上 下
12 / 69

12 王女 クロエ

しおりを挟む
お兄様がとんでもない話を持って来た。なんとアーネストが、番に選ばれたと言うのだ。

まだアーネストには知らせてないと言うからちょっと安心だ。アーネストは子供の頃から番っていうのに憧れている。選ばれたのを知ったら、なにもかも振り捨てて番を迎える準備をするだろう。神殿の門前で寝ずのばんくらいやりかねない。

「聞いてクロエ、僕に番が来るんだ。ずっと待ってたんだ。夢が叶う。夢が現実になる。あぁ素晴らしい。どんな人だろうね。あぁ僕の番」とか言うに違いない。

だめよ。あなたはわたしと結婚するのよ。わたしだって子供の頃から願っていたのよ。アーネストのお嫁さんになるって・・・・・決して逃さないのがさない・・・・

泣き喚いていたらお父様がお兄様へなんとかしろって、言ったのよ。そうよ、お兄様だもの。なんとかしてよね。

そうしていたら、アーネスト様はマーク兄様の用事で遠くの国に行く事になった。マーク兄様なんてほっといていいのに!!いやだと言っていたけどアーネスト様の番は文句言わないって説得されて旅立って行った。ほんとに人がいいんだから。やっぱりわたしがそばにいないとみんなに利用されてしまうわ。

今日も公爵夫人から連絡があった。アーネスト様が番に送って来たお手紙と贈り物を受け取りに行くの。

本当だったらわたしが、受け取るものよ。それをあのみすぼらしい番が・・・・

聞いたら番は能力もないって。そんなのにアーネスト様は勿体無い。


一度、図書室に行く所を見かけたけど、みすぼらしい格好をしてた。

あんなの、一生、公爵んちで番を待っていればいいのよ。


アーネスト様が戻って来るのを楽しみに待っていたら、とんでもない連絡が来た。

お兄様がお父様に話すのを盗み聞きしてよかった、あの国のあばずれがアーネスト様を狙っているって・・・・・冗談じゃない。おまえなんかアーネスト様を見る資格もない・・・・・わたしが行ってピシッと言ってやらなくては・・・

気がついたら執務室に入っていた。

「お父様、わたしが行ってアーネスト様を助けます。あばずれに手出しさせません」

お父様もお兄様のわたしの勇気に感激してなにも言えなかった。

さぁ決めなさい。すぐに手配しなさい。アーネスト様待っていて!

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

自由を求めた第二王子の勝手気ままな辺境ライフ

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,483pt お気に入り:2,580

『運命の番』の資格を解消する方法。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,675pt お気に入り:3,490

貧乏少女と王子様

恋愛 / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:601

いらないなら貰っていいよね

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:11

お姉さまは最愛の人と結ばれない。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:78pt お気に入り:249

ようやくあなたを手に入れた

恋愛 / 完結 24h.ポイント:362pt お気に入り:732

【完結】お4枚鏡

ホラー / 完結 24h.ポイント:1,704pt お気に入り:15

冥恋アプリ

ホラー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:18

処理中です...