい。
裁判が開かれた事を判決は公式には発表されなかったが、密かに貴族に広まり解雇された使用人の様子から平民にも広まった。
そして裁判から二週間ほどしたある日、フレデリックは中央教会を訪ねた。
フレデリックの訪れを聞いた司祭は、不安を感じたが張り付いた微笑みを浮かべてやってきた。
部屋で待っていたフレデリックとラムはきちんと頭を下げて挨拶をした。
戸惑った表情は裁判の時のままのフレデリックと敵意を隠さないラムを見た司祭は、微笑みを浮かべたまま、わざとゆっくりと腰を下ろした。
「あの、いきなり訪ねてしまって」とフレデリックが口を開いた。
「いいえ、わたくしも一度ゆっくり謝りたいと思っておりました。お呼び立てするわけにも行かず思案しておりました。いらして下さりほっとしております」
「ふん」とラムが鼻で笑ったが、フレデリックは気付かなかったようで
「いいえ、あの時に言ったことは本気で思っている事です。ただの勘違いですし・・・・だけどなんだか教会を悪く言う人がいるようでその・・・」
「ほんとのことだろう」
「ラム、黙っていて」
「それで和解と言ってはなんですが、遺産を寄付したいと思って、母上の名前で・・・母上はブルークリフ伯爵夫人だから・・・教会とはうまく行っているって示したいと思って」
「それは故伯爵夫人が正解だよ」とラムが吐き捨てると
「もうラムったら」とラムの膝を軽くたたいて
「それで受け取っていただけますか?」と司祭を見ると
司祭はびっくりした顔でフレデリックを見ていた。
「あの司祭様」
「もちろんでございます。母上も喜ばれることでしょう」とあわてて柔和な表情を取り繕えば
「よかったです」と短くフレデリックが言うと
「では、用も済んだし帰るぞ」とラムが立ち上がると
「ラム、その言い方は良くないよ」
「その金は有効に使えよ」と言うとラムは有無を言わさずフレデリックの背を押して、部屋を出た。
その後、中央教会の門が立て直され、故ブルークリフ伯爵夫人とその子息フレデリックが寄付したと書いた碑が建てられた。
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